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文化財の宝庫・中国山西省

山西省概要2 黄土高原

青山貞一 Teiichi Aoyama 池田こみち Komichi Ikeda
December 31, 2016
Independent Media E-wave Tokyo
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文化財の宝庫、中国山西省
総論 神怡舘再訪  山西省概要1  山西省概要2  万里の長城1  万里の長城2
大同市 五台山 雲崗石窟  懸空寺  応県木塔 南禅寺 佛光寺  九龍壁
太原市 双塔寺 晋祠 玄中寺 天龍山石窟
晋中市 平遥古城 平遥古城壁 双林寺 綿山
臨汾市 小西天 東岳廟 運城市 関帝廟 永楽宮
その他 仏像 工芸品 民族楽器 書・絵画 まとめ 補:他寺院
 
◆山西省の道路と交通


 
以下は山西省と周辺の省を結ぶ主要道路網です。


出典:グーグルアース

 一方、以下は山西省の鉄道もです。山岳が多い山西省では、直線的にではありませんが、鉄道は北から南まで、また西から東へと鉄道が整備されていますが、いわゆる新幹線は南部の一部だけであり、一般鉄道は速度も遅く、多数の駅に停まるので、時間がかかります。


出典:山西省ホームページ

 ちなみに北の大同から南の運城までは、一般鉄道で12時間半かかります。駅数は17あります。運賃は大同と運城の間はクラスにより異なります。以下に出発と終点の駅名を入れれば料金が検索できます。もちろん、北京、大同などの間も列車で結ばれています。

 ※ 列車予約サイト


検索例  出典:Ctrip

 以下は大同と北京の列車の予約検索例です。大同と北京の硬座の予約料金は804円とでています。


検索例  出典:Ctrip


出典:グーグルマップ


◆山西省の地形

 以下は中国山西省の地形図です。

 山がつく地名らしく全面的に山岳地帯であること分かります。しかも、3000m以上の山がたくさんあります。  



「神怡舘」内部展示より
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900 2016-12-22



出典:グーグルアース


◆黄土高原


 
以下の出典はWikipediaです。

 山西省の黄土高原の地形の大きな特徴は、黄土の厚い体積で上層が平らになっている地形なのですが、降雨により深い裂け目をつくっていることです。そこから黄土が次々に崩れて行くことになります。


黄土高原の分布 Shanxi が山西省    出典:Wikipedia

 このように黄土は降雨により非常に崩れ易いこともあり、上層の平たん部分が少なくなって行き、平たん部分を深い崖が取り囲み、その部分が孤立して行きます。これを近づいて見ると、土の流出によって木も生えない荒野の風景が見えます。

 崖そして谷底、いずれも生活には適さなく、多くの人々は黄土高原上の平たん部を耕作して生活しています。


黄土高原の風景(山西省渾源県付近)  出典:Wikipedia

 土地の劣化は、黄土高原を伐採するような渓谷をもたらします。下の写真は甘粛省のLinxia郡で撮影されたものです。 下層のダクシア川に流れ込むこのクリークを形成している劣化した植生層が吸湿の減少の原因となっています。


甘粛省のLinxia郡の黄土高原における谷  出典:Wikipedia


◆黄土高原の地質と地形

 以下はWikipedia からです。

 黄土高原(英語名:Loess Plateau または Huangtu Plateau)は、中華人民共和国を流れる黄河の上流および中流域に広がるおよそ400,000平方kmから640,000平方kmの広さの高原を指します。日本に飛来する黄砂の主要発生地でもあります。

 この数千年間に起こった戦乱、森林伐採、過剰な開墾・放牧などにより、黄土高原の植生は破壊され、土壌の流失が加速し、一帯の地形は無数の水流が削ったために溝だらけのような状態(「千溝万壑」)になっています。

 黄土とは、砂より小さいシルト状の土壌のことで、中央ヨーロッパやアメリカ中西部以西で多く見られますが、特に黄河周辺のものが有名です。黄土は非常に固く、水に簡単に浸食されるほか、一旦崩れると粉状になって飛び散りやすい土壌です。

 長年にわたり現在の中国北西部の砂漠地帯から風に巻き上げられた砂塵がこの地に降り積もり堆積した結果、分厚い黄土の層ができました。黄土高原上の黄土は厚さ50mから80mに達し、特に隴東(甘粛省慶陽市付近)や陝西省北部では厚さ150mにも達する。最も厚い部分では200mになります。

 黄土は太行山脈より西、烏鞘嶺より東、秦嶺山脈より北、万里の長城およびオルドス高原より南の一帯に堆積しており、山西省、陝西省、寧夏回族自治区、甘粛省、内モンゴル自治区などの行政区域にわたっています。中国でも土壌流失が最も激しい一帯でもあります。


 
黄土高原の地形は北西から南東に傾斜し、海抜は1,000mから2,000mの間にあります。岩石の多い山地を除き、大部分は黄土が地表を覆っています。降水による長年の浸食で無数の渓谷に覆われた台地は、ガリ侵食によって平らな地形を刻む特殊な景観が見られます。

 黄土高原の東端は太行山脈で、呂梁山脈や六盤山脈なども高原上の主要な山地です。黄土高原は間を蛇行する黄河により、東から山西高原、陝甘黄土高原、隴西高原の三つに分かれています。

 平らな台地の縁側では、崖状の急斜面を成す地形が形成され、降水時期にはがけ崩れが頻発します。このため、大小さまざまな崩壊跡が随所でみられ、中には斜面の安定性が損なわれた大規模な地すべりをも誘発しています。これらの黄土は濁流として黄河に流され、乾季には風に巻き上げられやすい状態にあります。また、黄土高原では風成堆積物に特有の陥没が頻繁に発生しています。

 下は甘粛省臨夏県北東部の農村地帯。黄河の支流、大夏河の下流が黄土高原を切り刻んで険しい渓谷を作っています

出典:Wikipedia

◆山西省黄土高原の気候と気象

 黄土高原一帯は冷帯でモンスーンの及ぶ範囲の辺縁にあたり、大陸性気候と不安定なモンスーン気候の両方の影響が強くなっています。

 年間降水量は少ないが、その65%が夏季に集中し、往々にして一回の雨で年降水量の30%を占めるような豪雨が降ります。この豪雨も土壌流失の一因となります。黄土高原は日照はよく、年平均気温は8度から14度で、霜の下りない時期は年120日から200日と温暖です。

 黄土高原の水系の根幹は黄河であり、黄土高原からも200以上の支流が源を発しています。比較的大きな川には渭河、汾河、?河、祖脂ヘ、清水河、北洛河、黄甫川、窟野河、無定河などがあります。

 これらの川の流量は豊富とはいえず、年流量は185億立方mにすぎません(黄河本流は除く)。流水量の最大期には多くの川は幅も広くなり水量も年間流水量の7%を占めるほど豊富になろりますが、それ以外の時期は涸れ川同然となります。

 雨が降ると水は表土の上を滝のように流れ落ち、雨が降らない時期はほとんど水のない状態になります。地下水はほとんどが地表から50m以上の深いところを流れ、浅い部分にはほとんど地下水がありません。この地下水の流れによって、地中で細粒な黄土が運搬され空隙となり、陥没が頻繁に発生していると考えられています。

 暑い夏と寒い冬を乗り切るため、人々は固い黄土に穴を掘って窰洞(ヤオトン)と呼ばれる頑丈で気温差の小さい横穴式住居を作っています。こうした住居は今でも多数の人々が暮らしています


窰洞(ヤオトン)、陝西省楡林付近、1985年頃   出典:Wikipedia

 。1556年に起こった華県地震では、黄土が崩れて液状化現象を起こしたことで窰洞が崩れ、80万人以上の死者を出しました。また1930年代、延安で毛沢東が建設した中国共産党の根拠地は窰洞を利用したものでした。アメリカ人記者エドガー・スノーが延安を訪れたとき、毛沢東らの住居は山の穴の中だったといいます。

 ちなみに以下は省都、太原市の年間気温、降水量です。山間地だけあって夏と冬の寒暖の差が著しいようです。


出典:Wikipedia


◆黄砂     以下の主な出典はWikipediaとNASAです。

 黄砂(黄沙ともいいます、こうさ。英語: Asian Dust)とは、特に中国を中心とした東アジア内陸部の砂漠または乾燥地域の砂塵が、強風を伴う砂塵嵐(砂嵐)などによって上空に巻き上げられ、春を中心に東アジアなどの広範囲に飛散し、地上に降り注ぐ気象現象を指します。


発生地の衛星画像。中央よりやや上によったところにある、薄橙色や薄茶色の
部分が主な発生地。左側から
タクラマカン砂漠、ゴビ砂漠、黄土高原の順に並ぶ。
出典:NASA World Wind
 下はNASAによる黄砂飛散の観測結果をもとにしたシミュレーションです。 

地球規模で移動する黄砂、2001年4月7日-18日、NASA。人工衛星のオゾン全量分光計を利用して観測された。中国付近の黄砂(赤・黄・黄緑色の部分)は数日かけて北アメリカまで到達している。

 気象現象としての黄砂は、砂塵の元になる土壌の状態、砂塵を運ぶ気流など、大地や大気の条件が整うと発生すると考えられています。発生の頻度には季節性があり、春はそういった条件が整いやすいことから頻繁に発生し、比較的遠くまで運ばれる傾向にあります。ただ、春に頻度が極端に多いだけであり、それ以外の季節でも発生しています。

 黄砂は国境を跨ぐ範囲で被害を発生させ、しかもその程度や時期に地域差があります。発生地に近づくほど被害は大きくなり、田畑や人家が砂に覆われたり、周囲の見通し(視程)や日照を悪化させたり、交通に障害を与えたり、人間や家畜などが砂塵を吸い込んで健康に悪影響を与えたりするなど、多数の被害が発生します。

 海を隔てた日本でも、黄砂の季節になると建物や野外の洗濯物・車などが汚れるといった被害が報告されています。東アジア全体での経済的損失は、日本円に換算して毎年7000億円を超えるとされています。

 発生地に近いほど、砂塵の濃度は濃く、大きな粒が多く、飛来する頻度も高い傾向にある。モンゴル、中国、韓国などでは住民の生活や経済活動に多大な支障が出る場合があり、黄砂への対策や黄砂の防止が社会的に重要となっています。

 近年は東アジア各国で、黄砂による被害が顕著になってきているとされており、一部の観測データもこれを裏付けています。これに加えて、環境問題への関心が高まっていることなどもあり、黄砂に対する社会的な関心も高まっています。

 一方、黄砂が自然環境の中で重要な役割を果たしていることも指摘されています。飛来する黄砂は、洪水による氾濫堆積物や火砕物と並ぶ堆積物の1種であり、土地を肥やす効果があります。また黄砂には生物の生育に必要なミネラル分も含まれており、陸域だけではなく海域でもプランクトンの生育などに寄与しています。


つづく