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トルコの世界遺産7-2

トロイの考古遺跡(1998年)

青山貞一 Teiichi Aoyama  池田こみち Komichi Ikeda 共編
掲載月日:2015年1月23日 更新:2019年4月~6月、 公開予定日 2020年7月31日
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 次はトルコの世界遺産7-2です。

トロイの考古遺跡 1998年


出典:Wikipedia

イリオス遺跡の構成


イリオス遺跡からの眺め
User: Bgabel at q373 shared, CC 表示-継承 3.0, リンクによる
Source:Wikimedia Commons


Troy IXでオデオン、紀元前124年
Carole Raddato - Flickr: Troy (Ilion), Turkey, CC 表示-継承 2.0, リンクによる
Source:Wikimedia Commons

 現在までの調査によると、イリオスの遺跡は9層から成り、シュリーマンが『イーリアス』当時のトロイアのものだとした第II層Gは、紀元前2500年から紀元前2200年のものだということがわかりました。

 第I層、すなわち最初の集落は紀元前3000年頃に始まっており、初期青銅器時代に分類されます。第II層は、エーゲ海交易によって栄えたと考えられており、トロイア文化ともいうべき独自の文化を持っていました。城壁は切石の下部構造を持ち、入り口は城壁を跨ぐ塔によって防衛されています。しかし、その後の第III層から第V層は繰り返し破壊されており、発展的状況は認められません。

 紀元前1800年から紀元前1300年に至る第VI層において、イリオスは再び活発に活動を始めています。『イーリアス』の時代とされるものは紀元前1200年ころの第VII層Aでしたが、これはシュリーマンの発掘によって大きく削られてしまったため、ほとんど何も残っていません。

 この時期に規模は拡張されていますが、それでも曲輪の直径は140m程度で、都市機能はかなり矮小であると言えます。従って、イリオス遺跡は都市というよりは城塞です(ただし、周辺一帯の大規模な発掘によって、曲輪の外側に都市機能が認められる可能性はある)。

 第VII層Aはすぐに崩壊し、後に貧弱な第VII層Bが続いていました。その後に第VIII層、第IX層が続くが、これらはギリシア人・ローマ人による町の遺構です。

 トロイア戦争の時代を、ヘロドトスは紀元前1250年、エラトステネスは紀元前1184年、Dourisは紀元前1334年と推定しました。トロイア戦争時代と推定される第VII層の発掘では、陶磁器の様式から、紀元前1275年から紀元前1240年と推定されています。

 シュリーマンの発掘した遺跡がトロイア戦争の舞台として登場する古代都市イリオスであるか否かは議論のわかれるところです。ホメロスの『イーリアス』には複数の都市に関する伝承が混合している可能性が指摘されており、その複数の都市の中に、シュリーマンが発掘したこのトロイア遺跡が含まれているということについては概ね合意が得られています。

 しかし、ホメロスの『イーリアス』それ自体に考古学的事実と符合しない部分があり、また、最も重要な証拠となるべき第VII層の大部分がシュリーマンの発掘によって消失しているので、イリオス遺跡が伝説上のトロイアであるという決定的な証拠はありません。ホメロスの伝承が全く架空の伝承とする立場もないわけではありません。

 とは言え、この遺跡の発掘が考古学の発展に与えた影響は大きく、そういった意味からもユネスコの世界遺産に登録されています。

ヒッタイトの記録によるイリオスとトロイア


イーリオス(トロイア)
Bibi Saint-Pol - Own work. Data from http://www.goddess-athena.org/Museum/Temples/Troy/Troy_Plan.html and http://clubachille.free.fr/img_armees/troie_plan.jpg., パブリック・ドメイン, リンクによる
Source:Wikimedia Commons


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