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三陸海岸 津波被災地 現地調査
G浸水域と神社
2011年8月23日〜25日
青山貞一  東京都市大学 池田こみち 環境総合研究所
掲載月日:2011年8月28日
 独立系メディア E−wave 無断転載禁

●特集:三陸海岸(岩手県南部・宮城県北部)津波被災地現地調査報告
@訪問被災地   H影響波高
A映像で見る津波被害ー1   I津波の力
B映像で見る津波被害ー2   J壊滅した釜石巨大堤防
C映像で見る津波被害ー3   K自然破壊
D釜石市知人インタビュー   L環境汚染
E過去の津波被害   M生かされぬ教訓
F生死の分かれ目   N復興に向けての提案ー1
G浸水域と神社   O復興に向けての提案ー2

 池田こみちさんの<生死の分かれ目>、大槌稲荷神社の宮司インタビューとの関連で、現地調査中、私たちは日本全国、神社(寺院ではなく神社)が何段もの階段を上って行き着く高台にあることを感づいていた。

 ごく最近書いた私たち環境総合研究所の北軽井沢近くにある中条町の赤岩神社そして妙義神社についてブログを書いたときも、何10段、いや合計で200段以上にもなる階段について書いていた。

◆青山・池田:真夏の上信州、歴史探訪〜六合の赤岩神社@
◆青山・池田:真夏の上信州、歴史探訪〜六合の赤岩神社A
◆青山・池田:真夏の上信州、歴史探訪〜大改修中の妙義神社

 もちろん、上記の神社は沿岸部に建っていないが、よく考えると河川との関連を考えるとそれなりに分かる。

 一方、池田さん<生死の分かれ目>、大槌稲荷神社の宮司インタビューの最後に書かれた軽井沢別荘に行く度に私たちがお参りしている鎌原観音は、浅間高原の高台にあり、江戸年間の浅間山の巨大な火砕流、土石流から村民を救ったという実話がある。

◆青山貞一:上州高原の晩秋短訪 F嬬恋村の鎌原観音堂
 
 もとより神社仏閣は、欧米で言えば教会や大聖堂などと同様、どこの町にもあり、いずれも数100年の歴史を持っている。1000年以上の歴史をもっているものも少なくない。もちろん、火災や戦争で破壊され再建されたものもあるだろう。

 しかし、被災地だけでなく大都市以外の地方にある神社の多くが高台に立地され、何段もの階段や長い勾配のある参道の上にあることはほぼ間違いないところだ。

●TBSの特集番組

 私たちが三陸海岸(岩手県南部、宮城県北部)にでかけたのは、2011年8月23日からだが、8月20日のTBS 報道特集で、なぜ?神社の手前で大津波が止まったワケ (2011/8/20 放送)が放映されたそうだ。

 至極残念だが、私たちはこの特集を見ていなかった。

 TBSの番組案内によると、「福島県の沿岸を調べていくと、不思議な現象が確認された。東日本大震災で起きた津波の浸水域の線上に多くの神社が無傷で残っていたのだ。今回、私たちの取材で浮かび上がってきたのは、何百年・何千年の昔から伝わる先人たちの知恵、いわば『いにしえの警告』とも呼べるものだった」とある。

 さらに、なぜ?神社の手前で大津波が止まったワケとあり、以下のようなリードを見つけた。

▽福島県沿岸部の82の神社と津波の浸水域の不思議な符合
▽宮城でも岩手でも・・・
▽相馬市長が語る言い伝え
▽古文書に残されていた記録・・・慶長の大津波(1611年)
▽江戸時代の街道と宿場町にも先人の知恵
▽地名にも表れる過去の災害の教訓
▽貞観津波(869年)と神社の教訓
▽東京電力と東北電力の津波の想定
▽生かされなかった2年前の警告
▽20メートル削り取られた敷地に立つ福島第一原発

 そこでYouTubeに再録されていないかと探したが、残念ながら今のところ見つけられなかった。さらにツィッター情報を探すと以下が出てきた。


@feichoi観ていただいて感謝。明日の報道特集もぜひ。なぜか、たくさんの神社が津波被害を免れたのですが、それはなぜか、というちょっと異色の特集です。6時15分すぎからです。よろしく
takasehitoshi 2011/08/19 17:52:17

きょうの報道特集、ぜひご覧ください。いまテロップを入れる作業をしています。TBS報道特集「特集:神社の前で止まる津波」津波被害を調べていた調査員は不思議なことに気づいた。津波が到達した「浸水線」をたどっていくと、なぜかそこに神社がある。
takasehitoshi 2011/08/20 11:52:11

神社のすぐ前まで波がひたひたと押し寄せた、そういう場所がとても多い。福島県沿岸部の神社82社を浸水地図に照合していくと多くの神社がきれいに浸水線の上に並んだではないか。まるで津波を止めたかのようにぎりぎりの場所に神社は建っていたのだ。
takasehitoshi 2011/08/20 11:54:31

神社が避難場所に指定されており、多くの人が助かっている。被災地の調査員は取材に「神様っているなと思いました」と答えた。取材でみえてきたのは、神社にこめられた後世への災害のメッセージ。先人の声なき警告を謙虚に聞くことを我々は忘れたのではないか。
takasehitoshi 2011/08/20 11:57:36

さらに福島第一原発と同じ高さの13メートルの津波が襲った女川原発はなぜ助かったのか。福島第一原発が30メートルの高台を削って10メートルまで敷地を下げた建設時の記録映像から見えてくるものは何か。スクープ取材で災害への備えに警鐘を鳴らす。
takasehitoshi 2011/08/20 12:00:22

『アースダイバー』を読んでみるといいかも。ヒントが書いてある。 RT @takasehitoshi: きょうのTBS報道特集「特集:神社の前で止まる津波」津波被害を調べていた調査員は不思議なことに気づいた。津波が到達した「浸水線」をたどっていくと、なぜかそこに神社がある。
yogi_kayu 2011/08/20 13:00:07


●今回視察した地域で浸水域と神社の位置を調査する!

 
そこで何はともあれ、今回視察した大槌、釜石、大船渡、陸前高田、気仙沼の沿岸域を対象に、沿岸域と神社の位置関係をグーグルマップ、グーグルアースを用いて調査してみた。

 以下が今回視察した岩手県南部、宮城県北部の三陸海岸にある神社の位置である。地図上、色及びで示している。地図では、今回訪問できなかった岩手県北部の山田町、宮古市も含まれている。

 なお、神社はグーグルの拡大率によって増えたり減ったりすので、以下に示した神社が実存するすべての神社を示しているわけではない。


三陸海岸(宮古市〜気仙沼市)にある神社の位置。
神社は地図上、色及びで示している。
出典:グーグルマップ  

 以下は今回の現地視察地ではないが、宮城県南三陸町から福島県内南部までの沿岸地域に存在する神社の位置である。


三陸海岸(南三陸町〜いわき市)にある神社の位置。
神社は地図上、色で示している。
出典:グーグルマップ  

 そこで、今回視察した北から大槌町、釜石市、大船渡市、陸前高田市、気仙沼市の順に立地位置をグーグルマップで拡大表示してみた。

 なお、色にあるA,B,C,、Dなどの表記は拡大縮小で神社との対応が変わることに注意して欲しい。

★大槌町


グーグルマップで見た大槌町の神社

大槌町中心部


 
以下は上記の拡大図

大槌稲荷神社
岩手県上閉伊郡大槌町安渡2丁目8−1


大槌稲荷神社の階段


大槌稲荷神社の位置  出典:グーグルマップ

大槌稲荷神社
 〒028-1105:岩手県上閉伊郡大槌町安渡2丁目8−1

 稲倉魂命・健御名方命二柱を御祭神として、当初は笹原稲荷の社名で、現在の寺沢の地に祀ってあったが、その後鳩崎(現在の釜鼻の地)に鎮座、 時代の経過とともに参拝者が増え境内が手狭となり、享保五 年(1720年)現在地、稲荷山に再遷宮 を以って社名を二渡神社と改称しましたが、昭和18年11月18日、社名を大槌稲荷神社と改め今日に至っています。 海の神社の特色を持ちながら、五穀豊穣・海上安全・富国安民の祈誓をこめられるなど、沿岸地方にあって霊験あらたかなお社として崇敬されています。(大槌商工会HPより)


大槌稲荷神社の宮司さんにインタビューする池田こみち。
岩手県大槌町にて  撮影:青山貞一


生死を分けた岩手県大槌稲荷神社の階段  撮影:青山貞一


生死を分けた岩手県大槌稲荷神社の階段にて 撮影:池田こみち

天照御祖神社
岩手県上閉伊郡大槌町吉里吉里


小鎚神社
岩手県上閉伊郡大槌町上町2


<参考>
津波と火災を免れた小鎚神社 岩手県大槌町 CNNニュース2011年4月7日
http://www.youtube.com/watch?v=USCSgcZmWGA


★釜石市



グーグルマップで見た釜石市の神社



グーグルマップで見た釜石市中心部と神社



 以下は上記の拡大図

尾崎神社
岩手県釜石市浜町3丁目


釜石市両石地区


 以下は上記の拡大図

両石神社こもり場
岩手県釜石市両石町第2地割69


釜石市唐丹地区


天照御祖神社社務所
岩手県釜石市唐丹町字片岸30


鵜住神社
岩手県釜石市鵜住居町第13地割79



★大船渡市


グーグルマップで見た大船渡市の神社

大船渡市中心部


 以下は上記の拡大図

加茂神社八坂神社社務所
岩手県大船渡市大船渡町字猪頭28?10





 以下は上記の拡大図

新山神社
岩手県大船渡市三陸町越喜来字肥の田33



★陸前高田市


グーグルマップで見た陸前高田市の神社

<参考>
島にもどった「ひょうたん島」──陸前高田から大槌へ



 以下は上記の拡大図

天照御祖神社
岩手県陸前高田市高田町字本丸28





 以下は上記の拡大図

月山神社
岩手県陸前高田市気仙町字月山25



気仙沼市


グーグルマップで見た気仙沼市の神社



 以下は上記の拡大図

五十鈴神社
宮城県気仙沼市魚町2丁目6?7


鹿折八幡神社
宮城県気仙沼市東八幡前2


八幡神社
宮城県気仙沼市松崎中瀬88


 上の拡大地図をザッと見ると、確かに示した神社の多くは沿岸域で浸水域ギリギリに立地していながら、いずれも破壊を免れていることが分かった。ただし、大槌稲荷神社以外は現地踏査していないので、3.11後のグーグルマップでの判断となる

追記
 
 三陸被災地調査3日目(2011年8月25日)の夕方に訪問した世界遺産となった中尊寺でも、一番高台にあったのは神社(白山神社)であった。


平泉町にある世界遺産となった中尊寺と白山神社 


白山神社 動画撮影:青山貞一

 ちなみに福島県南相馬市に放射線測定ででかけた際、相馬太田神社に参拝した。以下はそのときの写真である。この太田神社は南相馬の津波被災地のすぐそばにあるが、写真にあるように、神社は数10段の階段の上の高台にあることが分かる。


相馬太田神社にて 2011.6.19
左から斉藤さん(南相馬住民)櫻井勝延市長、青山貞一、池田こみち
撮影:鷹取 敦


つづく