ボロブドウール寺院遺跡群 Archaeological site of Borobdur temple ボロブドゥール寺院 外観・構造・建築 青山貞一 Teiichi Aoyama 池田こみち Komichi Ikeda 掲載月日:2017年1月31日 独立系メディア E−wave Tokyo 無断転載禁 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
◆ボロブドゥール寺院の外観・構造・建築 外観 ボロブドゥールは、平原の中央にある半径約50mの自然の地形の上に盛土し、安山岩や粘板岩を積み上げてつくられています。寺院として人びとに信仰されてきた建造物ですが、内部空間を持たないのが際だった特徴です。 遺跡の総面積はおよそ1.5万m2あり、高さはもともと42mありましたが、破損して現在は33.5mになっています。 下はグーグルアースで見た現在のボロブドゥール寺院です。 Source:Google Earth 以下は現地の案内板にあったボロブドゥール寺院の門の方位です。下の図では方位は下は東門でホテルに最も近い門です。時計回りで次が南門、写真中上が西門です。さらに右が北門となっています。多くの参拝者、観光客は東門からボロブドゥール寺院に入り、登ります。 現地の案内板にあったボロブドゥール寺院の方位 撮影:青山貞一 Nikon Colpix S9900 2016-11-17 構造 ボロブドゥール寺院の構造としては、いちばん下に一辺が約115mの屈折した方形の基壇があります。そして、その上に基壇と相似形をなし、やはり屈折した5層の方形壇があります。そしてさらにその上にたくさんのストゥーパ(仏塔)を置く3層の円形壇があります。 ボロブドゥール寺院の断面図 出典:Wikipedia ボロブドゥール寺院はこのように全体として9層の階段型ピラミッド状の構造となっています。この構造は、仏教における三界をあらわしていると考えられています。なお、それぞれの高さの比は 2 :3 を基調とし、全体で 4 :6 :9 の比によって構成されています。 下図は、このボロブドゥール寺院の構造を断面(Cross Section)で表現したものです。 ボロブドゥール寺院の断面図 Source:A Divine Inspiration ボロブドゥール寺院の断面図撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900 2016-11-18 下はボロブドゥール寺院のラフスケッチの断面図です。この図では、土台となる半径約50mの天然の丘に盛土してつくられていることが分かります。この断面図は翌日行ったボロブドゥール博物館に展示されていたものです。 ボロブドゥール寺院の断面図 出典:ボロブドゥール博物館 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900 2016-11-18 なお、ボロブドゥール寺院では外層、内層ともに四方(東ー西ー南ー北)に階段をもち、各面いずれも全く同形、同構造です。どれを正面とするかわからない、幾何学的に均斉な構造となっています。とはいえ、実際には東が正面となっています。 仏像は、第1回廊から第4回廊の壁龕(くぼみ)に432体、3段の円形壇の上に築かれた釣鐘状のストゥーパ72基の内部に1体ずつ納められており、いずれもひとつの石造りによって等身大につくられ、計504体を数えます。 下はマノハラ・ホテルのフロントの左隣にあった3次元CG(コンピュータグラフフィックス)によるボロブドゥール寺院の立体図です。門は四方(東ー西ー南ー北)と4方位にありますが、見てお分かりのように完全なシンメトリーの構造、配置となっています。 ホテルにあった3次元CGによるボロブドゥール寺院 撮影:青山貞一 Nikon Colpix S9900 2016-11-19 以下は「Prayer in Ston」という著作からです。 Source: Prayer in Ston 撮影:青山貞一 Nikon Colpix S9900 2016-11-19 Source: Prayer in Ston 撮影:青山貞一 Nikon Colpix S9900 2016-11-19 資材 ボロブドウール寺院の建築資材は、厚さ20cmから30cmの切石(煉瓦様ブロック)です。 ブロックは質の粗い黒灰色の安山岩や凝灰岩を切断して製造されており、寺院はこのブロックを積み上げて建造されています。使用されたブロックの個数は<200万弱>に及び容積は5万5,000m3、総重量は約350万tにもなるといわれています。 下の石は、まさにその切石(煉瓦様ブロック)です。 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900 2016-11-17 これらの数字を見ただけでも、ボロブドウール寺院がいかに巨大であるかが分かります。 つづく |