A Field Trip on Environmental Mission, Strategy and Policy
in State, Cities and NPO/NGOs in California, March 2008

2日目:オークランド、バークレー

青山貞一 Teiichi Aoyama  池田こみち Komichi Ikeda
March 2008 転載禁
カリフォルニア環境紀行:6日目:オークランド・バークレー 全体概要  初日;SanFrancisco
2日目:SanFrancisco(Greenaction) 2日目:Oakland City-Berkeley(GAIA) 2日目:SFO Down Town
3日目:SFO Golden Gate Park  3日目:City of SFO  3日目;Berkeley(Urban Ore, GCM)
4日目:San Pablo Bay  4日目: Sacramento (State EPA, State Assembly, State University)
 5日目:LakeTahoe South  5日目:LakeTahoe North   5日目:Sacramento Old Town
 6日目:Altamont Path(Wind Farm)  6日目:SantaCruz & Half Moon Bay
 番外;Flower

◆2008年3月25日(火)午後

 25日の午後は、グリーンアクションのブラッドリーさんの案内でサンフランシスコ湾の対岸にあるオークランドにあるオークランド市のゼロウエイスト、廃棄物の担当者に会うことになった。お昼もオークランドするという。

■オークランド市


サンフランシスコ・ベイエリア周辺地図

 すでにオークランドに市役所のゼロウエイスト政策の担当者やゴミの反焼却問題に全世界的に取り組んでいるサンフランシスコに拠点をおく
NGOGAIA(ガイア)のメンバーにも声をかけているという。

 そこで自動車は駐車場に置いたまま、シビックセンター駅からBARTBay Area Rapid Transportation)でオークランドに向う。

 途中いったん路線を乗り換え、サンフランシスコからオークランド駅に到着。


BARTの改札口(サンフランシスコ、シビックセンターにて)
撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S10 in SFO, California



これがBART
撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S10 in SFO, Californi
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 オークランド議会、市役所本館をちょっと見たうえで、市役所の担当者と会うために昼食を予約しているベトナム料理の店に向う。市役所前はサクラが満開だ。天気もよく、テークアウトで食事をとる職員もいる。


オークランド市役所前のサクラ。すでにオークランドでは満開だった。
撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S10 in Oakland, California



オークランド市ダウンタウン
撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S10 in Oakland, California



オークランド市役所前広場
撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S10 in Oakland, California


 ベトナム料理店に行く途中、下の写真にある自転車パーキングがあった。広場の一角で自転車を小さな箱の中に入れ保管しているように見える。おそらく有料だが安心して保管するシステムなんだろう。


オークランド市役所前広場にあった自転車パーキング。この中に自転車が入っている
撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S10 in Oakland, California


 オークランド・トリビューンという新聞の伝統ある建築物の本社前にベトナム料理の店があった。


オークランド・トリビューンという新聞の本社
撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S10 in Oakland, Californi
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 店の前で待つこと数分、オークランド市のゼロウエイスト担当者、ガイアの若いメンバーが到着し、ベトナム料理のレストランで昼食を取る。私は豆腐をココナッツソースでまぶしたマーボー豆腐に似た豆腐料理を注文する。ぴりっと辛くておいしい。

 オークランド市の担当者はあらかじめ市のゼロウエイストプラン案を持参され、それにもとづいてオークランド市のゴミ事情、今後の計画を説明してくれる。オークランドのゼロウエイスト政策案は、先行する隣の大都市、サンフランシスコ市のゼロウエイスト政策を見本としたものだが、オークランドはサンフランシスコが大都市で商業と住宅の町であるのに対し、工業、物流、業務を中心としたいわば工業都市であることもあり、住民のゴミ問題に対する意識もサンフランシスコに比べて遅れている。


 ●訪問先:オークランド市(City of Oakland)
   議論相手:環境・リサイクル部門担当者
   議論及び情報収集内容:
   (1)オークランド市の廃棄物・リサイクル政策、施策の歴史
   (2)オークランド市のゼロウエイスト戦略・政策・施策プラン
     The Future: A "Zero Waste" Oakland
   (3)議論

   オークランド市のゼロウエイスト戦略に関するWeb
   http://www.zerowasteoakland.com/Page749.aspx


カリフォルニア州内の都市の人口、面積、人口密度

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 それでもグリーンアクションやガイアといった強力な環境NGOが近くにあることもあり、廃棄物を燃やして埋める方式の日本のゴミ処理よりはましである。

 ただ、サンフランシスコや私たちがよく行くカナダのハリファックス市のように、家庭から出る生ゴミの堆肥化や容器のデポジットなどは取り入れていない。工業地域でもありアメリカのまちによくある埋め立てが中心となっている。

 サンフランシスコやバークレイには若干後れを取ったが、これからゼロ・ウェイスト計画の実現に向けて取り組んで行くとのことで、今後が楽しみである。

 担当者は、持参した2006年11月28日につくったゼロウエイスト戦略計画をもとに説明する。計画によれば商業・業務・物流・業務などの産業廃棄物と家庭系廃棄物を合わせ1990年当時58万トンあった年間のゴミ処理量は2005年(現状)で40万トン、2010年で30万トン、2015年で15万トン、2020年に4万トンに削減させる計画になっている。

 人口約40万人の米国を代表する都市としては、非常に大胆な計画である。ちなみに2005年では、上記の廃棄物総量のうち家庭系廃棄物の割合は33%である。家庭系ゴミのうちシングルファミリーは23%、マルチファミリーの割合が10%となっている。

 ゼロウエイスト計画では、ゴミの排出削減とリサイクル、3R市場の創造、中小企業リサイクルとそれへの技術支援、廃棄物削減のためのパートナーシップの確立、環境ビジネスの創造、有機物市場の創造などがある。施策としては、補助金をゴミ削減のためのインセンティブにシフトさせること、製造過程の改善による廃棄物発生の削減、環境ビジネスの持続的育成、小売業者・消費者への情報提供、ゴミ問題・環境問題に強い消費者づくり、製造者責任の強化、資源回収のための土地利用、資源再利用分野での雇用創出などがあり、いずれも工業、物流、業務、商業などをまきこんだ廃棄物政策となっているのが特徴だ。

 そのオークランド市は、現在、生ゴミや調理済みの有機物を堆肥化し農家などに提供する堆肥化事業を市内、2,3ヶ所で試験的に行いだしているという。


オークランド市政策担当者、グリーンアクション代表と。オークランドにて
Photo: Komichi and Teiichi with city staff in Oakland
撮影:Nikon CoolPix S10 in Oakland, California


オークランド市政策担当者、GAIAのスタッフと。オークランドにて
Photo:Komichi and Teiichi with city staff in Oakland
撮影:Nikon CoolPix S10 in Oakland, California

ガイア(バークレー市)

昼食後、ガイアのメンバー、デーブさんの案内で産業都市のオークランドからカリフォルニア大学バークレー校で有名なまち、バークレーに向った。というのも、ガイアの代表が私たちに会いたいと言っている、というのである。


バークランドのGAIAの事務所近くの路上で廃棄物分別状況を調査
Photo:Komichi and Teiichi in Berkeley
撮影:Nikon CoolPix S10 in Berkeley, California


バークレーのGAIAの事務所近くの路上で廃棄物分別状況を調

撮影:Nikon CoolPix S10 in Berkeley, California

 後でわかったのだが、その代表は1999年当時、私たちがやっている環境
NGO、環境行政改革フォーラム主催で東京で開催した「環境正義」問題に関するセミナーに米国からグリーンピースメンバーとして参加していたネール・タングリ氏だった。そのタングリさんが私たちに会いたいということもあり、予定を変更して25日の午後、バークレーに向ったのである。

 バークレー市はまさに3万3千人の学生を要するカリフォルニア大学バークレー校のキャンパスがあるまちだ。


バークレーのまちなみ。右奥の丘の上がカリフォルニア大学バークレー校
撮影:Nikon CoolPix S10 in Berkeley, California


 人口の多くは学生や教職員。したがってお隣のオークランドのように工業や物流の町というより、学生のまちである。町の姿も高層ビルはなく、ゆったりとした学園都市である。バークレーの目抜き通りであるサン・パブロ通りを途中で海側に曲がったところにガイアのオフィスがあった。木造二階建ての2階だ。ガイアでは二―ル・タングリさんと女性のスタッフが出迎えてくれた。女性のスタッフは生後4ヶ月の赤ちゃんを抱っこしての参加だ。


 ●訪問先:ガイア(GAIA)
      Global Anti-Incinerator Alliance
      Global Alliance for Incinerator Alternative
     議論相手:代表者、スタッフ
     議論及び情報収集内容:
     (1)フィリピン、台湾、インドネシアなどアジア諸国への
       日本からの焼却炉・溶融炉輸出への反対活動
     (2)サンフランシスコ・ベイエリア、米国、世界における
       「脱焼却」の具体的活動
     (3)廃棄物焼却による気候変動、地球温暖化への影響に係わる
       GAIAの取り組み
     (4)議論

GAIAについて(About GAIA)
The Berkeley Ecology Center and GAIA organized a Zero Waste Fellowship for activists from NGO's around the world, to continue to combat the construction garbage incinerators in their respective countries and to provide an alternate vision of Zero Waste. The fellows are all active in Zero Waste programs in their home countries, and the goal of the fellowship is to provide a forum for exchanging ideas and experiences to reduce waste. The fellowship also provided hands-on training in setting up recycling and related programs, as well as insights into the role of NGOs, public education and policymaking in promoting waste reduction.

    GAIAのWeb
    http://www.no-burn.org/
    http://www.no-burn.org/zwfellowship/index.html




バークレーにあるガイアの事務所にて
Photo: Komici with GAIA menbers in Berkeley
撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S10 at GAIA office in Berkeley, California


バークレーにあるガイアの事務所にて
Photo: Neil Tangri, Leader of GAIA in Berkeley
撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S10 at GAIA office in Berkeley, California

 ガイアはフィリピン、台湾、インドネシアなど東南アジア諸国のごみ問題、とりわけ 日本の焼却炉メーカーが日本市場の飽和から、アジア諸国に焼却炉や溶融路を輸出することにより日本型の燃やして埋める20世紀の日本型ゴミ政策となることに反対している。

 もちろん、その他、地球温暖化、気候変動はじめ重金属汚染、大気汚染問題などの分野でも活動している。グリーンアクションがキャンペーン活動中心なのに対してガイアは調査研究などシンクタンク的な機能も備えている。

 理論的に焼却主義の問題点を追及している組織でもあり、
ERIとも近いものを感じた、温暖化との関係では、堆肥化による温室効果ガスの削減、バイオエネルギー、ごみ発電による二酸化炭素の排出増、CDMによる途上国における排出増などを理論的につめていく必要があると指摘していた。

 たとえば世界一のごみ焼却国、日本では、国が市町村に巨額の補助金や特別交付金を出してゴミを燃やし埋め立てる施設、すなわち焼却炉や管理型処分場の建設を推進してきた。

 その結果、日本は米国を上回るゴミ焼却大国になってしまった。さらに日本の重厚長大メーカーはそれにとどまらず、日本で焼却炉、溶融路の建設が一段落すると、アジア諸国に焼却炉や溶融炉をセールスプロモーションをかけた。

 GAIAでの議論を終え、私たちは車を置いてあるサンフランシスコのに戻った。

 つづく

 
カリフォルニア環境紀行:全体概要  初日;SanFrancisco
2日目:SanFrancisco(Greenaction) 2日目:Oakland City-Berkeley(GAIA) 2日目:SFO Down Town
3日目:SFO Golden Gate Park  3日目:City of SFO  3日目;Berkeley(Urban Ore, GCM)
4日目:San Pablo Bay  4日目: Sacramento(State EPA, State Assembly, State University)
 5日目:LakeTahoe South  5日目:LakeTahoe North  5日目:Sacramento Old Town
 6日目:Altamont Path(Wind Farm)  6日目:SantaCruz & Half Moon Bay
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