私達は長谷寺を後に、信綱寺に向かいました。 長谷寺には、真田幸隆、同夫人、真田昌幸の墓がありましたが、信綱寺は、その名のように真田信綱の菩提寺であるとともに、信綱の実の弟、真田昌輝の菩提寺でもあり、墓には墓石が並んでいます。 このように、長谷寺と信綱寺には、真田家のいわば勇猛果敢、中核的なひとびとが眠っています。ここでは、真田信綱と真田昌輝の二人の紹介とともに、真田昌幸が建立した信綱寺について詳しく紹介したいと思います。 まずは真田信綱と真田昌輝を紹介します。 以下は真田信綱と真田昌輝の概要です。信綱寺でいただいたパンフレットからです。  出典：真田三代に出会うＭＡＰ 上田市  出典：真田三代に出会うＭＡＰ 上田市 ◆真田信綱（さなだ のぶつな） 真田 信綱は戦国時代の武将です。武田信玄、勝頼の二代に仕える。幼名は源太。官途は左衛門尉。武田家の騎馬２００騎持の侍大将でした。武田二十四将にも数えられています。  ・家系 甲斐国守護・武田氏に仕える他国衆・真田幸隆（幸綱）の嫡男です。母は真田家の譜代家臣・河原隆正の妹（また『仙台真田代々記』では飯富虎昌の娘とも）。室は「於北様」と呼ばれ、北信濃の旧族・高梨政頼や井上次郎座衛門の娘とする説があります。 子に真田与右衛門、真田信興、真田信光らがいます。与右衛門は越前松平家へ仕官しました。信光は孫との説もあります。孫の場合は、信興の息子か『滋野世記』に拠れば、娘は信綱の弟・真田昌幸の嫡男・信之の室（はじめ正室、のち側室）となったといいます。  出典：真田三代に出会うＭＡＰ 上田市 ・真田信綱の生涯 天文6年（1537年）生まれである事は『信綱寺殿御事蹟稿』で明らかです。同母弟の昌幸・信尹らが幼年期から武田信玄に近侍しているため、信綱も早い時期から信玄に出仕していたと考えられています。 確実な初出史料は真田氏の氏神四阿山白山神社奥宮に奉納された父・幸隆と連名の連署で、武田家へ仕えていますが初陣や出仕時期など前半生は不明です。 これは父・幸隆と生涯が重なるためで、前半生の大半は幸隆が前面に出ていたため、信綱の記録はほとんど見られません。父と連署している事から、この時点で既に嫡子・家督相続者としての地位を固めていたとされています。 『甲陽軍鑑』によれば永禄4年（1561年）の第4次川中島の戦いでは父・幸隆と共に妻女山攻撃の別働隊に加わっていたといいます。永禄6年（1563年）の岩櫃城攻略の前後から、幸隆は上野吾妻郡での活動が主となっており、信濃の本願地は後継者である信綱が事実上支配していたと思われます。 『軍鑑』に拠る元亀3年（1572年）、「信玄惣人数書上」によれば幸隆に代わって信濃先方衆の筆頭に挙げられており、この頃には世代交代が済んでいると推測されており、史料の検討から西上野侵攻作戦が行われていた永禄10年（1567年）までには継承が行われていたと考えられています。 戦場では専ら父・幸隆や弟の真田昌輝らと共に行動しており、幸隆と共に信濃国や上野国を転戦し、永禄11年（1568年）には昌輝と兄弟で駿河国攻めの先鋒を担い、永禄12年（1569年）の三増峠の戦いでは昌輝や内藤昌豊とともに殿軍を務めて戦功を挙げています。 その後も主要な戦いには必ず名を連ね、主に先鋒として活躍しています。また近年では箕輪城城代であったとする説も有力で、準譜代としての待遇を得ていたようです。元亀3年（1572年）の信玄の西上作戦にも従軍し、三方ヶ原の戦いでは武田軍の先手を務めて奮戦していました。 ・信綱の人物 真田信綱は信玄に将来を嘱望されるほどの豪勇の持ち主で、弟の昌幸も信綱の勇を尊敬していたといいます。甥（昌幸の次男）の真田信繁に信綱と同じ「左衛門」を名乗らせているのは信綱のように剛勇になってほしいという昌幸の期待があったといわれています。 初陣である信濃小岩岳城攻めで一番槍の功名を挙げるなど豪勇の士であり、「若年より武勇抜群、信玄・勝頼両代のうち、攻城、野戦、その功すこぶる多し」と評されています。 もうひとり、この信綱寺の墓で、信綱の隣に墓があるのが真田昌輝です。上の家系図を見ればわかるように、昌輝は昌幸同様、信綱の弟なのです。せっかくですので、真田昌輝についても紹介しておきます。 ◆真田 昌輝（さなだ まさてる） 真田昌輝は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将であり、甲斐武田家の家臣です。 甲斐武田家の騎馬５０騎持の侍大将です。父は真田幸隆で次男です。同母兄に信綱、同母弟に昌幸、信尹らがいます。幼名を徳次郎。兵部丞、兵部少輔と言い、名は信輝とも。武田二十四将にも数えられています。長篠合戦で奮戦するも戦死しました。 せっかくなので、真田昌輝公の生涯についても紹介しておきましょう。  生涯 天文12年（1543年）6月に岩尾城で生まれたとするが、異説もあります。小姓として武田信玄に近侍し、信玄により、有力武将の子弟が任じられる「百足衆」に抜擢されます。信玄に常に付き従い、「一之先衆七千」を務め、「兵部は我が両眼なり」とまで言わしめたという逸話が残っています。 『甲陽軍鑑』では、信玄から別家を立てる事を許されて独立し、真田本家の長兄・真田信綱の２００騎とは別に５０騎を預かる将として活躍し、信州先方衆の副将格でした。 なお、所領は真田郷の周辺に与えられたと思われるが、在城地などは不明です。兄・信綱とともに出陣する事が多かったが、単独でも出陣、戦功を挙げました。 永禄11年（1568年）には信綱と駿河国攻めの先鋒を担い、永禄12年（1569年）の三増峠の戦いでは信綱や内藤昌豊とともに殿軍を務めて戦功を挙げています。 つづく |
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