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(1)序論 (2)富士山型 (3)釣り鐘型 (4)砲弾型 (5)航空管制型 (6)中東特別型 (7)日本の消費高齢化の現状と将来 (8)世界の人口問題と持続可能性 ここでは日本を事例として、人口ピラミッドから現状と将来を分析、評価してみます。 まず最初に、「少子高齢化」を以下のように定義しておきます。 少子高齢化は出生率(子供が生まれる人数)が減る一方、医療の発達により平均寿命が延びたことが原因で人口全体に占める子供の割合が低下(少子化)し、65歳以上の高齢者の割合が高くなること(高齢化)を指します。 下は2017年の日本の<航空管制塔型>の人口ピラミッドです。日本の<航空管制塔型>の人口ピラミッドでは、まさに少子高齢化化そのものとなっており、さらに高齢化の波は2段(回)にわたって到来します。 Source: Population Pyramido 下図は、上の人口ピラミッドを90度左回転させたものです。 左端が第1次ベビーブーム、その右の山が第2次ベビーブームを表しています。 一方、下図の中央より右側は少子化状態を表しています。 出典:厚生労働省、人口動態資料 ◆日本の2100年までの将来人口推計と人口ピラミッド 以下は、2017年以降、2015年、2035年、.....と2085年までの日本の人口ピラミッドを推計し、人口ピラミッドで表示したものです。 将来予測を見ると、高齢化の影響は2065年頃まで続き、少子化の影響が和らぐのは2085年、2100年となることが分かります。 もちろん、以下の将来予測は、政府、自治体などの関連政策が従来のママの場合であり、たとえば、中東特別型のようにある年齢以上からある年齢以下までの男子を大量の移民するような場合には、パターンは変わってきます。 2025年 2035年 2045年 2055年 122,839,664 104,453,370 2065年 2075年 2085年 2100年 98,291,341 83,174,943 Source: Population Pyramido 上述の将来予測では、日本人口が基準年の2017年において126,045,211人となっています。 将来予測では、2017年の約1億2600万人 が2100年では約8千300万人に、約4千315万人も減少しています。 上の図においてピラミッドはほぼ左右対称のシンメトリーに見えますが、図中、最上部の高齢化、超高齢化の部分では、いずれも女性の人口が男性を上回っています。これは以下の理由によります。 2017年の日本人の平均寿命は女性が87.26歳、男性が81.09歳で、ともに過去最高を更新したことが20日、厚生労働省の調査で分かった。16年に比べ女性は0.13歳、男性は0.11歳のプラス。過去最高の更新は男性は6年連続、女性は5年連続となった。男性は初めて81歳を超えた。国・地域別では、女性は昨年に引き続き世界2位だった一方で、男性は順位を1つ落として3位になった。 出典:日本経済新聞 2019年2月26日 これは同時に、日本の女性の世界一の平均寿命、日本の男性の平均寿命が世界第二位(第一位はスイス)となっており、日本では超高齢化が人口ピラミッドの縦・上方向に伸びていることを示しています。原因はいろいろ考えられますが、環境適応能力に優れている黄色人種の遺伝的要因、日本人の生活習慣、魚介類の摂取量が多い食生活、高度な医療技術、それに高齢者、超高齢者になるにつれ医療の負担が減る制度などがあげられます。しかし、高齢者をめぐる介護、福祉、家族の在り方については、課題もあります。 <航空管制塔型>の人口ピラミッドの上部は2段にわたり膨らんでいる部分がありますが、上層が第1次ベビーブーム、下層が第2次ベビーブームによって人口が増えています。他方、少子化の影響はゼロ歳から第2次ベビーブームの下方の35〜39歳あたりまで続きます。 以下は日本の2017年から2100年の総人口の推移予測です。 以下は上記の2017年から2060年の人口想定を総人口とともに、70歳以上人口、65歳以上〜74歳人口、15歳以上〜64歳人口、0歳〜14歳それぞれの内訳とともに年度ことに表示しています。 出典:高齢化の現状と将来像 内閣府 繰り返しになりますが、上記の予測から日本の場合には、このまま少子化が推移すると、人口が単調減少し、2100年には人口が約4287万人減ることになります。 第1次、第2次の高齢者の介護を担う少子化世代は、バブル崩壊後のリーマンショックや災害の多発、さらには、政府による経済政策のひずみによる格差の進行や財政健全化の遅れの影響を受け今まで以上に厳しい条件下で高齢化社会を担わされることになるのです。自分たちの世代が生活することだけで精一杯の暮らしのなかで、親やその上の世代を福祉まで手が回らなくなることは目に見えています。 事実、身の回りにもそのようなすさまじい例がでています。 当然のことながら、このような激しい消費高齢化は、健康保険、介護保険、年金などの社会保険についても大きな影響を与えます。高齢者が増え、他方それ絵を支える国民の数が継続的に減るのですから、当然、社会保険だけでなく財政、税制などにも影響が及びます。 事実日本では、年金の繰り上げ支給、支給額の削減などが毎年のように課題となり、健康保険についても、高齢者2割負担、超高齢者1割負担についても見直し議論が起きています。 しかしながら、日本の顕著な消費高齢化の人口構造は、何も今に分かったことではなく、相当前から分かっていたことです。 しかも、小泉政権、さらに安倍政権になって以降、多くの国民の収入のもととなる勤労報酬が、従来の正規雇用中心から非正規雇用、契約雇用などが増え、結果的に世帯、家族当たりの年収が大幅に減っています。年収が減るということは、社会保険のもととなる掛け金を増やすことは難しく、保険制度そのものの存在を危うくしています。以下はそれらを示すデータです。 しかも、この間の税制改革が所得税中心から消費税併用となっています。可処分所得が少なくなっている家計、家族にも、富裕層にも消費税は一律にかかわることから、3000万人を超えているという非正規雇用などの低所得者層にとって、消費税は重くのしかかるものと思われます。 ◆将来人口について ところで、日本の場合の人口問題は、本質的には人口総量の問題や少子高齢化の問題とは別に、歴史的見ると、明治以降、極度な中央集権化により極端に大都市にすべてが集中していることがあります。 周知のように、日本の江戸時代は全国に3000万人前後が、幕藩体制約300の藩のもと、地方分権で全国各地に居住していました。 その意味では、2100年に約83千万人となっても、狭い国土や欧州各国を見ると、まだ人口は多いとも言えます。もちろん、2100年に約83千万人ということよりも、2100年に至る過程で上述の多くの深刻な問題が生じます。 その傾向は現在でも変わっておらず、逆に首都圏の大東京圏(Greater Tokyo)への集中は現在でも進行しています。現在、3700万人以上が居住しています。 ※参考 以下の米国のブルッキングス研究所報告にある日本の「大東京都市圏」の人口は 2014年にで約3700人と報告書の中に記しています。。 米国ブルッキングス研究所 一人当たりGDPと雇用の伸び率で見た世界300都市経済圏ランク(序論) ※注意2 首都圏(出典:Wikipedia) 首都圏整備法による首都圏の範囲(青色の部分)日本における首都圏(しゅとけん)とは、 首都圏整備法に基づき整備・建設された関東地方1都6県である、東京都、神奈川県、 千葉県(東京大都市圏)、埼玉県、茨城県(東京圏)、栃木県、群馬県と山梨県を含む 地域である。日本における首都圏の範囲は、首都圏整備法において定義されている。 首都圏の総人口は、約4393万人である。東京都市圏では定義にもよるが約3,400-3,800 万人である。 首都圏に含まれる都県 Source: Wikipedia このような極度な首都圏への一極集中は先進国は日本以外にありません。したがって2100年前に人口が4300万人減ることへの対応と当時に、日本の首都圏への一極集中問題を解消する国土政策が不可欠と言えます。 ※ 参考 人口密度の高い国 (2017年) バングラ 1116.5人/平方km 韓国 505.6人/平方km ルワンダ 461.6人/平方km オランダ 410.0人/平方km インド 404.8人/平方km ハイチ 395.8人/平方km ベルギー 374.8人/平方km フィリピン 346.0人/平方km 日本 333.5人/平方km 日本の首都圏の人口密度 4,500人/平方km 先進国の大都市ではダントツの高密度 東京都の首都圏の人口密度 6,320人/平方km
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