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(1)序論 (2)富士山型 (3)釣り鐘型 (4)砲弾型 (5)航空管制型 (6)中東特別型 (7)日本の消費高齢化の現状と将来 (8)世界の人口問題と持続可能性 ここでは、人口ピラミッドタイプ別国家、地域とその特徴のうち、<中東特別型>について解説します。 ◆<中東特別型> 人口ピラミッドの諸国家と諸地域 【将来人口 2100/2017】 定常状態か増 ◆<中東特別型> 人口ピラミッドに実際に属する国、地域名 以下の6か国です。 中東 Bahrain Kuwait Oman Qatar Saudi Arabia United Arab Emirates この中東特別端は数が少ないので、6か国すべての人口ピラミッドを以下に示します。 バーレン(2017年) クウェート(2017年) オマーン(2017年) カタール(2017年) サウジアラビア(2017年) アラブ首長国連邦 UAR(2017年) ◆<中東特別型人口ピラミッドの特徴> 限られた中東湾岸諸国などに見られるタイプです。 この中東特別型は、ある年齢区分の男性が突出して多いのが特徴で、ある年齢から年齢までの男性を移民で受け入れている中東の諸国です。 以下は2017年におけるそれらの国々の人口と外国人人口の受け入れ実態の内訳です。ただし、カタールとUAEは船意図されています。出典は、日本エネルギー経済研究所 中東研究センター 主任研究員 堀拔 功二による論文「GCC 諸国における最近の外国人労働者をめぐる動向」です。 分かっているだけでも、全体人口に占める外国人の割合がクウェートの68.9%を筆頭に、サウジアラビアの37.4%と非常に高いことが分かります。 出典:、日本エネルギー経済研究所 中東研究センター 主任研究員 堀拔 功二 GCC 諸国における最近の外国人労働者をめぐる動向 さらに以下は、上記の外国人人口が判明している4カ国におけるここ5年(2014年〜2018年)の外国人人口の推移です。サウジアラビアの外国人人口が年を追い大幅に増加していますが、他のクウェート、バーレン、オマーンは微増か横ばいとなっています。 出典:、日本エネルギー経済研究所 中東研究センター 主任研究員 堀拔 功二 GCC 諸国における最近の外国人労働者をめぐる動向 中東湾岸諸国の国別の外国人労働者問題と対応 以下は、堀拔 功二氏の「GCC 諸国における最近の外国人労働者をめぐる動向」からの抜粋です。 クウェート クウェートでは近年,外国人労働者に対す る風当たりが強まっている。GCC(湾岸) 諸国で最 も民主的な議会であるクウェート国民議会では,保守的な議員が外国人労働者の削減を訴 えたり,送金税の導入が提案されるなど,締 め付けが厳しくなっている。 バーレン バーレーンは,2017年と2018年の2年連続で「もっとも人気のある滞在地」の第1位に選ばれている。「友好的な住民」「住みやすさ」などがとくに評価の高い項目であった。最近の主要な政策動向には,2017年7月に導入された「フレキシブル就労許可」(flexiblework permit)がある。これは,バーレーンに非正規で滞在する外国人に対して,自身をスポンサー(身元保証人)として2年間の滞在を許可し,特定の職種を除く分野での就労を認めるものである。 サウジアラビア サウジ政府は,サウジ人の失業率を2020年までに9%へ,2030年までに7%へと削減することを目標に掲げているが,国内の失業率は,2016年第3四半期の11.6%から2018年第1四半期には12.9%へと悪化している。労働政策の責任者は,2016年12月に交代されたが,2018年6月にアフマド・ビン・スレイマーン・ラージヒーに交代されており,失業問題の改善に苦労している様子がうかがえる。 カタール 2017年に発生した「カタール危機」は,国内に住む200万人を超える外国人の生活にも大きな影響を与えた。カタール危機をきっかけとした外国人従業員の解雇や賃金未払いも報告されている?一方で,カタール在住の外国人住民が同国の窮地を憂い,首長や国民との連帯を表明する興味深い現象も見られた。カタールは危機のさなかで国際的な支持を得るために,矢継ぎ早にさまざまな制度改革に踏み切った。このなかには,以前より国際的な批判を集めていた外国人労働者をめぐる問題への対応が含まれていた。 一連の改革のなかでもとくに画期的であったのは,外国人に対する永住権の創設である。 アラブ首長国連邦 周辺国の一部が外国人労働者を締め出す傾向にあることとは対照的に,UAEでは幅広い職種で外国人の採用を続けている。外国人にとっても UAE は就労先や滞在先として人気のある国であることから,政府は高度人材確保のために「外国人に優しい国」というイメージ形成に努めている。UAE 政府は2018年5月,ビザ制度の大幅な変更を発表した。新制度では,医師や科学者,エンジニアなどの高度人材およびその家族,外国人投資家に対して,最大10年間の滞在ビザを発給することが決まった。 ◆地図に見る現在の国別の人口成長率(2017年時点) 赤系は増加率が高い国、青系は増加率が低い国 世界の大部分の諸国が赤系です。とくに人口成長率が高い国々は、アフリカ諸国、中東のイラク、イエメンです。成長率は低いながら米国、ロシア、英国、中国、フランス、ドイツ、北欧諸国、オーストラリアなどのいわゆる先進諸国も含まれます。 一方、青系には、戦争で破壊されたシリア以外に、バルト諸国のリトアニアとラトビア、バルカン諸国のギリシャ、クロアチア、ボスニア、セルビア、南欧のスペイン、ポルトガル、イタリア、東欧のルーマニア、ブルガリア、ハンガリー、ウクライナ、中欧アジアのジョージア、さらに世界一少子高齢化国である日本などが含まれます。日本はアジアで唯一の人口マイナス成長国です。 Source:Population Pyramid Source:Population Pyramid ◆地図に見る現在の国別の人口密度(2017年時点) 人口密度は赤が一番高く、濃い橙、橙、黄、薄黄、白の順で低くなっています。 一見して分かるように世界で一番人口密度が高い地域はアジアであり、なかでもインド、バングラデッシュなどが赤色で高密度となっています。 濃橙には、日本、韓国、パキスタン、ベトナム、フィリピン、英国(ブリテン島)、ベネルックス3国などが、さらに橙色には、中国を筆頭に、ドイツ、イタリア、マレーシア、インドネシア、パプアニューギニア、DPRK(北朝鮮)などが含まれます。 他方、人口密度が薄黄、白の低い国としては、モンゴル、キルギス、ロシア、カナダ、ノルウェー、オーストラリア、ニュージーランド、チュニジアなどが含まれます。 Source:Population Pyramid Source:Population Pyramid (1)序論 (2)富士山型 (3)釣り鐘型 (4)砲弾型 (5)航空管制型 (6)中東特別型 (7)日本の消費高齢化の現状と将来 (8)世界の人口問題と持続可能性 |