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真夏の群馬北西部短訪

A迷走続ける八ッ場ダムと工事現場
青山貞一
掲載月日:2012年8月23日
 独立系メディア E−wave Tokyo
無断転載禁

 ◆特集:真夏の群馬北西部短訪 2012.8.17-8.20
@浅間山大噴火と鎌原観音  H暮坂高原の「花楽の里」
A迷走つづける八ツ場ダムと工事現場  I上信越県境の野反湖
B八ッ場ダムは公費乱費の典型  J品木ダムと草津温泉
C江戸の中山間地の生活を今に伝承  K四阿山とバラギ湖
D群馬満蒙拓魂之塔と浅間牧場  Lパノラマライン北ルート
E六合村の赤岩養蚕集落  M白根山をトレッキング
F六合村の赤岩神社  N「毛無峠」と小串硫黄鉱山跡
G六合村の上の観音堂  OGPSによる移動経路図

●八ッ場ダム工事現場

 鎌原観音でお参りをすませた後、私達は国道144号線、145号線を通り、長野原町にある八ッ場ダムの工事現場に向かった。

 あれほど騒がれた八ッ場ダム問題だが、今はマスコミでもほとんど話題にすらあがっていない。しかし、国民の血税、公金が約5000億円も群馬県長野原町に投入されている!

 民主党が政権奪取した2009年8月下旬、民主党政権で初代国土交通大臣となった前原誠司氏は、八ッ場ダム工事の中止を高らかに宣言したが、周知のようにその後八ッ場ダム工事問題は、民主党同様、迷走に次ぐ迷走となり、下の新聞記事にあるように、国土交通省出身の前田武志国土交通相は、八ツ場ダムの建設再開の決定を2011年12月に下している。

◆八ツ場ダムの建設再開決定 民主マニフェスト総崩れ
 朝日新聞 2011年12月22日

 前田武志国土交通相は22日、八ツ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)の建設再開を表明した。2012年度予算案に、凍結していたダム本体工事費を計上する。地元の意向を踏まえた判断だが、八ツ場ダムの建設中止は、民主党の09年の衆院選マニフェストの象徴。高速道路無料化や議員定数削減などと並び、主要公約は総崩れ状態になった。

 国交省はこの日の政務三役会議で、工事再開と本体工事費の予算案への計上を決定。前田氏は直後の閣僚懇談会で野田佳彦首相に決定内容を伝え、事業費を負担する1都5県などの関係自治体にも報告した。

 記者会見で前田氏は「マニフェストの結果通りにならなかったのは残念だが、苦渋の決断をした」と語った。そのうえで「効果のある代替案のないまま中断するのはよくない」と指摘。総事業費4600億円のうち、周辺工事に全体の8割近くが投じられていることを踏まえ、「あとは本体工事で、6、7年で完成する」と理解を求めた。

 前田氏はその後、ダム予定地の長野原町を訪問。地元自治体の首長らに建設再開を報告した。



八ッ場ダム工事再開問題@ 青山貞一 東京都市大教授
独立系メディア E-wave Tokyo

 
八ッ場ダム工事再開問題@ 青山貞一 東京都市大教授
独立系メディア E-wave Tokyo

 青山、池田は過去10年、20回以上、この八ッ場ダムの工事現場を現地調査しているが、実感として八ッ場ダム関連工事は、本体部分を残し、残りはほとんどすべて終了していると言ってよい。当初予算を倍増させ4600億円規模の予算の大部分は、本体工事を残し、すでに大部分が関連付け替え道路、橋梁、トンネル、鉄道、砂防ダム、河川改修、住宅移転、温泉などの事業補償などに使われていると言ってよいだろう。

 民主党はことごとく公約、マニフェストを反故にしているが、この八ッ場ダム事業を再開させたのは、その端緒と言えるものであり、国民に対しては未だまともな説明はなされてない。

 以下は長野原町における道路及び軌道用橋梁の位置図であるが、@、A、C、Dはいずれも完成しており、B、すなわち湖面第一号橋梁だけが残っていた。この橋梁は、道路用としては4本目となる。


八ッ場ダム計画対象地域における道路・鉄道付け替え事業計画図
出典:国土交通省

 ちなみに、以下は、@の国道145号線(高規格道路)が2008年に建設されているときに撮影した写真と動画である。

◆国道145号線(高規格道路)用の橋梁工事


撮影は2008年時点


@の橋梁建設現場を撮影する筆者 2008年時点
撮影:池田こみち、Nikon CoolPix S10

YOU TUBE映像

八ツ場ダム工事現場にて  2008年9月
撮影:青山貞一、Victor Digital Hi-Visonカメラ GR-HD1


 今回の視察では、ダムの本体工事は昨年度同様、進捗していなかった。

 下の写真は無惨に河川改修された吾妻川。遠方に橋梁がたくさん見えるが、これら建設された橋梁は、全体の一部にすぎない。


無惨に河川改修された吾妻川
撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8

 下の写真は、長野原町内で4本目となる一般県道用道路の橋梁となる湖面第1号(Bに相当)の工事現場である。長野原町で谷を結ぶために4本も巨大な橋梁(道路だけ)を新設すること自体、何とも異常であり異様だ。


一般県道用道路の橋梁となる湖面1号線(Bに相当)の工事現場
撮影:鷹取敦 Digital Camera CASIO EX-H20G


動画撮影:青山貞一 Yashica HD


一般県道用道路の橋梁となる湖面1号線(Bに相当)の工事現場
撮影:鷹取敦 Digital Camera CASIO EX-H20G


一般県道用道路の橋梁となる湖面1号線(Bに相当)の工事現場
撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8


撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8

 下の写真は、一般県道用橋梁(Aに相当)上で撮影したものである。

 この橋梁は、2009年秋の政権交代時に大きな話題となった八ッ場ダム工事として、新聞、テレビで工事中の写真が頻繁にニュースとなった橋梁である。


竣工した一般県道用橋梁(写真下)の上で
撮影:池田こみち Nikon CoolPix S10


竣工した一般県道用橋梁
撮影:池田こみち Nikon CoolPix S10

 下はやんば館から見上げた完成した一般県道用橋梁(Aに相当)の写真である。この橋の付け根近くに不動の滝がある。


竣工したAの一般県道用橋梁
撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8

つづく