エントランスへはここをクリック   
  
東九州自動車道

事業認定 事前差止

訴訟提起のお知らせ

掲載日:2008年8月10日

青山貞一:敢然と東九州道の路線変更に挑む農園主
@道路局は現代の「関東軍」か H土地を売らないの仮処分を提起
A民営化で進む高速道 I現地住民集会開催
B地場産業と環境を破壊する高速道 J行訴第10準備書面
C代替ルートの政策提案 Kルート変更求め集会
D総事業費の比較 東九州道、事業認定事前差止訴訟提起
E岡本氏と櫻井よし子氏 L事業認定差止訴状
F国会で大いに議論を! M第一準備書面全文
G欺瞞に満ちた道路特定財源案 N国土交通省ヒヤリング
H土地を売らないの仮処分を提起 O国土交通省との直接交渉

2008年8月10日 プレスリリース(第2報)

国土交通省による道路政策から
市民の手による道路政策への政策転換を
求める東九州自動車道 
事業認定事前差止訴訟提起のお知らせ。

日本一とも呼ばれるみかん農園と
住民の居住地を突っ切る
計画の見直しを求める!!



岡本栄一氏近影


東九州道の当局の路線(赤線)と岡本氏が提案する代替路線(黄緑)
(ただし、上図は九州道が豊前市に入った直後の部分のみを示している)


請求の原因

第1 本件の概要

 
本件は、高速自動車国道東九州自動車道(「東九州自動車道」)のうち、福岡県築上郡大字上ノ河内から大分県宇佐市大字山本までの区間(「本件区間」)について、その予定路線上に土地を所有している後記原告らが、土地収用法(昭和26年法律219号)第20条に基づく事業認定もしくは都市計画法(昭和43年法律第100号)第59条に基づく都市計画事業の認可を改正行政事件訴訟法37条の4によって導入された事前差止訴訟制度に基づいて差し止めようとするものである。

 原告の内、岡本栄一は既に御庁に対して東九州自動車道事業計画認可取消請求事件を提起し、平成18年(行ウ)第51号事件として第1民事部に係属中である。

 本件訴訟と前記事件とは、対象とする事業、原告(原告喜久田は除く)、被告を共通とし、また請求原因事実、訴訟資料も共通であるので、両事件を併合審理されるよう、強く要望する。


連絡先

原告代表 岡本 栄一
(090−3603−8386)

原告ら代理人
弁護士 海渡 雄一
  同  只野  靖
(03−3341−3133)


1 当事者

(1)原告    
原告 岡本栄一
他13名。
 会見には原告と代理人が出席する予定です。

(2)被告 国


2 提訴年月日

 2008年8月11日 午前9時
 午前9時から裁判所に入るところを撮影可能です。
 午前10時から福岡地方裁判所内司法記者クラブで記者会見の予定です。


3 裁判所

 福岡地方裁判所


4 請求の趣旨

 起業者 西日本高速道路株式会社
 工事名 東九州自動車道 椎田南〜宇佐
 の事業認定をしてはならない。


5 事前差止訴訟の本案前、本案要件

 行政事件訴訟法第37条の4は平成18年改正によって事前差し止め訴訟の規定を新設した。

 差止めの訴えの本案前の要件として、

(1) 対象行為の特定性 蓋然性
(2) 損害の重大性と他に手段がないこと
(3) 原告適格
であり、本案要件として、
(4) 行政庁がそのような処分もしくは裁決をすべきでないことが、根拠法令の規定から明らかに認められること
(5) 又は裁量権の範囲を超えもしくはその濫用となること

 と理解される。

 
6 本件訴訟の意義

 本件訴訟は「東九州自動車道 椎田南〜宇佐」工事計画に基づく事業認定を事前に差し止めようとするものである。

a)対象行為の特定性 蓋然性

 本件道路工事は既に事業計画として明確に特定され、原告が本件土地を売却しない意思を表明している以上、近い将来に事業認定に至ることは必至であるから、対象行為が特定され、蓋然性があることは疑いがない。

b)損害の重大性

 原告は、このような計画を強行され、事業認定、土地収用裁決へと手続きを進行された場合、自らの所有する土地、それも原告が営々として築き上げた日本一のミカン農園のど真ん中に道路を通されることとなり、原告の営むみかん農園事業全体が遂行不可能となってしまうことが明らかである。

 そして、原告は本件ルートに対して代替案を提示して、運動を継続してきたが、このまま任意買収がすすめられ、その既成事実の積み重ねの上に立って事業認定がなされた場合、原告の提案している山裾ルートを採用しても、既に投じられた土地の買収コストを考慮すると、山裾ルートの経済的な優位が揺るがされ、また行政の計画的な遂行の観点からも別ルートを採用するとの司法判断は著しく困難とされてしまう。

 したがって、原告には「重大な損害を生ずるおそれがある」ことは明らかである。

c)損害を避けるために他に方法がないこと

 仮に原告が提起している事業認可計画取消訴訟の提起が認められず、また原告の提起していた買収行為の事前差し止めの訴え・仮処分がみとめられないとすれば、「その損害を避けるため他に適当な方法が」ないと言える。
 また、原告の被る損害は極めて重大であり、差し止め訴訟を認める以外に他に適当な方法がないといえる。

d)結論

 原告は計画道路の路線内に土地を所有する者であり、土地収用法上の事業認定、収用裁決について原告適格を有することについては、判例理論の上においても争いがなく、原告が本件差し止め訴訟について原告適格を有することは明らかである。


7 本件訴訟の内容

a)事業の認定の要件
 土地収用法 第20条

 国土交通大臣又は都道府県知事は、申請に係る事業が左の各号のすべてに該当するときは、事業の認定をすることができる。

1.事業が第3条各号の一に掲げるものに関するものであること。
2.起業者が当該事業を遂行する充分な意思と能力を有する者であること。
3.事業計画が土地の適正且つ合理的な利用に寄与するものであること。
4.土地を収用し、又は使用する公益上の必要があるものであること。

b)本件道路計画の必要性について

 訴状参照

c)本件道路について、他により経済的に適正で土地の合理的利用に寄与する計画として、原告らの提案する山裾ルートが考えられること

 訴状参照


8 現在進行中の事業認可計画取消訴訟との関係

a)併合審理

 原告らとしてはこの訴訟と現在進行中の事業認可計画取消訴訟とは、その請求の基礎が同一であるから、同一裁判所で併合審理を求めたい。

b)計画から買収段階へ

 本件道路計画は、計画段階から、杭打ち、測量、買収交渉の段階に入った。現地には、大勢の関係者が立ち入り、測量、説明会の開催などが繰り返されている。本件道路事業において、その路線内に土地を所有する原告らに原告適格があることは明らかである。

 そして、本件道路の必要性と代替案と計画案の経済性の比較対照について司法判断を受けることができなければならない。

c)裁判所は早急に実体審理に入れ

 事業計画認可取消訴訟は、平成18年9月に提起されたが、未だに本案前の段階にとどまり、実体審理に入ることができていない。

 しかし、本件道路の必要性とルート選定の合理性については、今や全国民注視の社会問題となっている。このような重大な政策問題について司法審査の機会が保障されるべきことは民主主義社会における司法制度として当然のことである。

 今回提訴した差し止め訴訟と現在進行中の事業認可計画取消訴訟との両方が違法であるということはあり得ない。裁判所は、両訴訟を併合審理し、早期に実体審理にはいり、本件道路計画の適否についての司法審理を進めるべきである。