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伊能忠敬と日蓮の足跡を
たどる千葉の旅


参考・法華経とは


青山貞一 Teiichi Aoyama・池田こみち Komichi Ikeda
Dec.11, 2018 独立系メディア E-wave Tokyo 無断転載禁


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 『法華経』(ほけきょう、ほっけきょう)は、大乗仏教の代表的な経典です。大乗仏教の初期に成立した経典であり、誰もが平等に成仏できるという仏教思想の原点が説かれています。聖徳太子の時代に仏教とともに日本に伝来しました。

 以下はNHKの名著100選の「法華経」についてのイントロ部分です。

 古来、大乗仏典の中でも「諸経の王」と呼ばれ、広くアジア諸国で最も信奉されてきた経典の一つが「法華経」です。日本でも、聖徳太子、最澄、道元、日蓮、宮沢賢治ら多くの人々に巨大な影響を与えてきました。

 ※ 宮澤賢治はなぜ浄土真宗から法華経信仰へ改宗したのか

 「今昔物語」「源氏物語」「枕草子」などの文学にも法華経にまつわるエピソードが記され、日本文化の底流には脈々とその精神が流れ続けています。しかし、現代人には、意外にその内容は知られていません。

 「100分de名著」では、この法華経のサンスクリット版の原典を「思想書」ととらえて解読し、一宗教書にはとどまらない普遍的なテーマや、私たちにも通じるメッセージを引き出していきます。

 「法華経」は西暦紀元1世紀末から3世紀始めに成立したと推定されています。当時のインドは、厳しい修行や哲学的な思索を出家者が中心になって行う「部派仏教」と呼ばれる教団が栄え、仏教が庶民の暮らしから遠い存在になっていました。

 そこに、広く民衆を救済しようという新たな潮流、大乗仏教が登場し、部派仏教との間で激しい対立が生じていました。この対立を乗り越え、これまでのさまざまな仏教をより大きな視点から統合しようとしたのが法華経だといいます。

 法華経の舞台は、霊鷲山というインドの山。釈迦の説法を聞こうと八万人にも及ぶ聴衆が集まっていました。深い瞑想の中にいた釈迦はおもむろに目覚め、今までに誰も聞いたことがない奥深い教えを語り始めます。

 全てのいのちの絶対的な平等性、これまで成仏できないとされてきた出家修行者や女人、悪人にいたるまでの成仏の可能性、それぞれの人間の中に秘められた尊厳性、それを尊重する行為のすばらしさなどが、卓抜な比喩などを駆使して語られます。そして、クライマックスでは、これまで秘されていた釈迦の成仏の本当の意味が明かされるのです。

 法華経には、忽然と虚空に出現する天文学的な大きさの宝塔、大地をわって湧き出してくる無数の菩薩たち等、神話的なシーンが数多く現れ、合理的な思考からすると一見荒唐無稽な物語とみなされがちです。

 しかし、当時の思想状況や社会状況に照らし合わせて読み解いていくと、当時の常識では到底受け容れられないような新しい考え方や価値観を、象徴的な出来事や巧みなたとえに託してなんとか表現しようとする作者たちの意図が明らかになっていきます。

 その一つひとつを解読すると、その中核には、「釈迦がもともと説こうとしていた仏教の原点にたちかえれ」という力強いメッセージがこめられていることがわかります。それは、さまざまな因習に縛られ見失われそうになっていた「人間自体を尊重する人間主義の思想」だと、仏教思想研究家の植木雅俊さんはいいます。

 排外主義が横行し分断される社会、拡大し続ける格差……憎しみや対立の連鎖からなかなか抜け出せない現代、「法華経」を現代的な視点から読み解きながら、「差異を認め合い、共存・融和を目指していく知恵」「自己に眠る大きな可能性を開いていくには何が必要か」など、生きる指針を学んでいきます。

第1回 全てのいのちは平等である
   出典:NHKの名著100選の「法華経」

【指南役】 植木雅俊(仏教思想研究家)
【朗読】 余貴美子(俳優)
【語り】 三宅民夫
 法華経が編纂された当時は、出家修行者が自らの悟りを目指す一部の「部派仏教」と広く民衆を救済しようという「大乗仏教」が厳しく対立していた時代でした。法華経にはそうした対立を止揚し乗り越えようという新しい思想がこめられているといいます。

 一部の部派仏教が決して成仏できないとした在家信者や女性も、初期大乗仏教が決して覚りを得ることができないと断じた出家修行者も、全て平等に仏になれるという平等思想を打ち出したのです。

 法華経ではそのことを過去の因縁話や有名な「三車火宅のたとえ」など卓抜な表現を用いて見事に説きました。第一回は、法華経にこめられた、人類初ともいえる「普遍的な平等思想」に迫ります。

第2回 真の自己に目覚めよ
    出典:NHKの名著100選の「法華経」

【指南役】 植木雅俊(仏教思想研究家)
【朗読】 余貴美子(俳優)
【語り】 三宅民夫
 法華経が最も優れた経典とされる理由は「全ての人間が平等に成仏できる」と説いたこと。では「成仏する」とはどういうことなのか? 

 それは現代の言葉でいえば「真の自己に目覚めること」「人格を完成させること」だと植木さんはいいます。

 当時は釈迦が神格化され、釈迦の骨をおさめた塔「ストゥーパ」を拝む信仰が隆盛を極めていました。しかし、法華経では、釈迦はあくまで覚りを得たひとりの人間なのだから、偶像を信仰するのではなく釈迦が説いた「法」や「経典」の方をこそ重視せよと説きます。

 それこそが人格を完成していく方途なのです。第二回は、様々なたとえをもって語られる「真の自己に目覚めること」の大事さを解き明かします。

第3回 「永遠のブッダ」が示すもの
    出典:NHKの名著100選の「法華経」

【指南役】 植木雅俊(仏教思想研究家)
【朗読】 余貴美子(俳優)
【語り】 三宅民夫
 その場でたちどころに覚りを得る女性や悪人、大地の底から湧き出してくる菩薩たち……劇的なドラマが繰り広げられる法華経の中盤。神話的ともいえるこれらの表現は、これまでの常識的な価値観をゆさぶり、全く新しい価値観を受け容れる地ならしをしようとした表現だといいます。

 その上で明かされるのは、釈迦が四十年数前にブッダガヤで成仏したのではなく、気の遠くなるようなはるかな過去にすでに成仏していたという驚愕すべき事実です。

 そこに込められているのは、様々な形で説かれてきた無数の仏たちを一つに統合し、釈迦という存在の中に位置づけることで、これまでの仏典全てを包摂しようという意図だといいます。第三回は、法華経に説かれた「永遠のブッダ」が示す奥深い意味を明らかにしてゆきます。

第4回 「人間の尊厳」への讃歌
    出典:NHKの名著100選の「法華経」

【指南役】 植木雅俊(仏教思想研究家)
【朗読】 余貴美子(俳優)
【語り】 三宅民夫
安部龍太郎(作家)
【語り】 三宅民夫
 法華経後半で最も大事な章と考えられている「常不軽菩薩品」。どんな暴力や迫害にあおうとも、ひたすら他者に内在する仏性を尊重し礼拝し続ける常不軽菩薩が、経文などを全く読めずともやがて覚りを得ていくという姿を描いています。

 ここには、法華経の修行の根幹が凝縮しているという。すべての人間に秘められた可能性を信じ尊ぶ行為こそが、自らの可能性を開いていく鍵を握っているというのが法華経の思想なのです。第四回は、歴史小説「等伯」を書いた直木賞作家の安部龍太郎さんとともに法華経を読み解き、理想の人間の生き方に迫って行きます。


法華経『妙法蓮華経』概説の概要
 出典:Wikipedia

 法華経の鳩摩羅什訳『妙法蓮華経』は28品の章節で構成されています。

 現在、日本で広く用いられている智(天台大師)の教説によると、前半14品を迹門(しゃくもん)、後半14品を本門(ほんもん)と分科してえいます。

 迹門とは、出世した仏が衆生を化導するために本地より迹(あと)を垂れたとする部分であり、本門とは釈尊が菩提樹下ではなく五百塵点劫という久遠の昔にすでに仏と成っていたという本地を明かした部分です。

 迹門を水中に映る月とし、本門を天に浮かぶ月に譬えています。後世の天台宗や法華宗一致派は両門を対等に重んじ、法華宗勝劣派は法華経の本門を特別に重んじ、本門を勝、迹門を劣とするなど相違がありますが、この教説を依用する宗派は多いといえます。

 また、三分(さんぶん)の観点から法華経を分類すると、大きく分けて(一経三段)、序品を序分、方便品から分別品の前半までを正宗分、分別品から勧発品までを流通分と分科しています。また細かく分けると(二経六段)、前半の迹・本の二門にもそれぞれ序・正宗・流通の三分があるとしています。

妙法蓮華経二十八品一覧

前半14品(迹門)
 第1:序品(じょほん)
 第2:方便品(ほうべんぼん)
 第3:譬喩品(ひゆほん)
 第4:信解品(しんげほん)
 第5:薬草喩品(やくそうゆほん)
 第6:授記品(じゅきほん)
 第7:化城喩品(けじょうゆほん)
 第8:五百弟子受記品(ごひゃくでしじゅきほん)
 第9:授学無学人記品(じゅがくむがくにんきほん)
 第10:法師品(ほっしほん)
 第11:見宝塔品(けんほうとうほん)
 第12:提婆達多品(だいばだったほん)
 第13:勧持品(かんじほん)
 第14:安楽行品(あんらくぎょうほん)

後半14品(本門)
 第15:従地湧出品(じゅうじゆじゅつほん)
 第16:如来寿量品(にょらいじゅうりょうほん)
 第17:分別功徳品(ふんべつくどくほん)
 第18:随喜功徳品(ずいきくどくほん)
 第19:法師功徳品(ほっしくどくほん)
 第20:常不軽菩薩品(じょうふきょうぼさつほん)
 第21:如来神力品(にょらいじんりきほん)
 第22:嘱累品(ぞくるいほん)
 第23:薬王菩薩本事品(やくおうぼさつほんじほん)
 第24:妙音菩薩品(みょうおんぼさつほん)
 第25:観世音菩薩普門品(かんぜおんぼさつふもんほん)(観音経) 
 第26:陀羅尼品(だらにほん)
 第27:妙荘厳王本事品(みょうしょうごんのうほんじほん)
 第28:普賢菩薩勧発品(ふげんぼさつかんぼつほん)

その他の追加部分
 第29:廣量天地品(こうりょうてんちぼん)
 第30:馬明菩薩品(めみょうぼさつぼん)

 28品のほか、以上の追加部分も成立していますが、偽経扱いとなり普及しませんでした。「度量天地品第二十九」は冒頭部分のみを除いて失われています。『妙法蓮華経』28品と同じくネット上でも大正新脩大蔵経データベースで閲覧できます。 


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