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中山道、信州 宿場探訪

諏諏大社上社本宮

御柱(祭)

青山貞一 Teiichi Aoyama   池田こみち Komichi Ikeda
8 October, 2015
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信州 宿場探訪 (下諏訪宿・諏訪大社編)
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20)諏訪大社下社春宮 21)下社春宮 御柱(祭) 22)旧和田峠

 次は上社の御柱(祭)についての解説です。

◆上社の御柱

 上社の全ての御柱にはめどてこ(漢字で表記すると目処梃子。しばしばめどとも)と呼ばれる角(つの)のような柱がV字型になるよう柱の前後についているが、これは上社の男の神を表すシンボルとされています。このめどに氏子がしがみつき、左右にゆらしながら、おんべを振る姿は圧巻とされています。

 御柱は、山出しの一ヶ月前に伐採されます。

 伐採が御柱の直前のため、どの柱もおよそ10トン以上の重量がある。里曳きの直前には建御柱に備え樹皮がはがされます(本来は樹皮を剥がさなかったが1986年頃、一部地区にて樹皮を剥がした御柱があり他の地区もこぞって真似し現在に至っています)。綱打ち、めどてこを揺らす練習等、事前に御柱を美しく曳行する準備が行われます。

山出し

 山出しでは茅野市、原村境の綱置場から茅野市安国寺の御柱屋敷までの御柱街道と呼ばれる約12kmを本宮一之御柱、前宮一之御柱、本宮二之御柱・・・と順に前宮四之御柱と曳行します。

穴山の大曲

 茅野市玉川の穴山地区に差し掛かると、玉川郵便局付近で穴山の大曲と呼ばれる鋭角な左90度曲がり角の難所があります。急カーブのため綱を引く力が柱には伝わりにくくなるので全てがうまく協調しないとうまく曲がる事が出来ません。

 この辺りは道幅が狭く民家の間を通らなくてはならない為、めどてこが民家等を損傷することもあります。そのようなことが起こらない為に、御柱の方向転換等をつかさどるてこ衆と呼ばれる人々は細心の注意を払って御柱の曳行を管理します。

木落し

 氏子をめどてこに乗せたまま、御柱を傾斜約30度、距離80mの木落し坂から落とします。祭りの中でもっとも危険な行事であり、過去に幾人もの死傷者を出してきました。

 下社と上社とでは趣が異なり、下社木落しが勇壮盛大であるのに対して上社木落しはめどてこがいかにV字のまま落ちるかという「美しさ」が重視されているようです。

 会場は観衆によって埋め尽くされます。その後、JR東日本中央本線の線路の桁下を通す為に一時的にめどてこが抜かれ、その先の国道20号線の交通を遮断して横断します。昔は中央本線の列車を止めて、線路上を横断していました。当日現場を通行する列車は線路内に人が立ち入る危険があるため徐行します。


上社の木落とし

川越し

 上社山出しのラストイベントである。茅野市中河原と安国寺の境にあります、幅約40mの宮川を越えます。4月頭の水温は雪解け水のため限りなく低い、その中、御柱を曳く綱を渡し川を越えます。

 2004年は雪が降る厳しい状況で行われました。川越しを終えるとすぐに御柱屋敷であり、里曳きまでの1ヶ月間安置されます。上記の木落しと川越しは場所が広く、見せ場でもあるために曳行用の片側7〜8人乗りのめどてこではなく10〜12人ほど乗れる大きなめどてこに付け替える地区も多いようです。しかしその巨大さ故に衝撃で折れるなどの事故もしばしば発生します。


上社の川越し

里曳き

 里曳きでは、御柱屋敷から御柱を曳行します。前宮は御柱屋敷から1km弱、本宮は同2.5kmの道程です。本宮一、本宮二の順で本宮の御柱を曳き出し、次いで前宮一から前宮の御柱を曳き出します。

 距離が短いのでゆっくりと曳行されます。騎馬行列(お騎馬)、花笠踊りや長持ち奴などが祭りに華を添えます。

 一日目は本宮一が出発したのち、上社本宮から御柱迎えのお舟が出発し、途中で本宮一と出会います。そしてそのお舟を先頭に曳行されます。上社お膝元の地元神宮寺区民による騎馬行列(お騎馬)は里曳きの警固の行列であり、奴振りの妙技が披露されます。花笠踊りや長持ち奴は、周辺地区から何十組もの参加があります。

前宮

 前宮の御柱は前宮前の信号から左に曲がり、前宮の鳥居をくぐって建御柱の場所までいきます。その際300mの階段を一気に上って行きます。また前宮三、前宮四の辺りになると暗くなることもあり、提灯や行燈などを持つこともあります。この道は非常に狭いため、曳き子や氏子が御柱などに挟まれる事故もしばしば発生しています。

本宮三之鳥居、階橋(きざはし)

 本宮の御柱は諏訪市に入り、上社本宮まで向かう。その間に2つの鳥居があります。若宮前にある本宮三之鳥居と本宮東参道の本宮二之鳥居である。その2つの鳥居は幅が狭く高さも低いため、めどてこをぶつけないように曳行する必要があります。特に本宮二之鳥居には階段状になった階橋があり、御柱が跳ね上がらないように慎重に曳行され境内に入っていきます。

建御柱

 祭りのフィナーレといえる部分です。

 各宮の四方に柱を立てます。この際、御柱の頭を三角錐に切り落とす冠落しが施されます。そしてワイヤを御柱に巻きつけ、車地という道具を使って巻きあげて御柱を建てていきます。

 建御柱の際には御柱に多数の男たちが乗り、にぎやかに盛り上げます。 御柱が建つと諏訪市中州の中金子区によって穴埋めの儀が行われます。(本来はこの建御柱の穴を埋めるのは中金子区しか行うことができません。しかし中金子区からの委託によりその御柱の担当地区が埋めることを許されます。)1998年の長野オリンピックの開会式では建御柱を行っています。



◆御柱祭
(本宮)

諏訪大社上社
 茅野市、諏訪市(上諏訪地区を除く)、諏訪郡富士見町、原村

上社の担当地区は当年の2月15日に上社本宮での抽籤式に於いてくじ引きを行い担当の御柱を決定する。

 伐採は茅野市玉川の諏訪大社境内地で社有の御小屋山より、当年に茅野市神之原区の伐採奉仕会が行います。

 (ただし、伊勢湾台風の影響で御小屋山での御柱用材調達が困難なため、近年は別の山より伐採している。)担当地区は伐採、山出し、里曳きともに担当の御柱のみに携わります。

 ここでは2010年の担当地区(抽籤結果)を記載します。

本宮一之御柱 湖南・中洲(諏訪市)
本宮二之御柱 落合・境・本郷(富士見町)
本宮三之御柱 宮川・ちの(茅野市)
本宮四之御柱 北山・米沢・湖東(茅野市)
前宮一之御柱 四賀・豊田(諏訪市)
前宮二之御柱 泉野・原(茅野市・原村)
前宮三之御柱 金沢・富士見(茅野市・富士見町)
前宮四之御柱 豊平・玉川(茅野市)

 なお、御柱は諏訪大社上下社、春秋宮とも以下の図のように弊拝殿などの周りに一、二、三、四之柱と、時計回りに建柱しています。


建柱の方法  出典:青山貞一作成


◆諏訪大社上社(本宮)の最新(2015-8-16)の建御柱

 以下は今回の現地調査で撮影した諏訪大社上社本宮の最新(2015-8-16)の御柱です。

 一、二の柱は拝殿の両側にありますが、三、四の柱は拝殿の後ろ側にあり、中に入ることができず写真がうまくとれていません。ご了承ください。これは他の宮でも同じです。



撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2015-8-16

 下は本宮一之御柱です。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2015-8-16

 下は本宮一之御柱です。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2015-8-16

 下は本宮一之御柱です。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2015-8-16

 下は本宮一之御柱です。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2015-8-16

 下は本宮一之御柱です。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2015-8-16

 下は本宮一之御柱です。


撮影:池田こみち Nikon Coolpix S6400 2015-5-4

 下は本宮一之御柱です。


撮影:池田こみち Nikon Coolpix S6400 2015-5-4

 下は本宮二之御柱です。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2015-8-16


つづく