「男女差別」がない国は、「幸福」な国 青山貞一 Teiichi Aoyama February 6, 2014 Alternative Media E-wave Tokyo 無断転載禁 |
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みなさま 青山貞一です。 毎年スイスで開催されますWEF(世界経済フォーラム)では、さまざまな世界の国別ランキングが公表されます。これらのランキングは、各国の大学、研究機関などが詳細な社会経済指標をもとに可能な限り客観的かつ定量的に評価しているものです。 日本の「幸福度」が世界で60位~90位となっていることは有名です。ちなみにいつも第一位か上位にいるのはデンマークです。
私は「幸福度」とともに、「女性の社会参加」あるいは「女性の社会経済的地位」、英語で言うと「Gender Gap」(ジェンダーギャップ)に着目し、研究するとともに論考や大学の授業で話してきました。 ところで、「女性の社会経済的地位問題」ですが、かなり前に調べたら日本は世界で80位以下、確か86位となっており、衝撃を受けました。最近では、2012年度ランキングで101位、さらに2013年ランキングでは105位となっていました。 詳細な社会経済指標を示さないといけないのですが、社会経済指標としては、たとえば ①同じ仕事をした場合の女性の給与が男性より低い、 ②同じ仕事を行い能力があるのにしかるべき役職につけない、 ③国会議員はじめ議員に占める女性議員数が少ない、 ④女性の政策決定機関への参加が低い、 ⑤女性の高等教育への進学率が低いなど さまざまなインデックスがあり、それらを総合的に評価しランキングされています。 とりわけ①は深刻です。 ★貧困にもがく日本女性が気づかなければならない重要なこと 出典:BlackDarkness http://www.bllackz.com/2014/02/blog-post_3.html 私はこの1月末から1週間北アフリカのモロッコに出かけていましたが、そこで実感したのは果たして日本の順位(現在105位)とモロッコの順位はほとんど変わらないのではないのかということです。ご承知のように、イスラム諸国、アラブ諸国などでは以前から男女差別のジェンダーギャップが指摘されていたからです。 北アフリカ、モロッコのフェズにて 撮影:池田こみち Nikon Coolpix S6400 2014-1-26 帰国後、WEF(世界経済フォーラム)の2013年度の国別のランキングを見てみました。するとどうでしょう! 日本の周辺は中東諸国、アフリカ諸国、中南米諸国などのオンパレートでした。 以下に100位(カメルーン)~134位(チャド)までを示します。おそらくあまり聞いたことがないような国名が多いと思います。ちなみに日本は105位にあります。 Cameroon 100 India 101 Malaysia 102 Burkina Faso 103 Cambodia 104 Japan 105 Nigeria 106 Belize 107 Albania 108 United Arab Emirates 109 Suriname 110 Korea, Rep. 111 Bahrain 112 Zambia 113 Guatemala 114 Qatar 115 Kuwait 116 Fiji 117 Ethiopia 118 Jordan 119 Turkey 120 Nepal 121 Oman 122 Lebanon 123 Algeria 124 Egypt 125 Benin 126 Saudi Arabia 127 Mali 128 Morocco 129 Iran, Islamic Rep. 130 Cote d'Ivoire 131 Mauritania 132 Syria 133 Chad 134 一方、以下は1位から20位です。以下を見ると男女格差がないあるいは少ない国々は、同時に「幸福度」が高く、「環境」問題や「再生可能エネルギー」に熱心な国々であることがよくわかります。 Iceland 1 Finland 2 Norway 3 Sweden 4 Philippines 5 Ireland 6 New Zealand 7 Denmark 8 Switzerland 9 Nicaragua 10 Belgium 11 Latvia 12 Netherlands 13 Germany 14 Cuba 15 Lesotho 16 South Africa 17 United Kingdom 18 Austria 19 Canada 20 出典:WEF(世界経済フォーラム)のジェンダーギャップ 2013年度の国別のランキング http://www3.weforum.org/docs/WEF_GenderGap_Report_2013.pdf ラトヴィア占領博物館前で 筆者 撮影:池田こみち Nikon CoolPix S8 19 Feb. 2010 信じられない低さです。これを伝統や文化を無視した欧米人の見方などとして批判することは簡単ですが、GDP世界2位とか3位、OECD,G8などの金持ちクラブのメンバーと豪語している日本の為政者らが、どれだけこの現実を直視しているか疑問です。 私(青山貞一)は、日本の「幸福度」がめちゃくちゃ低いこと、「民主主義の度合」が低いことの大きな理由のひとつは、このジェンダーギャップに原因があると見て、同僚らと研究を進めています。 WEFなどの指標を総合的に分析し結論的にいえることは、「男女差別」がない国は、「環境」、「自然エネ」に熱心で「幸福度」な国であることだと思います! <参考> 図 賃金格差に見る女性の社会経済参加の国際比較 出典:国連開発計画 ◆世界における幸福度調査結果と日本のランク ①ミシガン大学幸福度調査、 世界各国中で 43位...WEF ②エラスムス大学幸福度調査、 世界各国中で 46位 ③レスター大学幸福度調査、 世界各国中で 90位 ④フォーブス世界調査、 世界各国中で 81位 ⑤OECD幸福度調査、 34加盟国中 19位 以下はいずれも研究途中。 ●デンマークが、幸福度第1位に選ばれる推定理由 ①医療、生活水準、及び基礎教育を受ける機会に関連した経済的要因 ②世界最高水準の国民1人当たり 国内総生産(GDP) ③高い教育レベル ④生き方の選択の自由、 ⑤男女平等の推進、 ⑥少数派に対する寛容さ ●多くの幸福度調査で第一位となっているデンマークの推定される特徴 ① 女性の地位向上 ②女性の労働力確保と子育て支援 ③高齢者福祉 ④本格的社会制度 ⑤教育の拡充 ⑥男女共同参画社会の実現 ⑦教育・医療・福祉の拡充 ◆世界における環境保全持続力ランキング WEF 出典:青山貞一 ◆OECD諸国諸国の原発密度ランキング 作成、出典:青山貞一 ◆世界の自殺率ランキング(10万人あたりの数) 図 人口10万人当たりのOECD諸国における自殺率 出典:OECD |