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政策学校一新塾
社会問題分析講義
 目指すべき私たちの幸福とは何か?
その2 「幸福度」調査の指標 
青山貞一 Teiichi Aoyama
特定非営利活動法人一新塾共同代表
掲載月日:2013年3月19日 
独立系メディア E−wave
無断転載禁


 各ランキングを見れば一目瞭然のように、日本国民の幸福度はいずれもあまりにも低位にある。その現実に塾生ならずとも、おそらく日本人の多くは驚愕すると思える。

 ランキングで大変興味深いのは、大部分のランキングで、デンマークが第一位となっており、いわゆるスカンジナビア、北欧諸国、カナダ、オーストラリアなどが上位にいることである。

 基調講演では、当然のこととして、どのような個別指標をもとに幸福度調査が行われたのか、そして日本の指標はどうなっているのかについて言及した。
 
 具体的には、全調査結果の個別指標をもとに話すのは時間的に無理であったので、上記の調査のうち、@ミシガン大学とDOECDの2つの幸福度調査について、それぞれの個別の社会経済指標の項目をもとに話を進めた。

 以下が個別の社会経済指標である。。

●ミシガン大学調査の個別社会経済指標

 @家族関係、
 A家計の状況、
 B雇用状況、
 Cコミュニティと友人、
 D健康、
 E個人の自由、
 F個人の価値観
 の11 分野の指標 

●OECD調査の個別社会経済指標

 @「住宅」、 
 A「収入」、 
 B「雇用」、 
 C「コミュニティ」、
 D「教育」、 
 E「環境」、 
 F「ガバナンス」、
 G「健康」、 
 H「生活満足度」、 
 I「安全」、
 J「ワークライフバランス」
 の11 分野の指標 

 OECDの指標は、“国民の幸福度”の国際比較を目的とする指標となっており、国民生活に密接にかかわる住居や仕事、教育、健康など11の指標に分けて数値化したものである。国の豊かさを示す新たな指標として代表的なものに国内総生産(GDP)があるが、新指標はより国民の実感に近い豊かさを示す指標となっているとのこと。

 OECD調査を項目別に見ると日本は、犯罪の発生率に基づく「安全」の指標では10点満点中9.7点と加盟国34か国中トップになった。しかし「ワーク・ライフ・バランス
 (仕事と生活の調和)」の項目では、トルコ、 メキシコに続くワースト3位だった。日本人の労働時間の長さを反映しての結果ということかも知れない。

 以下はOECD調査におけるデンマーク、日本、韓国、米国の指数をスパイラルチャートに示したものである。


出典:OECD

 上のスパイラルチャートから分かることは、デンマークが収入以外の生活と仕事、生活満足度、環境、地域社会、仕事など多くの項目でトップにいることである。一方、日本がどうかと言えば、トップないし2位は安全と教育だけである。逆に日本は生活と仕事、政府のガバナンス、生活満足度で最下位となっている。

 ここでの収入は国のGDPではなく、一人当たりの収入を指している。

 米国に次いでGDP世界第二位を誇った日本だが、一人当たりGDPでは、見る影もなく下がっていること、にもかかわらず労働時間が長く、家庭や社会での自由時間が少なく、さらに環境、住居、健康、地域社会でスコアが低いことが如実に表れていると言えよう。

 ここで、日本の項目別スコアランキングを見ると、次のようなことが分かる。

<日本の項目別スコアランキング>

 項目別に見ると日本は、犯罪の発生率に基づく「安全」の指標では10点満点中9.7点と加盟国34か国中トップになったものの、「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)」の項目では、トルコ、メキシコに続くワースト3位だった。日本人の労働時間の長さが反映しての結果ということであろうか。

 日本のベスト3とワースト3を見ると、ベスト3では、「安全」が(1位)、「教育」が(2位)、「収入」が(6位)となっている反面、 「ワークライフバランス」が(34位)、「健康」が(29位)、「生活満足度」が(27位)とワースト3になっている。

 ワークバランス、すなわち自由時間が少なく、長時間労働者の割合が圧倒的に多いということである。

 ミシガン大学の項目にある@「家族関係」や E「個人の自由」、F「個人の価値観」についても、今の日本では核家族化が極限まで進行しており、また個人の自由や個人の価値観についても勤務先の企業や組織がそれらの自由や価値観に寛容であるということはあまりなく、それが若者が一旦就職した企業などを退職する大きな理由になっていると思われる。

 以下はOECD調査の総括表である。

つづく

出典:OECD