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東京都市大学講義
Aミシガン大学とOECD
「幸福度」ランキング
青山貞一
掲載月日:2013年1月12月
 独立系メディア E−wave Tokyo

無断転載禁


●ミシガン大学による日本国民の幸福度は世界43位!

 あまり知られていないが、ミシガン大学は幸福度という社会指標にもとづいて世界各国をランキングしている。これはブータンが第一位の幸福度ランキングとは異なり、本格的なものだ。

 ミシガン大学の幸福度ランキングでは、日本は何と43位である。GDPで世界2位、3位にあり、これほど勤勉な国民が43位とは驚きである。

 もう少し詳しく見るとミシガン大学社会調査研究所が、世界97か国(世界人口の90%が在住)の幸福度ランキングを調査し2008年に結果を公表している。

 ミシガン大学の社会調査研究所のランキングによると、第1位はスカンジナビアのデンマーク、第4位がアイスランド、米国は第16位、わが日本は第43位であった。

 日本のあとには、第44位でスペイン、第46位でイタリアがあるが、いわゆる経済先進国のなかでは、底辺にあることが分かった。

 興味深いことは、東南アジア諸国、たとえばタイは第27位、ベトナムは第36位、フィリピンは第38位、インドネシアが第40位などとなっており、何と日本より幸福度で上位にいるのである。

 これについて、調査に当たったミシガン大学の担当者は次のように述べている。

 ミシガン大学社会調査研究所のロナルド・イングルハート氏(政治学)は、幸福度は経済成長とも関係があるが、同時に、その国の民主主義、寛容性、組織や社会のなかでの個人の自由や価値観への寛容性と密接な関係があるとみている。

 同時に、上記の東南アジア諸国のように国民所得は低いものの、家族と繋がりが強く、食べ物の種類が豊富、さらに言えば気候が温暖な国々の「幸福度」が高いことも分かった、という見方もあることだ。


 いずれにせよ、重要なことはGDPなど経済、所得以外の社会的要素が幸福度に大きく影響、作用していることを私たちは認識する必要がある。

 以下は、ミシガン大学の世界各国の国民幸福度調査における日本(43位)までのランキングである。なお、日本より低い主な国々についてもいくつか示した。

世界の国民幸福度ランキング 日本までの順位

1位 デンマーク
2位 プエルトリコ
3位 コロンビア
4位 アイスランド
5位 北アイルランド
6位 アイルランド
7位 スイス
8位 オランダ
9位 カナダ
10位 オーストリア
11位 エルサルバドール
12位 マルタ
13位 ルクセンブルグ
14位 スウェーデン
15位 ニュージーランド
16位 米国
17位 ガテマラ
18位 メキシコ
19位 ノルウェー
20位 ベルギー
21位 英国
22位 オーストラリア
23位 ヴェネズエラ
24位 トリニダード
25位 フィンランド
26位 サウジアラビア
27位 タイ
28位 キプロス
29位 ナイジェリア
30位 ブラジル
31位 シンガポール
32位 アルゼンチン
33位 キプロス
34位 マレーシア
35位 ドイツ
36位 ベトナム
37位 フランス
38位 フィリピン
39位 ウルグアイ
40位 インドネシア
41位 チリ
42位 ドミニカ
43位 日本
44位 スペイン
45位 イスラエル
46位 イタリア
47位 ポルトガル
48位 台湾
50位 スロベニア
....
88位 ロシア
89位 グルジア
90位 ブルガリア
91位 イラク
92位 アルバニア
93位 ウクライナ
94位 ベラルーシ
95位 モルドバ
96位 アルメニア
97位 ジンバブエ
出典:ミシガン大学ロナルド・イングルハート(政治学)


●日本の「国民幸福度」はOECD 34カ国中、第19位

 もうひとつ紹介するのは、この講義の冒頭に掲げた、7つの似たような幸福度に関するランキングのうちOECDによって行われたものだ。このランキングの正式名称は、「Better Life Index、すなわちより良い暮らし指標」である。

 OECDは経済協力開発機構と言い、世界の金持ち国の集まり、金持ちクラブだ。米国、日本、EU諸国など34カ国が加盟している。

 何と、そのOECDの「国民幸福度」ランキングでも、2010年の調査で日本は加盟国34カ国中第19位なのである。

 OECDの国民幸福度ランキングの上位国はといえば、第1位が オーストラリア、第2位はカナダ、第3位がスウェーデンとなっている。

◆国民の幸福度1位は豪州、2位カナダ…日本は?

【パリ=中沢謙介】

 経済協力開発機構(OECD)は24日、各国の生活の 豊かさを示す新たな指標「より良い暮らし指標」を発表した。

 国民の幸福度を国際比較することを目指しており、国民生活に密接に関わる 住居や仕事、教育、健康など11項目を数値化した。

 11指標の平均でトップはオーストラリアで、カナダ、スウェーデンが続いた。 日本はOECD加盟34か国中、19位だった。

 国の豊かさを示す指標には、どれだけ多くのモノやサービスを生み出したかを表す国内総生産(GDP)があるが、新指標は国民の実感に近い豊かさを示す狙いがある。 日本は11指標のうち、殺人や犯罪の発生率に基づく「安全」が10点満点で9・7と OECD加盟34か国中トップ。

 だが、「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)」はトルコ、メキシコに続くワースト3位だった。

読売新聞 2011年5月24日19時59分

 日本人の勤勉さ、誠実さは、世界でも指折りであろう。 繰り返し述べるが、その日本人は、欧州諸国からエコノミックアニマルと嘲笑されながらも、一丸となって働いてきた。その結果が世界で43位、金持ちクラブで19位とは驚きといえる。

 以下は2011年度の調査結果である。

 以下のOECDによる幸福度ランキング(2011)によれば、第一位は前回同様オーストラリアだが、第二位に米国、第三位にノルウェー、前回第二位のカナダが第四位、第五位がスイス、その後は、オランダ、英国、アイスランド、オーストリア、ドイツ、フランス、スペイン、イタリアと続き、日本は第15位である。


図   OECDOECD加盟各国の幸福度ランキング(2011)
出典:OECD加盟各国の幸福度(Better Life)指標調査

 なお、以下のグラフは2012年における OECD加盟国全部の順位を示している。

              図   OECD加盟国全部の順位(2012年)
             出典:OECD Better Life Index(2012)

 さらに、2012年の調査によれば、2011年で一旦少し改善された日本のランキングは、2012年では、下の順位にあるように21位に大きく後退していることが分かった。21位は、OECDがこの調査を始めて以来、最も低い順位である。

 なお、順位表のなかで薄青の網掛けは、男性の幸福度が女性よりも高い国である。

 なお、2011年から2012年にかけて日本の順位が大きく後退した理由のひとつは、3.11、すなわち東日本大震災、津波、原発事故にあると推察できる。


出典:OECD Better Life Index(2012)

つづく