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●ミシガン大学による日本国民の幸福度は世界43位! あまり知られていないが、ミシガン大学は幸福度という社会指標にもとづいて世界各国をランキングしている。これはブータンが第一位の幸福度ランキングとは異なり、本格的なものだ。 ミシガン大学の幸福度ランキングでは、日本は何と43位である。GDPで世界2位、3位にあり、これほど勤勉な国民が43位とは驚きである。 もう少し詳しく見るとミシガン大学社会調査研究所が、世界97か国(世界人口の90%が在住)の幸福度ランキングを調査し2008年に結果を公表している。 ミシガン大学の社会調査研究所のランキングによると、第1位はスカンジナビアのデンマーク、第4位がアイスランド、米国は第16位、わが日本は第43位であった。 日本のあとには、第44位でスペイン、第46位でイタリアがあるが、いわゆる経済先進国のなかでは、底辺にあることが分かった。 興味深いことは、東南アジア諸国、たとえばタイは第27位、ベトナムは第36位、フィリピンは第38位、インドネシアが第40位などとなっており、何と日本より幸福度で上位にいるのである。 これについて、調査に当たったミシガン大学の担当者は次のように述べている。 ミシガン大学社会調査研究所のロナルド・イングルハート氏(政治学)は、幸福度は経済成長とも関係があるが、同時に、その国の民主主義、寛容性、組織や社会のなかでの個人の自由や価値観への寛容性と密接な関係があるとみている。 同時に、上記の東南アジア諸国のように国民所得は低いものの、家族と繋がりが強く、食べ物の種類が豊富、さらに言えば気候が温暖な国々の「幸福度」が高いことも分かった、という見方もあることだ。 いずれにせよ、重要なことはGDPなど経済、所得以外の社会的要素が幸福度に大きく影響、作用していることを私たちは認識する必要がある。 以下は、ミシガン大学の世界各国の国民幸福度調査における日本(43位)までのランキングである。なお、日本より低い主な国々についてもいくつか示した。 ◆世界の国民幸福度ランキング 日本までの順位 1位 デンマーク 2位 プエルトリコ 3位 コロンビア 4位 アイスランド 5位 北アイルランド 6位 アイルランド 7位 スイス 8位 オランダ 9位 カナダ 10位 オーストリア 11位 エルサルバドール 12位 マルタ 13位 ルクセンブルグ 14位 スウェーデン 15位 ニュージーランド 16位 米国 17位 ガテマラ 18位 メキシコ 19位 ノルウェー 20位 ベルギー 21位 英国 22位 オーストラリア 23位 ヴェネズエラ 24位 トリニダード 25位 フィンランド 26位 サウジアラビア 27位 タイ 28位 キプロス 29位 ナイジェリア 30位 ブラジル 31位 シンガポール 32位 アルゼンチン 33位 キプロス 34位 マレーシア 35位 ドイツ 36位 ベトナム 37位 フランス 38位 フィリピン 39位 ウルグアイ 40位 インドネシア 41位 チリ 42位 ドミニカ 43位 日本 44位 スペイン 45位 イスラエル 46位 イタリア 47位 ポルトガル 48位 台湾 50位 スロベニア .... 88位 ロシア 89位 グルジア 90位 ブルガリア 91位 イラク 92位 アルバニア 93位 ウクライナ 94位 ベラルーシ 95位 モルドバ 96位 アルメニア 97位 ジンバブエ 出典:ミシガン大学ロナルド・イングルハート(政治学) ●日本の「国民幸福度」はOECD 34カ国中、第19位 もうひとつ紹介するのは、この講義の冒頭に掲げた、7つの似たような幸福度に関するランキングのうちOECDによって行われたものだ。このランキングの正式名称は、「Better Life Index、すなわちより良い暮らし指標」である。 OECDは経済協力開発機構と言い、世界の金持ち国の集まり、金持ちクラブだ。米国、日本、EU諸国など34カ国が加盟している。 何と、そのOECDの「国民幸福度」ランキングでも、2010年の調査で日本は加盟国34カ国中第19位なのである。 OECDの国民幸福度ランキングの上位国はといえば、第1位が オーストラリア、第2位はカナダ、第3位がスウェーデンとなっている。
日本人の勤勉さ、誠実さは、世界でも指折りであろう。 繰り返し述べるが、その日本人は、欧州諸国からエコノミックアニマルと嘲笑されながらも、一丸となって働いてきた。その結果が世界で43位、金持ちクラブで19位とは驚きといえる。 以下は2011年度の調査結果である。 以下のOECDによる幸福度ランキング(2011)によれば、第一位は前回同様オーストラリアだが、第二位に米国、第三位にノルウェー、前回第二位のカナダが第四位、第五位がスイス、その後は、オランダ、英国、アイスランド、オーストリア、ドイツ、フランス、スペイン、イタリアと続き、日本は第15位である。 図 OECDOECD加盟各国の幸福度ランキング(2011) 出典:OECD加盟各国の幸福度(Better Life)指標調査 なお、以下のグラフは2012年における OECD加盟国全部の順位を示している。 |
図 OECD加盟国全部の順位(2012年) 出典:OECD Better Life Index(2012) さらに、2012年の調査によれば、2011年で一旦少し改善された日本のランキングは、2012年では、下の順位にあるように21位に大きく後退していることが分かった。21位は、OECDがこの調査を始めて以来、最も低い順位である。 なお、順位表のなかで薄青の網掛けは、男性の幸福度が女性よりも高い国である。 なお、2011年から2012年にかけて日本の順位が大きく後退した理由のひとつは、3.11、すなわち東日本大震災、津波、原発事故にあると推察できる。 |
つづく |