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ここでは、冒頭に掲げた国際“国民の幸福度”調査の目安となる「個別の指標」について見てみよう。これらの指標は、国民生活に密接にかかわる住居や仕事、 教育、健康など7〜11に分けて数値化したものとなっている。 国の豊かさを示す新たな指標として代表的なものに国内総生産(GDP)があるが、この「幸福度」を構成する指標では、より国民の生活実感に近い豊かさ、すなわち非経済的な指標が多いことが大きな特徴となっていると言えよう。 ●ミシガン大学が行った「幸福度」 調査の個別指標 では、ミシガン大学が行った国際「幸福度」調査の個別指標を見てみよう。以下の7つが個別指標である。 <幸福度の指標> @家族関係、 A家計の状況、 B雇用状況、 Cコミュニティと友人、 D健康、 E個人の自由、 F個人の価値観 ●OECDが行った「幸福度」調査の個別指標 次にOECDが行った国際「幸福度」調査の個別指標を見てみよう。以下の11項目が個別の指標である。 <幸福度の指標> @住宅、 A収入、 B雇用、 Cコミュニティ、 D教育、 E環境、 Fガバナンス、 G健康、 H生活満足度、 I安全、 Jワークライフバランス 黄色は、ミシガン大学と共通の指標。 ここで個別指標の内容をチェックしてみよう! 項目が多いOECDの「幸福度」ランキングの内容のうち、日本に注目すると以下の表のようになる。 |
出典:OECD Better Life Index Ranking ここで、日本の項目別スコアランキングを見ると、 <日本の項目別スコアランキング> 項目別に見ると日本は、犯罪の発生率に基づく「安全」の指標では10点満点中9.7点と加盟国34か国中トップになった。しかし「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)」の項目では、トルコ、メキシコに続くワースト3位だった。日本人の労働時間の長さが反映しての結果ということであろうか。 日本のベスト3とワースト3を見ると、ベスト3では、「安全」が(1位)、「教育」が(2位)、「収入」が(6位)となっている反面、 「ワークライフバランス」が(34位)、「健康」が(29位)、「生活満足度」が(27位)とワースト3になっている。 ワークバランス、すなわち自由時間が少なく、長時間労働者の割合が圧倒的に多いということである。 ミシガン大学の項目にある@「家族関係」や E「個人の自由」、F「個人の価値観」についても、今の日本では核家族化が極限まで進行しており、また個人の自由や個人の価値観についても勤務先の企業や組織がそれらの自由は価値観に寛容であるということはあまりなく、それが若者が一旦就職した企業などを退職する大きな理由になっていると思われる。 以下は、OECDの幸福度の11の指数(指標)について、第一位のデンマーク、日本、韓国、米国の四カ国についてスパイラルチャートを使って見てみたものである。 出典:OECD Better Life Index Ranking 上のスパイラルチャートから分かることは、デンマークが収入以外の生活と仕事、生活満足度、環境、地域社会、仕事など多くの項目でトップにいることである。一方、日本がどうかと言えば、トップないし2位は安全と教育だけである。逆に日本や生活と仕事、政府のガバナンス、生活満足度で最下位となっている。 ここでの収入は国のGDPではなく、一人当たりの収入を指している。 米国に次いでGDP世界第二位を誇った日本だが、一人当たりGDPでは、見る影もなく下がっていること、にもかかわらず労働時間がなく、家庭や社会での自由時間が少なく、さらに環境、住居、健康、地域社会でスコアが低いことが如実に表れていると言えよう。 つづく |