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三鷹公会堂 辺野古シンポ
青山貞一基調講演要旨


E不明朗な立地選定

民主党両首脳の"公約"

掲載日:2010年3月9日
独立系メディア E-wave Tokyo
無断転載禁


本コラムの分類<沖縄>
●特集:普天間代替施設問題を検証する(三鷹公会堂シンポ基調講演) 2010.3
@前提としての外交・防衛論 F不透明な立地選定 - 米国はグアムに決定!
A公共事業としての防衛・基地利権 G鍵を握る環境と安全 -環境アセス
B大メディアによる情報操作と世論誘導 H鍵を握る環境と安全 -オスプレイ
C政治家と利権 - 砂利 I鍵を握る環境と安全 -ジュゴン
D政治家と利権 - 土地 J鍵を握る環境と安全 -海洋生態系
E不透明な立地選定 - 民主党の”公約”? K10億円かけた辺野古アセスの根幹的諸課題

 本連載は、2010年3月7日(日)、東京都三鷹市三鷹公会堂で開かれた普天間飛行場代替施設にかかわるシンポジウムで、青山貞一(東京都市大学大学院教授)が基調講演を行った際の内容の要旨である。



 普天間飛行場の代替施設の立地を巡っては、古くは日米で構成する日米安全保障協議委員会(「2プラス2」)が1995年11月、沖縄における施設及び区域に関する特別行動委員会 (SACO) を設置する。いわゆるSACO合意である。

 このSACO最終報告では、海上ヘリポートの建設地として沖縄本島東海岸沖としか明記されなかったが、その後、1997年には名護市辺野古のキャンプ・シュワブ地域が移設候補地とされた。

 当初は代替施設建設に名護市議会や市長も反対していたが、北部地域振興策などが提起されるに従い、当該振興策を条件に建設賛成へと市長・市議会の意見も変化した。

 1997年に行われた名護市条例に基づく「名護市における米軍のヘリポート基地建設の是非を問う市民投票」(名護市民による住民投票)では反対の票が半数を占めたものの、直後の市長選挙では建設推進派の市長が、その後の選挙でも一貫して基地建設推進派の市長が当選した。

 また沖縄県も当初は建設反対を表明していたが、1998年に稲嶺惠一知事は、当選後「建設後15年以内の返還」を条件として建設賛成を表明した。

 しかし、これらの複雑な現地事情から、SACO最終報告の発表から7年を経過した2006年に至っても、同基地返還の具体的な見通しは立っていなかった。

 これに対し、自民党前政権は、沖縄県及び地元名護市などから住民生活や自然環境への特別の配慮、移設先及び周辺地域の振興、沖縄県北部地域の振興及び駐留軍用地跡地の利用の促進等の要請が寄せられてきたとし、いわば各種補助金、特別交付金を集中的に沖縄県、名護市、北部地域に投入することになる。

 いわば自民党前政権(橋本政権末期)は、徹底した経済支援、物的支援によって、1999年11月22日、沖縄県知事は移設候補地を「キャンプ・シュワブ水域内名護市辺野古沿岸域」とする旨表明し、更に12月27日、名護市長から同飛行場代替施設に係る受け入れの表明が行われた。
 
 この詳細については、本号の巻末に掲載したので参照して欲しい。


◆政権交代直前

 昨年(2009年)5月16日、民主党代表選挙で鳩山由紀夫幹事長(当時)が代表に当選した。その直後、民主党本部で約一時間記者会見が行われた。

  
 
 記者会見に臨んだ鳩山新代表は、沖縄新報の仲井間記者(女性)からの質問にこたえ、懸案の沖縄県宜野湾市にある米軍普天間飛行場を名護市辺野古、キャンプシュワブ沿岸部に施設を移設することに関連し、民主党が政権をとった場合、普天間基地の名護市辺野古(キャンプシュワブ沿岸)への移設を見直すと言明した。

 さらに記者会見では具体的に「琉球新報の仲井間と申します。細かい話しとなりますが、安全保障政策に関連しまして民主党は沖縄ビジョン2005年のなかで普天間基地の県外移設を目指すとされていますが、政権を取った場合、その方向で目指してゆくのか...」と質問した。

 これに対し、鳩山新代表は「私どもは沖縄ビジョン2005年という大変よいものををつくってくれたと思っているので、(普天間の)県外移設をめざすという考えを変えるつもりはない。

 政権をとる前ととった後でこのような重要な考え方を変えるべきではないと考えておりますので、基本的に普天間の移設については県外を目指し、これからも進めてゆく、政権を取った後も進めてゆくと考えています」と言明した。

 さらに、2009年5月23日、沖縄県を訪れた小沢一郎民主党代表代行は、沖縄県南城市内で記者団に対し、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)のキャンプ・シュワブ沿岸部(同県名護市)への移設計画について「あそこの海を埋めてヘリ基地を造る必要はないだろう。ほかにもっと有効で、県民の皆さんから了解される方法があるはずだ」と述べ、政権交代を実現した場合は計画を見直す考えを強調した。

普天間移設見直し強調=民主・小沢氏

 民主党の小沢一郎代表代行は23日、沖縄県南城市内で記者団に対し、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)のキャンプ・シュワブ沿岸部(同県名護市)への移設計画について「あそこの海を埋めてヘリ基地を造る必要はないだろう。ほかにもっと有効で、県民の皆さんから了解される方法があるはずだ」と述べ、政権交代を実現した場合は計画を見直す考えを強調した。

 また、日米地位協定に関しても「基本的に見直す作業をすべきだろう」と語った。

時事通信(2009/05/23-21:33) 

 このように、沖縄県の普天間基地移設について、民主党の新旧両代表は、政権を取った場合、県外移設を目指すと言明してきた。

 民主党によれば、これら鳩山、小沢両氏が公言した県外、海外移設の可能性は、政権公約ではないと、しきりに喧伝しているが、少なくとも総選挙前の昨年時点で、両首脳がかくも明確に述べていることを反故にはできないであろう!

 沖縄県民はもとより、日本国民の圧倒的多くはそう理解したはずであある。

 そして、これら今の民主党の政策、政治、政局の中枢的立場にいる2名が公言した県外か海外移設が危機に瀕しているのは、ご承知の通りである。

 では、なぜ、こんなことになったのか? 一体どうなっているのだろうか?


Fへ続く



<参考資料>

●普天間飛行場(基地)の概要

 
移転の対象となる普天間飛行場(Marine Corps Air Station Futenma)は、沖縄県宜野湾市に立地するアメリカ海兵隊の飛行場。通称は普天間基地(ふてんまきち、MCAS FUTENMA)で、地元の宜野湾市民は単に「基地」と呼ぶ。

 普天間基地は延長2,700mの滑走路を持つ。同じ沖縄本島にある嘉手納基地と並び沖縄におけるアメリカ軍の一台拠点となっている。

 下の写真は宜野湾市にある米軍の普天間飛行場である。この基地は、写真で分かるように周辺が密集市街地となっている。


出典:宜野湾市基地対策部Web

 普天間基地は、上の写真に見られるように市街地の中心部を占めるため、当初から返還を求める主張があり、米軍駐留に対する大規模な反対運動が起こったため、日米で構成する日米安全保障協議委員会(「2プラス2」)は1995年11月、沖縄における施設及び区域に関する特別行動委員会 (SACO) を設置する。

 同行動委員会が在沖縄米軍のあり方を全面的に見直し、検討の結果、1996年12月2日の最終報告で5年後から7年後までの全面返還を発表した。

 しかし、この全面返還はその条件として「十分な代替施設が完成し運用可能になった後」とし、代替施設として1,300m滑走路を備えたヘリポート(いわゆる「海上ヘリポート」)を挙げていた。

 SACO最終報告では、海上ヘリポートの建設地として沖縄本島東海岸沖としか明記されなかった。しかし、その後、1997年には名護市辺野古のキャンプ・シュワブ地域が移設候補地とされた。

 当初は代替施設建設に名護市議会や市長も反対していたが、北部地域振興策などが提起されるに従い、当該振興策を条件に建設賛成へと市長・市議会の意見も変化した。

 1997年に行われた名護市条例に基づく「名護市における米軍のヘリポート基地建設の是非を問う市民投票」(名護市民による住民投票)では反対の票が半数を占めたものの、直後の市長選挙では建設推進派の市長が、その後の選挙でも一貫して基地建設推進派の市長が当選した。

 また、沖縄県も当初は建設反対を表明していたが、1998年に稲嶺惠一知事は、当選後「建設後15年以内の返還」を条件として建設賛成を表明した。これらの複雑な現地事情から、SACO最終報告の発表から7年を経過した2006年に至っても、同基地返還の具体的な見通しは立っていない。

 上記の主な出典:Wikipedia


●代替施設検討の経緯

 以下は普天間飛行場の県内移設に係わる日本政府の方針である。参考として全文を掲載する。

普天間飛行場の移設に係る政府方針

平成11年12月28日 閣議決定
平成18年 5月30日 廃止

 政府においては、沖縄県における米軍施設・区域の負担を軽減するため、「沖縄に関する特別行動委員会」(以下「SACO」という)最終報告の着実な実現に向けて、全力で取り組んできたところである。

 SACO最終報告において大きな課題となっている普天間飛行場の移設・返還について、平成11年11月22日、沖縄県知事は移設候補地を「キャンプ・シュワブ水域内名護市辺野古沿岸域」とする旨表明し、更に12月27日、名護市長から同飛行場代替施設に係る受け入れの表明が行われた。
 
 こうした中で、沖縄県及び地元から、住民生活や自然環境への特別の配慮、移設先及び周辺地域の振興、沖縄県北部地域の振興及び駐留軍用地跡地の利用の促進等の要請が寄せられてきたところである。
 
 政府としては、こうした経緯及び要請に基づき、本件に係る12月17日の第14回沖縄政策協議会の了解を踏まえつつ、今後下記の方針に基づき取り組むこととする。


I 普天間飛行場代替施設について

 普天間飛行場代替施設(以下「代替施設」という)については、軍民共用空港を念頭に整備を図ることとし、米軍とも緊密に協議しつつ、以下の諸点を踏まえて取り組むこととする。

 1.基本計画の策定
 
 建設地点を「キャンプ・シュワブ水域内名護市辺野古沿岸域」とし、今後、代替施設の工法及び具体的建設場所の検討を含めて基本計画の策定を行う。基本計画の策定に当たっては、移設先及び周辺地域(以下「地域」という)の住民生活に著しい影響を与えない施設計画となるよう取り組むものとする。

 代替施設の工法及び具体的建設場所については、地域住民の意向を尊重すべく、沖縄県及び地元地方公共団体とよく相談を行い、最善の方法をもって対処することとする。

 2.安全・環境対策
 
 (1) 基本方針
地域の住民生活及び自然環境に著しい影響を及ぼすことのないよう最大限の努力を行うものとする。
 (2) 代替施設の機能及び規模
 代替施設については、SACO最終報告における普天間飛行場移設に伴う機能及び民間飛行場としての機能の双方の確保を図る中で、安全性や自然環境に配慮した最小限の規模とする。
 (3) 環境影響評価の実施等
 [1]環境影響評価を実施するとともに、その影響を最小限に止めるための適切な対策を講じる。
 [2]必要に応じて、新たな代替環境の積極的醸成に努めることとし、そのために必要な研究機関等の設置に努める。
 (4) 代替施設の使用に関する協定の締結
 地域の安全対策及び代替施設から発生する諸問題の対策等を講じるため、[1]飛行ルート、[2]飛行時間の設定、[3]騒音対策、[3]航空機の夜間飛行及び夜間飛行訓練、廃弾処理等、名護市における既存施設・区域の使用に関する対策、[4]その他の環境問題、[6]代替施設内への地方公共団体の立入りにつき、地方公共団体の意見が反映したものとなるよう、政府は誠意をもって米国政府と協議を行い、政府関係当局と名護市との間で協定を締結し、沖縄県が立ち会うものとする。
 (5) 協議機関等の設置
 代替施設の基本計画の策定に当たっては、政府、沖縄県及び地元地方公共団体の間で協議機関を設置し、協議を行うこととする。
 また、航空機騒音や航空機の運用に伴う事故防止等、生活環境や安全性、自然環境への影響等について、専門的な考察による客観的な分析・評価を行えるよう、政府において、適切な体制を確保することとする。
 (6) 実施体制の確立
 代替施設の基本計画に基づく建設及びその後の運用段階においても、適切な協議機関等を設置し、地域の住民生活に著しい影響を及ぼさないよう取り組むこととする。また、協議機関においては、代替施設の使用に関する協定及び環境問題についての定期的なフォローアップを行うこととする。

 3.使用期限問題

  政府としては、代替施設の使用期限については、国際情勢もあり厳しい問題があるとの任認識を有しているが、沖縄県知事及び名護市長から要請がなされたことを重く受け止め、これを米国政府との話し合いの中で取り上げるとともに、国際情勢の変化に対応して、本代替施設を含め、在沖縄米軍の兵力構成等の軍事態勢につき、米国政府と協議していくこととする。

 4.関連事項

 (1) 米軍施設・区域の整理・統合・縮小への取組
沖縄県における米軍施設・区域の負担を軽減するため、県民の理解と協力を得ながら、SACO最終報告を踏まえ、さらなる米軍施設・区域の計画的、段階的な整理・統合・縮小に向けて取り組む。
 (2) 日米地位協定の改善
地位協定の運用改善について、誠意をもって取り組み、必要な改善に努める。
 (3) 名護市内の既存の米軍施設・区域に係る事項
 [1] キャンプ・シュワブ内の廃弾処理については、市民生活への影響に配慮し、所要の対策について取り組む。
 [2] 辺野古弾薬庫の危険区域の問題について取り組む。
 [3] キャンプ・シュワブ内の兵站地区に現存するヘリポートの普天間飛行場代替施設への移設については、米国との話し合いに取り組む。

II 地域の振興について

 1. 普天間飛行場移設先及び周辺地域の振興
 代替施設の受け入れに伴い新たな負担を担うこととなる地域の振興については、平成11年12月17日の第14回沖縄政策協議会の了解を踏まえ、今後、別紙1の方針により、確実な実施を図ることとする。
 2. 沖縄県北部地域の振興
 沖縄県北部地域の振興については、上記第14回沖縄政策協議会の了解を踏まえ、今後、別紙2[PDF]の方針により、確実な実施を図ることとする。
 3. 駐留軍用地跡地利用の促進及び円滑化等
 沖縄における駐留軍用地跡地利用の促進及び円滑化等については、上記第14回沖縄政策協議会の了解を踏まえ、今後、別紙3の方針により、確実な実施を図ることとする。

 その後、普天間飛行場の代替施設に関連し、日本政府、沖縄県、名護市、宜野湾市との間に「代替施設協議会」を設置することが計画され、平成12年8月25日に第一回目の協議会が内閣総理大臣官邸大食堂で開催される。

 以下は代替施設設置協議会の設置目的と協議内容、構成員等である。
  • (目的)
    1   「普天間飛行場の移設に係る政府方針」(平成11年12月28日閣議決定)に基づき、普天間飛行場代替施設(以下「代替施設」という。)の基本計画の策定に当たって、政府、沖縄県及び地元 地方公共団体の間で協議するため、代替施設協議会(以下「協議会」という。)を設置する。
  • (協議内容)
    2   協議会では、次の事項について協議する。
    • (1)代替施設の規模、工法及び具体的建設場所
    • (2)その他代替施設の基本計画の策定に必要な事項
     
  • (構成員等)
    3   協議会の構成員は、内閣官房長官・沖縄開発庁長官、防衛庁長官、 外務大臣、運輸大臣、沖縄県知事、名護市長、東村長及び宜野座村長とする。
     ただし、協議会において環境に係る課題を協議する際には、環境庁長官の出席を求めるものとする。

 第一回目の主な出席者と議題は以下の通り。

(政府側)
中川内閣官房長官・沖縄開発庁長官、虎島防衛庁長官、河野外務大臣、森田運輸大臣

(沖縄側)
稲嶺沖縄県知事、岸本名護市長、宮城東村長、浦崎宜野座村長
その他

(政府側)
古川内閣官房副長官、竹島内閣内政審議室長、安達内閣内政審議室沖縄問題担当室長

(沖縄側)
石川沖縄県副知事、宮城名護市助役、平良東村助役、新里宜野座村助役
○議 題:
(1)代替施設協議会(仮称)の設置について
(2)代替施設基本計画の策定に係る今後の取組について

 以下は代替施設基本計画の策定に係る今後の取組について(案)である。
 

代替施設基本計画の策定に係る今後の取組について(案)

平成12年8月25日
代替施設協議会

 普天間飛行場代替施設(以下「代替施設」という。)の基本計画(以下「基本計画」という。)の策定に当たって、平成11年12月28日閣議決定「普天間飛行場の移設に係る政府方針」(以下「閣議決定」という。)に従い、今後、代替施設協議会(以下「協議会」という。)として、以下の諸点に留意しつつ、取組むこととする。

  1. 協議会の位置づけについて
     閣議決定において、「キャンプ・シュワブ水域内名護市辺野古沿岸域」を建設地点として今後基本計画の策定を行うとされたところであり、基本計画の策定に当たっては、日米間で協議を行うとともに、閣議決定に基づき、政府、沖縄県及び地元地方公共団体の間で協議を行うことを目的として、協議会を設置するものである。
     政府、沖縄県及び地元地方公共団体は、協議会における協議を通じ、相互に連携し、取組むこととする。
  2. 協議会における協議について
     協議会においては、代替施設の規模、工法、具体的建設場所その他基本計画の策定に必要な事項について協議することとする。
     また、協議に当たっては、地域の住民生活及び自然環境に著しい影響を及ぼすことのないよう最大限の努力を行うとともに、代替施設の規模についても、普天間飛行場移設に伴う機能及び民間機能の双方の確保を図る中で、最小限の規模とする等、安全・環境面に十分留意することとする。
  3. 今後の取組について
     協議会においては、基本計画の策定に必要な事項(上述)について、逐次協議を進めることとする。
     なお、軍民共用飛行場としての民間機能の位置づけについては、第2回協議会において沖縄県から説明を行うこととする。

  ※第9回までの代替施設協議会の開催概要

 そして、第9回目の代替施設協議会で、以下の基本計画について(案)がだされ、その一環として環境対策の中にはじめて環境影響評価の実施が盛り込まれる。。

普天間飛行場代替施設の基本計画について(案)


〔 平成14年 月 日 〕

 「普天間飛行場の移設に係る政府方針」(平成11年12月28日閣議決定)に基づき、普天間飛行場代替施設の基本計画を次のとおり定める。

1 規模

 (1) 滑走路

普天間飛行場代替施設(以下「代替施設」という。)の滑走路の数は、1本とする。
滑走路の方向は、おおむね真方位N55°Eとする。
滑走路の長さは、2,000メートルとする。

 (2) 面積及び形状

代替施設本体の面積は、最大約184ヘクタールとする。
代替施設本体の形状は、おおむね長方形とする。長さ約2,500メートル、幅約730メートルとする。

2 工法

 代替施設の建設は、埋立工法で行うものとする。

3 具体的建設場所

 代替施設の具体的建設場所は、辺野古集落の中心(辺野古交番)から滑走路中心線までの最短距離が約2.2キロメートル、平島から代替施設本体までの最短距離が約0.6キロメートルの位置とする。(別図参照)
 なお、同位置については、海底地形調査に基づく設計上の考慮や環境影響評価等を踏まえ、最終的に確定する。

4 環境対策

 代替施設の建設に当たっては、環境影響評価を実施するとともに、その影響を最小限に止めるための適切な対策を講じる。


 その後、代替施設の立地位置と形状、構造などは、紆余曲折するが、2006年5月1日にV字型滑走路2本を辺野古崎沿岸域に立地する計画案が日米で合意される。
 
 ※当初の一本の滑走路案とV字滑走路案の比較

 ※米海兵隊演習への辺野古沖提供水域

 環境影響評価の対象となった代替施設の位置と形状は以下の通り。


出典:環境影響評価準備書


●対象地域の概要

 普天間基地代替施設の建設案がキャンプ・シュワブの沖合に計画されているが、この海域は絶滅危惧種のジュゴンの生息北限であることなどから、地元住民をはじめ自然保護団体や反戦運動団体から反対の声があがる。

 ※全国的自然保護団体から2004年以降出された意見書一覧

 その代替施設の移設予定地は、名護市の東海岸地域のキャンプシュワブに隣接する沿岸部で以下の地図にある辺野古崎と平島の間とされている。


キャンプ・シュワブと大浦湾地域の概要図


辺野古・キャンプ・シュワブ・大浦湾

 下の地図は、普天間代替施設の滑走路の立地概要図である。滑走路はV字型となっている。キャンプシュワブは現存し運用されている米軍キャンプである。


普天間代替施設の滑走路の立地概要図