エントランスへはここをクリック   
特集:ポーランド東部3大絶滅収容所
ナチス・ドイツがポーランド東端
設置した絶望収容所現地調査
(
後半)
ソビボル(Sobibor)
青山貞一 Teiichi Aoyama
東京都市大学大学院環境情報学研究科

池田こみち Komichi Ikeda
環境総合研究所顧問(東京)

19 June 2009 拡充 1 November 2010,  20 November 2024


現地ソビボールにある記念碑 撮影:青山貞一 Nikon Cool Pix S10 2009.3.12

ナチスドイツのソビボル絶望収容所 目次

 その1  その2   その
   その4  その5
  その6   

 ※注:絶望収容所の意味 ナチスドイツが欧州に設置した強制収容所のうち、
     多くは一度収容されると、二度と解放されない、すなわち銃殺、ガス室、
     生き埋め、毒殺、餓死な手段は問わず、収容所内で殺害されるという
     意味でありポーランド東部、ウクライナやベラルーシとの国境沿いに設
     置された強制収容所は、いずれも後に絶望収容所と呼ばれた。

■2009年3月12日 

  
ポーランド東の3大絶滅収容所、ソビボルを知る

ソビボル絶滅工場の概要

 ソビボルは3大絶滅収容所のうちベルゼックに次いで稼働している。

 地域はポーランドのルブリン地区にあり、ラインハルト作戦執行責任者であるオディロ・グロボクニクが立地を決定した。ルブリン地区には、3大絶滅収容所とは別に、巨大なマイダネク収容所があり、この日の私たちの予定の最後である。

 マイダネク収容所に到着したのは、終業まじかだった。日本から来たことをつげ、またイスラエルの高校生が来ていたこともあり、最終的に就業時間を1時間遅らせてもらい、マイダネク収容所は予定通り、ほぼすべてを視察することができた。

 3絶望収容所はじめマイダネクなどが集中している理由は、あまりひと気がなく、森に囲まれて発見されにくい。かつ鉄道が通っていることにると思われる。以下の写真はソビボル駅の標識である。


出典 Wiiimmedia Commons

 1942年3月からリヒャルト・トマラ親衛隊大尉の指揮のもとに建設工事が開始され4月に完成している。

 絶滅収容所の総面積は58haで周囲は鉄条網と濠と地雷が設置されている。さらに機関銃を備え付けた監視塔が4つ備わっていた。

 ソビボル駅から別れた線路がソビボル収容所入り口までのびていた。

 列車に詰め込まれて収容所に到着した囚人は、まず労務班として必要な者が選別された。その者は第1収容区へ連れて行かれて各々作業にあたった。

 それ以外の「必要のない者」は第2収容区へ連れて行かれた。

 そこで裸にされたのち、「パイプ道」(Tube、下図参照)と呼ばれた鉄条網にはさまれた150mほどの小道を進んで第3収容区へ連れて行かれ、そこで「処理」された。到着から数時間で「処理」に至ったという。


ソビボルの敷地にはチューブがありそこに送り込まれた囚人は出口近くで「処理」された
出典 Wiiimmedia Commons

 下はBBCのドキュメントに出てくるソビボル絶滅収容所のイメージ図である。下側に鉄道のレールがあり、右上にガス室がある。両者は選別広場を挟んでチューブ(The Tube)で結ばれていることが分かる。


Source:Auschwitz:The Final Solution BBC


Source:Auschwitz:The Final Solution BBC


Source:Auschwitz:The Final Solution BBC

 下はソビボル駅からソビボル絶滅収容所への鉄道の引き込み線である。


Source:http://www.jewishgen.org/ForgottenCamps/Camps/SobiborEng.html

 下は現在、ソビボルで保存されていた司令官がいた建物(復元建築物)。


Source:Holocaust Education & Archive Research Team


Source:Holocaust Education & Archive Research Team


ソビボル絶滅収容所の概要図(グリーンの部分がチューブである)

 以下はソビボル絶滅収容所に関連して残されている数少ない写真の一枚である。


ソビボル絶滅収容所に関連して残されている数少ない写真の一枚
Source:English Wikipedia

 下はソビボル博物館のイメージ図である。下に示した概念図と「鉄道軌道」、「点呼広場」、「チューブ(The Tube)」、「ガス室(Camp3)」、「作業員バラック(Camp1)」など、主要施設の配置がほぼ同じであることが分かる。後に英国の映画監督により制作される映画「ソビボルからの脱出」を見ると、以下の配置図をもとに全体が構成されていることが分かった。


Source:Holocaust Education & Archive Research Team


ソビボル絶滅収容所の概要図。鉄道の引き込み線がある


その3につづく


ナチスドイツのソビボル絶望収容所 目次

 その1  その2   その3 
  その4  その5
  その6