日本の焼却・溶融炉等、 官民一体の海外売り込み実態 焼却炉の海外受注リスト−個別企業別(1) 池田こみち Komichi Ikeda 掲載月日:2018年1月12日 独立系メディア E−wave Tokyo 無断転載禁 |
関連スレッド<国|首都圏|東南ア|日中韓朝|国際|ロシア|EU|地域|地球|自然|ゴミ|有害|外郭団体 |経済> 売り込み実態 個別企業1 個別企業2 個別企業3 個別企業4 ◆焼却炉の海外受注リスト−個別企業別(1) ここからは、2010年以降に国内の主要メーカーが海外から受注した案件について、リストアップしておくこととする。先に総括編として日本環境衛生施設工業会が作成したリストを示したが、ここでは主要メーカー別(JFEエンジニアリング、川崎重工、三菱重工業、日立造船の順に掲載)に2017年〜2010年前後までをチェックしてみた。 施設の概要についても掲載している。川崎重工と三菱重工は日本環境衛生施設工業会のリストには掲載されていなかった。 なお、ここにリストアップした対象施設は廃棄物焼却炉・ガス化炉、及び廃棄物発電施設であり、その他の施設(バイオマス関連施設、下水道処理施設等)は除外している。 出典は各メーカーのWebサイトに掲載しているニュースリリースから抜粋している。 【JFEエンジニアリング(株)】 出典:特に記載がない限り同社ニュースWebサイト各年より抜粋 ●中国瀋陽市で産業廃棄物処理事業の検討を開始 2017年12月25日リリース JFEエンジニアリング株式会社、遼寧牧昌国際環保産業股?(?は人偏に分)有限公司(社長:白冰、本社:瀋陽市)、川崎市(市長:福田紀彦)、瀋陽市(市長:姜有為)は、瀋陽市における産業廃棄物処理事業化に向けた検討を開始することに合意し、12月24日に「第11回日中省エネルギー・環境総合フォーラム」で覚書を締結。 JFEエンジニアリングは、川崎市の一般廃棄物焼却施設である浮島処理センターの建設などを行なっている。また、子会社のJFE環境株式会社は、川崎市内に焼却炉を保有するなど、全国で産業廃棄物の処理事業を行っている。遼寧牧昌国際環保産業股?有限公司は、瀋陽市で12年に亘り産業廃棄物処理事業を行ない、瀋陽市の環境改善や経済発展に貢献してきた。 川崎市は、36年間に亘り瀋陽市との友好都市交流を行なうとともに、環境・省エネ分野の行政ノウハウを提供してきた。中国東北地方最大規模の都市である瀋陽市は、200社以上の日系企業が進出する商工業の中心地でもあり、年間500万tを超える産業廃棄物に対し、環境に配慮した適正な処理が行われるように注力してきた。 今後4者は、瀋陽市の経済発展に伴い急激な増加が見込まれる産業廃棄物を同市において適正処理し再資源化するため、各者のノウハウや経験を活かし事業化の検討を進めていく。 ●リトアニア国最大の廃棄物発電プラントを受注 〜スタンダードケッセル・バウムガルテ社のボイラ技術が高評価〜 2017年10月25日リリース JFEエンジニアリング株式会社の子会社スタンダードケッセル・バウムガルテ社(以下「SBG社」)は、このたびリトアニア国カウナス市で同国最大の廃棄物発電プラントを受注。今回受注したのは、プラントの主要機器である炉・ボイラ設備一式。 リトアニア国では、都市ごみの大部分を埋め立て処分してきましたが、近年ではEUおよび同国の環境政策により処分場が逼迫し大きな問題となっている。こうした背景に加え、ごみ焼却時の廃熱も有効活用できる廃棄物発電プラントへ注目が高まっている。(中略) このプラントは、1炉で年間約20万tの廃棄物(一般廃棄物、産業廃棄物、下水汚泥)を処理し、電気と暖房用の熱源をカウナス市に提供。(後略) ◆受注概要 (1) 発注者 :UABカウノ コゲネラツィネ ヤゲイネ社 (2) 受注範囲:炉・ボイラ設備一式(据付を含む) (3) 処理規模:最大300,000 t/年(最大919 t/日)×1炉 (4) 蒸気条件:7.6MPa-450℃ (5) 発電出力:24MW,el (6) 熱出力 :70MW,th (7) 工期 :2017年8月〜2020年4月 ◆スタンダードケッセル・バウムガルテ社 会社概要 (1) 所在地 :ドイツ国デュイスブルク市 (2) 業務内容:廃棄物発電プラント、バイオマス発電プラント、廃熱回収プラントなどの建設 (3) 設立 :2017年5月 ※1925年10月、旧スタンダードケッセル社設立、1935年2月、旧バウムガルテ社設立 ●東南アジア初のシャフト式ガス化溶融炉を受注 〜シンガポール国 南洋理工大学と共同研究〜 2017年4月14日リリース J FEエンジニアリング株式会社は、シンガポール南洋理工大学(以下、NTU)から、シャフト式ガス化溶融炉の建設工事を受注。当社は、昨年7月にNTUと「ガス化溶融炉を用いた共同研究契約」を締結しており、プラント建設後、実証試験段階に入る。尚、このプロジェクトは、東南アジア初のシャフト式ガス化溶融炉建設となる。 ◆受注概要 (1)発注者 : 南洋理工大学 (2)工事場所: シンガポール国 トゥアス工業団地内 (3)処理規模: 11.5t/日×1炉 (4)工期 : 2018年末竣工予定 ●ミャンマー初のごみ焼却発電プラントを受注 〜CO2排出削減に関する二国間クレジット制度(JCM)を活用〜 2015年11月12日リリース JFEエンジニアリング株式会社は、このたびミャンマー国と日本国との間のJCMを活用しヤンゴン市が建設する、同国初のごみ焼却発電プラントを受注。JCMは、途上国に対し、優れた技術の普及によって実現する温室効果ガス排出削減量を、日本の排出削減目標の達成に活用できる制度。本件はごみ焼却発電プロジェクトとしてJCMを適用する第1号案件、またミャンマー国初のJCMプロジェクトとなる。 ヤンゴン市では、現状日量約1,600トン排出されるごみが、処分場に直接埋立られており、急速な経済発展に伴うごみ排出量の増加に対応できる適切な処理施設の整備 が急務になっている。 当社は、2012・2013年に、ヤンゴン市における「我が国循環産業海外展開事業化促進事業」、2014年に「JCM実現可能性調査」を環境省から受託し、廃棄物処理の適正化に向けた調査を実施し、最適な処理方法を検討してきた。今回の受注はこれらが評価されたもので、当社は、ごみ焼却発電プラントの設計・建設を行い、2017年の完成後、ヤンゴン市が運転を行う。 このプラントは、日量60トンの廃棄物を焼却処理し、年間約5,200MWhの発電を行う。これにより、ミャンマーで不足する電力を補うとともに、年間のエネルギー起源CO2排出量が約2,400トン削減される。 ◆施設概要 1.工事名称 :ヤンゴン市における廃棄物発電 2.発注者 :ミャンマー国ヤンゴン市 3.請負範囲 :一般廃棄物焼却発電施設(ストーカ炉:60t/日×1炉)設計建設 4.建設場所 :ヤンゴン市内北部シュエピーター地区 5.発電容量 :700kW ●テヘラン市における廃棄物焼却発電施設の導入に関する調査を受託 出典:環境施設 2016年12月号 No.146 JFEエンジニアリング(株)は、JETROよりイラン国テヘラン市における廃棄物焼却発電施設の導入に関する「我が国企業の技術を活用したインフラ案件発掘・市場性調査」を受託。一日当たり8,000tを超えるごみの発生と直接埋立による最終処分場問題に直面している現状を改善する目的。 ●マレーシアで産業廃棄物焼却プラントを完成 2014年12月24日リリース JFEエンジニアリング株式会社の100%出資の現地法人JFEエンジニアリングマレーシアと月島機械株式会社(本社:東京都中央区、社長:山田和彦)の100%出資の現地法人月島エンジニアリングマレーシアの共同企業体は、マレーシア国ボルネオ島サラワク州において産業廃棄物焼却プラントを完成。 このプラントは、ドイツ大手の廃棄物処理企業であるトリニケンス社とマレーシア国サラワク州政府による合弁会社「サラワク・ウェイスツ・マネジメント社」から受注したもので、月島機械グループにおいて熱処理プラントを得意とする月島環境エンジニアリング叶サキルンストーカ炉を採用しており、液体物から固形物まで幅広い種類の廃棄物を処理することが出来る。また、隣接する埋立地から発生するランドフィルガスを収集し、燃料として活用することで、ランニングコストの低減と温室効果ガス排出の削減を図っている。 ◆案件概要 発注者:サラワク・ウェイス・マネジメント社 JV構成:JFEEマレーシア&月島エンジニアリングマレーシア 焼却炉仕様:ロータリーキルン+ストーカ炉 60t/日 着工日:2013年7月10日 竣工日:2014年11月27日 【川崎重工(株)】 出典は同社のニュースWebサイト各年より抜粋 ●中国で環境配慮型ごみガス化システム「CKKシステム」4機を連続受注 2016年02月16日リリース 川崎重工と中国CONCHグループ※との合弁会社である安徽海螺川崎工程有限公司(以下、ACK)は、中国において、当社とCONCHグループが共同開発した環境配慮型ごみガス化システム「CKKシステム(CONCH Kawasaki Kiln System)」 4機を連続受注。2017年1月までに順次納入予定。(中略) 当社とACKは、今回の受注を含めて中国向けに23機の受注実績を有しており、これまでにCONCHグループ傘下で中国最大手のセメントメーカーである安徽海螺水泥股?有限公司(CONCHセメント)の安徽省銅陵市の工場(ごみ処理量300トン/日)や貴州省貴定県の工場(ごみ処理量200トン/日)などに16機を納入。 中国や東南アジアをはじめとする新興国では、都市化の進展に伴い増加する都市 廃棄物の処理が喫緊の課題となっている。特に中国では、2013年10月に発 令された国務院通達において、既設セメントプラントの10%以上でごみ処理が 義務付けられたことから、今後もCKKシステムの需要拡大が見込まれている。 注)※ CONCHグループ (これ以降の記事からは省略) 中国最大手で世界有数のセメントメーカーであるCONCHセメントを傘下に持 ち、セメントや建材、貿易等の事業を展開している企業集団。 ◆今回受注したCKKシステムの概要 導入セメント工場 建設場所 処理能力 ・広西陵雲通鴻水泥 広西チワン族自治区凌雲県 100トン/日×1炉 ・銅陵海螺 安徽省銅陵市 300トン/日×1炉 ・寧国海螺 安徽省寧国市 300トン/日×1炉 ・双甚水泥 河北省沙河市 300トン/日×1炉 ●中国で環境配慮型ごみガス化システム「CKKシステム」7機を連続受注 2015年05月11日リリース 川崎重工と中国CONCHグループとの合弁会社である安徽海螺川崎工程有限公司(以下、ACK)は、中国において、当社とCONCHグループが共同開発した環境配慮型ごみガス化システム「CKKシステム(CONCH Kawasaki Kiln System)」7機を連続受注。今回受注したCKKシステムは、貴州省玉屏県向け、貴州省安順市向け、貴州省習水県向け、貴州省水城県向け、四川省峨眉山市向け、雲南省保山市向け、広西省扶綏県向けの計7機で、2015年11月までに順次納入する予定。 ●中国で環境配慮型ごみガス化システム「CKKシステム」6機を連続受注 2014年10月23日リリース 川崎重工と中国CONCHグループとの合弁会社である安徽海螺川崎工程有限公司(以下、ACK)は、中国において、当社とCONCHグループが共同開発した環境配慮型ごみガス化システム「CKKシステム(CONCH Kawasaki Kiln System)」6機を連続受注しました。今回受注したCKKシステムは、中国貴州省清鎮市向け、広東省陽春市向け、湖南省祁陽県向け、湖南省双峰県向け、湖南省石門県向け、四川省南江県向けの計6機で、2014年12月より順次納入する予定。 発注元 建設場所 処理能力 ・清鎮海螺 貴州省清鎮市 300トン/日×1炉 ・陽春海螺 広東省陽春市 200トン/日×1炉 ・祁陽海螺 湖南省祁陽県 300トン/日×1炉 ・双峰海螺 湖南省双峰県 200トン/日×1炉 ・石門海螺 湖南省石門県 200トン/日×1炉 ・巴中海螺 四川省南江県 200トン/日×1炉 ●中国で環境配慮型ごみガス化システム「CKKシステム」4機を連続受注 2014年05月28日リリース 川崎重工と中国海螺グループ(以下、CONCHグループ)との合弁会社である安徽海螺川崎工程有限公司(以下、ACK)は、中国において、当社とCONCHグループが共同開発した環境配慮型ごみガス化システム「CKKシステム(CONCH Kawasaki Kiln System)」4機を連続受注。2014年8月より順次納入する予定。 発注元 建設場所 処理能力 ・平涼海螺 甘粛省平涼市 300トン/日×1炉 ・重慶海螺 重慶市 200トン/日×1炉 ・福建?鱗集団 福建省?岩市 400トン/日×1炉 ・遵義海螺 貴州省遵義市 400トン/日×2炉 【三菱重工業(株)】 出典:同社ニュースWebサイト各年より抜粋 2017年6月15日 発行 第5867号 ●中国上海市向けに世界最大処理量6,000トン/日の一般廃棄物焼却施設を受注 MHIEC、現地エンジニアリング企業とのコンソーシアムで 三菱重工グループの三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社(MHIEC、社長:神野 定治、本社:横浜市西区)は、中国上海市向けに世界最大の一般廃棄物焼却施設を受注。現地企業(HNC:Hangzhou New Century Energy EnvironmentalProtection Engineering Co., Ltd.)とコンソーシアムを組み、6,000トン/日の処理能力を持つストーカ式焼却炉設備のほか、廃熱回収および排ガス処理に関わる機器などを手掛けるもので、納入完了は2018年7月の予定。(中略) MHIECは、大型廃棄物焼却施設建設プロジェクトでは、シンガポール向けで2000年に納入した4,320トン/日、および現在建設を進めている3,600トン/日の施設について実績を持っており、中国向けでは北京市で3,000トン/日の施設で実績がある。 ●シンガポールで廃棄物焼却発電事業に参画 ハイフラックス社と共同で施設の建設・運営を受託 2015年10月26日 発行 第 5695号 三菱重工業グループは、シンガポールでの廃棄物焼却発電事業に参画。現地の水処理・水供給運営事業大手であるハイフラックス社(Hyflux Ltd.)と共同で、チュアス(Tuas)地区において契約処理量3,600トン/日で発電量12万kW級の能力を持つストーカ式焼却発電施設の建設および25年間の運営・運転・保守を、同国環境庁(NEA)から請け負うもので、26日、正式契約を締結。施設の完成・商業運転開始は2019年前半の予定。 ●シンガポール・セノコ地区廃棄物発電施設の改造工事を受注 ストーカ式焼却炉の受け入れ能力を10%強拡大 2014年10月23日 発行 第5585号 三菱重工業グループは、シンガポールのセノコ地区にある廃棄物発電施設「Senoko Waste-to-Energy Plant(SWTE)」の改造工事を受注。ストーカ式焼却炉設備の廃棄物燃料受け入れ能力を10%強拡大する措置を講じるもので、工事完了は2016年度の第2四半期を予定。 ●中国・広東省向け ごみ焼却設備(T期施設)の更新プロジェクトを受注 U期新設プロジェクト受注に続いて 2011年4月4日 発行 第 5051号 三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社(MHIEC、社長:木村和明、本社:神奈川県横浜市、三菱重工業が100%出資)は、中国の都市ごみ処理事業会社である佛山市南海緑電再生能源有限公司(GRE)からごみ焼却設備の更新プロジェクトを受注。広東省佛山市の老朽化したごみ焼却炉3基(T期施設)を建て替えるもので、更新後の焼却炉の処理能力は総計1,500トン/日となる。施設の稼動開始は2013年初を予定。 つづく |