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ではどうしたらよいでしょうか? 大切なことは、私たちの今まで当然と思ってきたこと、その発想、その価値観を根底から変えることが大切です! 発想を転換することにより、設楽町は巨大公共事業に依存することなく、町民の創意工夫によって、自然を生かした魅力あるまちづくりは可能です! 私は 3 S、すなわちSmall is Smart and Beautiful 、つまり、小さいいことはすばらしい!、Steady State Economy、つまり、成長至上主義でない経済、Slow life、つまりあくせくしない生活が人間の幸福にとって大切になると考えます。 まず、小さいことは、賢く、すばらしいのです。 まちは大きければ良いという従来の発想は間違っています。人間も自然の一部とすれば、今の大都市は、到底人が住むような場所ではありません。 次に、何度もお話ししましたが、日本はじめ先進諸国は、すでに十分、経済成長しています。成長の限界にあります。今後は、成長から成熟へ、量的な成長から質的な発展こそが大切となるのです。経済学で言う「定常状態の経済社会」です。 日本人は欧米人から笑われるように、あまりにも働き過ぎです。しかも、働いたことが報われない社会となっています。これからはあくせくしない、スローライフがもっとも大切な時代となるのです。 3 Sをベースとして、設楽町には「小さくてもキラリと光るオンリーワンの地域づくり」が不可欠です。設楽町にあるさまざまな環境資源、たとえば森林資源、農業資源、生物資源、水資源などを生かすまちづくりが必要です。 また他の自治体にはない、設楽町ならではのまちづくりを町民みんなで進めます。すばらしい自然と共生する陶芸家のまち、木工細工家のまちなど、すでにはじまっている自然と共生する芸術家のまちもそのひとつでしょう。 設楽町でとれるさまざまな高原野菜やそれを生かした料理、それを食べさせるレストラン、さらに長期滞在型のリゾート・プチホテルやペンション、B&B(ベッド・アンド・ブレックファースト)もいいでしょう。 また自然、環境分野の研究者が600〜900mの標高の高台に、夏期滞在、長期滞在可能なまちづくり、ソフト開発企業のプログラマーが自然豊かな設楽のまちのリゾートオフィスで働けるまちづくりなど、自然、高地を生かした新たなまちづくりが考えられます。 設楽町の90%が森林であることを生かした、すなわち自然力を生かしたまちづくりとして、自然エネルギーの活用があります。中小水力、ミニ水力、マイクロ水力など河川、水路を活用した水力発電、豊富なバイオマスを生かした発電、間伐材のチップ化による暖房など。すでに風力発電施設が立地されていますが、太陽光発電、太陽熱利用のコミュニティ銭湯などもいいと思います。 ひとつひとつは小さくても、それら地域に根ざす自然のエネルギーがまち全体のエネルギー自立を支えるようなまちづくりが求められています。 また設楽町には田峯観音・田峯城や南部には田舎歌舞伎の歴史、文化があります。 たとえば青山貞一が共同代表を務める政策学校一新塾の塾生であり女性映画監督でもある野田香里(かおり)さんは、群馬県の片田舎に残る歌舞伎に着目し、映画にするなどして、世界にそのまちの歴史文化を情報発信しています。 野田さんは、映画監督として日本文化、とりわけ伝統芸能、地方歌舞伎にこだわり続けます。ドキュメンタリー映画監督として、大歌舞伎で義太夫を語る竹本清太夫の至芸のドキュメント「歌舞伎、清太夫〜みなかみへ行く〜」を制作し、さらに地方歌舞伎の舞台裏方やその技法を映像を通じ、次世代に継承させたいという一心で、群馬県渋川市の旧渋川村に伝わる上三原田歌舞伎の舞台操作伝承のドキュメントに全力を注がれているのです。 ここでは、一年に一回、11月上旬に旧渋川村の上三原田に400年にわたって伝えられている舞台で行われる1日限りの地方歌舞伎のために、舞台裏では80名の部落(組み)の男性が働き、公演前には、舞台や客席などをつくるために、延べ1000人もの人が係わるほど大仕事です。 群馬県旧渋川村上三原田で年に1日だけ行われる地方歌舞伎 出典:群馬県渋川市教育委員会 設楽町には野田さんが着目した田峰観音奉納歌舞伎が今でも続いています。これをまちづくりに生かさない手はないのです! ◆野田香里:映像メディアとコミュニティ文化論 9.11から3.11へ 今までゴミとして燃やされ埋め立てれてきたものを市民参加、農家参加、事業者参加で資源とする、さらに一歩進めて、徳島県上勝町の「いろどり」(葉っぱなどのツマ・ビジネス)のような創意工夫を生かしたまちづくりを考案しましょう。 株式会社いろどりは、上勝町役場の地下にある
左から池田さん(環境総研)、菖蒲さん、青山、横石さん、菖蒲さんの旦那様 徳島県上勝町にて そこには新たな起業による雇用機会がたくさんあるはずです。 カナダのノバスコシア州では、脱焼却、脱埋めてゼロウエイスト政策により、多くの雇用機会が生まれています。 設楽町には、そこかしこに新たな働く場があるはずです。すでに提案したもの以外に、「棚田」を生かし、都会の人々と連携し、Uターン、Jターン、Iターンしてきた若者が中心となり農作物をつくり出荷するとか、今までほとんどほったらかしとなっていた休耕田などの農地を生かし、有機農業を進め小中学校の給食の食材とすると言ったことも十分可能です。 事実、「棚田」を若者が管理し、都会の人々と連携し農作物を提供する方法は、加藤登紀子さんが千葉県の鴨川で実践しています。Uターン、Jターン、Iターンしてきた若者が棚田を管理し、農作物をつくっています。 都会の人たちが野菜作りやお米作りに参加したり、自然に触れることを通じて癒されたり、活力を取り戻す場となることでしょう。 加藤登紀子さんらの鴨川の棚田 その加藤登紀子さんと私の出会いは、この2003年4月下旬、木更津で開催されたゴミ弁連木更津総会です。 カナダ・ノバスコシア州で行われている市民参加による脱焼却、脱埋立のまちづくりを加藤さんが聞かれ、一度「未来たち学校」で話をして欲しいと言われました。 その後、6月になって、加藤さんと故藤本敏夫さんがつくられた「自然王国」に一泊させて頂き、循環と共生のまちづくりの実験場を体感させていただくことになりました。すばらしいゲストハウスであり、自然王国です。 このときは同時に、鴨川市のゴミ行政の現場をつぶさに視察しました。市長らにもお会いし、市役所の会議室で行政、議会、NPOの皆さんに、私の政策提言を行いました。
2003年11月16日、加藤さんらの「未来たち学校」で、鴨川市民を相手に、日本と世界のゴミの現状、実態を報告し、その上で地域のゴミ問題を解決し、鴨川で新たなまちづくりを行うたための政策提言を行いました。 通常この種の講演会には若いひと、学生がほとんどいません。しかし、県立高校講堂(文化ホール)に集まった約400名に及ぶひとたちのざっと1/3が若いひとでした。会場は千葉県鴨川市にある県立長狭高校文化ホールです。安房鴨川駅からも近くです。 加藤登紀子さんと 鴨川・自然王国にて 下は千葉県鴨川市で加藤登紀子さんと青山、池田が行った鴨川の新たなまちづくりイベントの一幕です。 さらに、青山が共同代表を務める、政策学校一新塾の塾生(現在議員)は、南アルプス市で、いままでほとんどほったらかしとなっていた農地を生かしてそこでつくった農作物を小中学校の給食の食材としています。もちろん、いろいろ障害があると思いますが、十分可能なことです。 つづく |