自然の中の日本の造形美 日光山・輪王寺 13. 大猷院(拝殿・相の間・本殿) 青山貞一 Teiichi Aoyama 池田こみち Komichi Ikeda August 19 2016 Alternative Media E-wave Tokyo 無断転載禁
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徳川家の紋章 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-11-12 ◆大猷院(Taiyuuin Masusolem) 国宝 大猷院とは徳川三代将軍「家光公」の廟所(びょうしょ)(廟所=墓所)で、境内には世界遺産に登録された22件の国宝、重要文化財が建ており、315基の灯籠(とうろう)も印象的です。 祖父である「家康公」(東照宮)を凌いではならないという遺言により、金と黒を使用し重厚で落ち着いた造りになっています。 入口の「仁王門」から「拝殿、本殿」までの道のりは、天上界に昇って行くような印象を受けます。 出典:輪王寺 徳川三代湘軍 家光公廟 パンフレットより 以下は仁王門以降、本殿に至る大猷院の立体案内絵図です。 出典:http://www.nikkotoshogu.com/ ◆拝殿・相の間・本殿 (Haiden・Ainoma・Honden) 国宝 唐門をくぐると、下図のように、そこには徳川家光公霊廟の中心伽藍があります。中心伽藍は、拝殿・相の間(あいのま)・本殿から構成されています。相の間は、石の間とも呼ばれます。 ちなみに東照宮では、現在、拝殿と石の間が公開されており、拝観者はその中を見学することができます(ただし、撮影は禁止です)。拝殿はまだしも、石の間が公開されているのは非常に珍しいと言えます。私たちは今回、東照宮の石の間を視察することができました。 大猷院では、これらの建物を「廟(びょう)」といい、参り墓を意味し、一般の方々の正式な参拝所となります。 金・黒、赤の彩色をくまなく施された外観は、別名「金閣殿」の呼び名があるほど豪華で、江戸芸術の極みを示しています。 大猷院の中心となる建物で、拝殿・相の間・本殿と連なる独特な建造物の構造を【権現造り(ごんげんづくり)】と言います。 この建物は国宝に指定されており、たくさんの金彩が使われているので、別名【金閣殿(きんかくでん)】と呼ばれています。 拝殿は、東照宮の権現作りをそのまま生かし、規模は小さくとも細部の技法に力を尽くした造りとなっています。 東照宮が「権現造り」を中心とした神仏習合形式であるのに対し、大猷院廟は「仏殿造り」の純仏教形式となっています。 寺院は本尊が南を向くのが定式で、家康公の御廟である東照宮もそのような造りになっています。ところが大猷院の本殿は東北(鬼門)を向いているのです。 これは家光公が「死して後も朝夕東照大権現(家康公)の側でお仕え奉る」と遺言し、御廟も東照宮の方へ向けてあるからなのだといわれています。 それでは大猷院のご本尊はどちら向きかといいますと、本殿の奥壁の裏に実はもう一つ部屋が設けてあり、そこに釈迦三尊画像が後ろ向き(南面)に掛けられています。定式と遺言のどちらにも沿う妙案と言えるでしょう。 (宝ものがたり/輪王寺刊 より) 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900 2016-8-19 以下は大猷院の拝殿です。 出典:日光山輪王寺・公式Web 下は拝殿の内部です。 拝殿の内部は細部に至るまで金箔が施され、文字通り金箔玉楼となっています。 拝殿の内部には、狩野探幽(かのうたんゆう)の描いた唐獅子、天井には140枚の龍の絵、家光公が着用した鎧などがあります。 出典:日光山輪王寺・公式Web 以下は大猷院の拝殿から石の間、本殿を撮影した写真です。 拝殿に続く本殿の最奥部、「厨子(御宮殿/ごくうでん)の中には、今回宝物殿で初公開中の「家光公座像」と「御位牌」が、又その前後には、家光公の本地「釈迦如来」(非公開)が奉安されています。 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900 2016-8-19 以下は大猷院の本殿です。 出典:日光山輪王寺・公式Web 撮影:池田こみち Nikon Coolpix S9900 2016-8-19 撮影:池田こみち Nikon Coolpix S9900 2016-8-19 以下は家光の父、徳川秀忠(台徳院)の東京芝増上寺にあった霊廟のレプリカ(模型)について解説です。第二次世界大戦で焼失しています。 東京市がロンドン世界博覧会に徳川秀忠(台徳院)の1/10の霊廟のレプリカ(模型)を出品し、その後、英国博物館に展示されていたものを増上寺に里帰りしたものの解説です。 一見したところ台徳院霊廟は大猷院霊廟に似ていますが、東照宮の家康の霊廟とは異なっているようです。 ◆青山・池田:増上寺の宝物 D大英博物館から里帰りした台徳院霊廟模型 出典:増上寺パンフ(Web)より 図中下が拝殿、上が本殿、真ん中が石の間造 つづく |