自然の中の日本の造形美 日光山・輪王寺 1.全体概要 青山貞一 Teiichi Aoyama 池田こみち Komichi Ikeda August 19 2016 Alternative Media E-wave Tokyo 無断転載禁
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徳川家の紋章 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-11-12 本シリーズに関連し、2016年8月19日、青山貞一、池田こみちは、日光の輪王寺、二荒山神社そして東照宮を訪問しました。 このうち東照宮については、池田こみちと山形美智子が2014年12月に現地視察を行っており、すでに以下のように論考(ブログ)化しています。 ◆特別企画・自然の中の日本の造形美 徳川家康霊廟 日光東照宮 以下では、当日、輪王寺、で撮影した写真を中心に、Wikipediaの解説、写真などを使っています。さらに、グーグルアースにより三次元の立体図で描写しています。 なお、至極残念なことですが、現在、東照宮の陽明門同様、輪王寺、大厭院でも修復工事の真っ最中にあり、多くの秀逸な施設を見ることができませんでした。 下はグーグルマップで見た輪王寺の位置です。 出典:グーグルマップ ◆輪王寺の全体概要 輪王寺(りんのうじ)は、栃木県日光市にある寺院であり、天台宗の門跡寺院です。 明治初年の神仏分離令以後、東照宮、二荒山神社とあわせて「二社一寺」と称されています。 近世まではこれらを総称して「日光山」と呼ばれていましたが、現在、「日光山」は輪王寺の山号とされています。また、「輪王寺」は日光山中にある寺院群の総称でもあります。 輪王寺の境内は東照宮、二荒山神社の境内とともに「日光山内」として国の史跡に指定され、「日光の社寺」として世界遺産に登録されています。ただし、本稿で輪王寺という場合は、大厭院を含む輪王寺と二荒山神社を意味し、東照宮は別途扱うものとします。 下の絵地図は、東照宮を含めた日光山輪王寺の全体を絵地図化したものです。絵地図では、輪王寺の三仏堂を中心に、徳川家光霊廟の大厭院、二荒山神社の位置が示されています。この地図からわかるように、輪王寺は本来、歴史的にも日光山の中核的な寺院であったことが分かります。 出典:輪王寺公式Web ◆輪王寺の概要 輪王寺の創建は奈良時代にさかのぼります。 近世には徳川家の庇護を受けて繁栄を極めました。国宝、重要文化財など多数の文化財を所有し、徳川家光を祀った大猷院霊廟や本堂である三仏堂などの古建築も多くなっています。 日光山内の社寺は、東照宮、二荒山神社、輪王寺に分かれ、これらを総称して「二社一寺」と呼ばれていますが、東照宮は徳川家康を「東照大権現」という「神」として祀る神社です。 二荒山神社参道 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix WS9900 2016-8-19 一方、二荒山神社と輪王寺は奈良時代に山岳信仰の社寺として創建されたものであり、東照宮よりはるかに長い歴史をもっています。 ただし、「二社一寺」がこのように明確に分離するのは明治初年の神仏分離令以後のことであり、近世以前には、山内の仏堂、神社、霊廟等をすべて含めて「日光山」あるいは「日光三所権現」と称しており、神仏習合の信仰が行われていました。 現在、輪王寺に属する建物が一箇所にまとまっていないため、日光山内の各所に点在しているのは、このような事情によっています。 「経蔵(輪藏)」「薬師堂(本地堂)」など、一部の建物については二十一世紀の現在も東照宮と輪王寺のいずれに帰属する建物であるか決着を見ていません。以下の写真は経蔵(輪藏)です。 経蔵 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix WS9900 2016-8-19 上述のとおり各所に点在する堂塔の状況を記すと、東照宮の南方の境内には本堂の三仏堂や寺務所があります。ここには本坊表門、護法天堂、相輪(そうりんとう)などがあります。 二荒山神社西側には大猷院霊廟の建築群があります。その南側には常行堂と法華堂、そこから長い石段を上った先には中興の祖・天海を祀る慈眼堂があります。 勝道を祀る開山堂は東照宮北方、滝尾神社への参道の途中にあります。 このほか、神橋近くの二荒山神社本宮に隣接した四本龍寺の旧地には、観音堂と三重塔があり、少し離れて児玉堂があります。 さらに、中禅寺湖畔の中禅寺(立木観音)も輪王寺に所属しています。この中禅寺立木観音についても現地視察、参拝を行っていますので、別途報告します。 なお、下の写真にあります中禅寺立木観音では、現在、開山1250年を記念し、2016年7月31日から2017年11月30日まで輪王寺に伝わる秘仏「吉祥天」の一般公開が始まっています。 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix WS9900 2016-8-19 つづく |