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地球「最後の楽園」
タスマニア
⑤二日目 タスマニア動物園-2
Tasmania Zoo 2
青山貞一 池田こみち
掲載月日:2012年2月28日
独立系メディア E-wave Tokyo
無断転載禁

◆地球「最後の楽園」タスマニア現地予備調査報告
①全体概要 ⑦中北部大自然 ⑬希有な自然海浜
②州都ホバート ⑧グレートレーク ⑭オッポッサムベイ
③北部ロンセストンへ ⑨376人の村ボスウェル ⑮シドニーウォータフロント
④タスマニア動物園-1 ⑩森林大伐採の元凶 ⑯シドニーハイドパーク
⑤タスマニア動物園-2 ⑪ポートアーサー刑務所
⑥タマール川と渓谷 ⑫タスマニアデビル保護公園

 2012年2月20日から25日、オーストラリア南端にあるタスマニア島(Tasmania State)に現地調査の予備調査で訪問した。

3. 第二日目(2012年2月22日) 北部中央地区

3-2 ロンセストンのタスマニア動物園 つづき

 次はタスマニアならではの有袋類であるタスマニア・デビルである。今回の現地著日調査の大きな目玉である!

 この民間動物園では、””タスマニア天国””としてデビルの飼育プログラムを持っていて、40頭ものデビルを飼育している。 園内で見えるのはそのうち大人のデビルが2頭、子供のデビルが3頭ほどだ。


撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2012.2.22

絶滅危惧種のタスマニア・デビル 詳細は後述

 現在はタスマニア島のみに生息する。絶滅危惧種。

 古くはオーストラリア大陸にも生息していたことが化石により判明しており、同大陸ではヨーロッパ人到達以前の14世紀終わり頃に絶滅した。

 オーストラリア大陸での絶滅はフクロオオカミと同様に、人類がもたらしたイヌが野生化したディンゴの影響があると思われる。

 1800年頃から入植を始めたヨーロッパ系住民は、家禽や家畜を襲う害獣として、また鳴き声や死体を漁る姿を悪魔に例えて忌避した。


 そうこうしているうちに、タスマニア・デビルの餌付け時間の到来だ!

 下の写真は3頭の子供のデビルにエサをやる飼育員。肉食の最大規模のほ乳有袋類とは思えないかわいさである。


撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2012.2.22

 以下は餌付けの動画(6分)である。


飼育員にエサをもらうタスマニア・デビル
動画撮影:青山貞一 YASHICA ADV-1025HD 2012.2.22


ロンセストン近くにあるタスマニア動物園にて
撮影:池田こみち Nikon CoolPix S10 2012.2.22


保育員にダッコされたデビル。タスマニア動物園にて
撮影:池田こみち Nikon CoolPix S10 2012.2.22


保育員にダッコされたデビルにさわる池田。タスマニア動物園にて
撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2012.2.22


絶滅危惧種、タスマニア・デビルの子供に触る池田
北部ロンセストン近くにあるタスマニア動物園にて
撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2012.2.22

タスマニア・デビル(学名:Sarcophilus harrisii)

 哺乳綱フクロネコ目フクロネコ科タスマニアデビル属に分類される現生で世界最大の肉食有袋類。別名、フクロアナグマとも。


撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2012.2.22

・分類

 タスマニアデビルが自然学者ジョージ・ハリスによって初めて学問的に紹介されたのは、1807年のことである。その論文中ではオポッサム属に分類され、Didelphis ursinaと名付けられた。

 1838年、リチャード・オーウェンによってフクロネコ属に分類し直され、Dasyurus laniariusと改名された。

 次いで1841年には ピエール・ボアタールがタスマニアデビル属に分類し、Sarcophilus harrisii と名付けた。属名は「肉(sarco)の嗜好者(philus)」、種小名はジョージ・ハリスに因み「ハリスの」という意味である。


撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2012.2.22

 1987年、同種を Sarcophilus laniarius へと更に分類・改名しなおす試みがなされた。しかし、その根拠となったのはオーストラリア本土で発見された数体の化石に過ぎず、分類学上ひろく受け入れられるには至らなかった。系統学上、タスマニアデビルともっとも近い肉食有袋類はフクロネコで、より遠いのがフクロオオカミとされている。

 タスマニアデビル属の生物は3種が知られており、うち2種(S. laniariusとS. moornaensis)は更新世の化石種である。S. laniariusは現存する本種よりも10kgは大きかった。3種の系統上の関係はよくわかっておらず、本種はS. laniariusが矮化したものとする説と、本種とS. laniariusは別種で、更新世には併存していたとする説がある。

・歴史

 現在はタスマニア島のみに生息するが、古くはオーストラリア大陸にも生息していたことが化石により判明しており、同大陸ではヨーロッパ人到達以前の14世紀終わり頃に絶滅した。 オーストラリア大陸での絶滅はフクロオオカミと同様に、人類がもたらしたイヌが野生化したディンゴの影響があると思われる。

 1800年頃から入植を始めたヨーロッパ系住民は、家禽や家畜を襲う害獣として、また鳴き声や死体を漁る姿を悪魔に例えて忌避した。

 1830年には羊毛・畜産の民間企業による奨励金(雌35セント、雄25セント)が、また1888年には政府によって同様の奨励金が設けられ、フクロオオカミと共に駆除が奨励された。 しかし、1936年にフクロオオカミが絶滅するとタスマニアデビルを保護する気運が高まり、1941年に保護法が成立し現在に至っている。

 1996年に初めて公式に報告された「デビル顔面腫瘍性疾患(DFTD)」と呼ばれる病気によって、この10年間で30?40%まで個体数が減少している。


撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2012.2.22

 自然発生的な伝染病のみを原因として生物が絶滅することは稀だが、環境的な要因が加わると、加速度的に個体数が減少する可能性がある。

 2000年前後にハンティング目的で不正にもたらされたキツネが野生化して個体数を増やしつつあり、仮にDFTDが収束したとしても、いちど食物連鎖の頂点を追われた動物が元の地位・生息数・生息地域に戻ることは困難である。2006年、オーストラリア政府は本種を絶滅危惧種(危急 - Vulnerable)に指定した。

・保全状態の評価

 国際自然保護連合のレッドリストでは、2008年に軽度懸念から絶滅危惧に変更された。オーストラリアでは、現在「危急」(Vulnerable)にランクされている。

 2007年11月、タスマニア大学のロイ・スウェイン(Roy Swain)博士が委員長を務める絶滅危惧種顧問委員会(Threatened Species Scientific Advisory Committee)は「絶滅危惧」(Endangered)への変更を勧告した[5]。近い将来、野生のデビルはほぼ間違いなく絶滅すると見られている。(絶滅までの期間は5年から20?30年まで諸説ある)

 2008年5月、タスマニア州から絶滅危惧種に指定されると発表された。



・分布
 
 タスマニアにのみ分布。



・形態

体高  30cm程度
体長(尾を含まない) 50-60cm
尾の長さ  20-30cm
体重  雄10-12kg、雌6-8kg

 フクロオオカミ絶滅後は、現生では最大の肉食性有袋類である。 黒色(または黒褐色)の毛に覆われており、たいていは胸・腰のあたりに白い模様がある。 耳の被毛は薄く、興奮すると血色が透けてピンクや赤色が鮮明になる。

 上顎部の2本の鋭い牙は、一生伸び続ける。 尻尾には脂肪がためられるようになっており、栄養状態の悪い個体の尻尾は細い。

 走るときには後ろ足を揃えて出すため、後ろ足よりも前足の方がやや長いことと相まって、ユーモラスな動きになる。 四肢に鋭い爪を備えているが、攻撃用ではなく、巣穴の土掘りに活躍する。 子供の頃は身が軽く、低木によじ登ることもできる。 若い個体が木登りできるのは、母親の背中によじ登る習性の故である。

 有袋類の特徴である育児嚢は、カンガルーと異なり、後ろ向きについている。 これは四足歩行で土を掘り返す習性のためで、袋の中に土が入らないようになっている。 本種よりも穴掘りがずっと得意なウォンバットや木登りをするコアラの育児嚢も同じく後ろ向きである。

 通常あまり臭わないが、ストレスを感じたり興奮したりすると強い体臭を発する。 視力は弱いが、優れた嗅覚と聴覚を持っている。

・野生保護区

 島南東部に位置するタスマン半島と本島とを繋ぐ唯一の橋を封鎖し、健康なデビルを隔離・生息させようという試み。 半島と本島をつなぐ橋に、タスマニアデビル避けの網や、タスマニアデビルサイズの生物に反応するセンサー式のウォータージェット・ライト・録音した犬の鳴声を仕掛けるなどのアイディアがある。

 2004年にプログラムがスタートしてから3年の間に、DFTDに罹患したタスマニアデビル60匹が保護・退去となっている。 2006年前半6か月の監視カメラによる記録では、外部から半島へ入ってきたタスマニアデビルはわずか2匹に留まっている。

 人工飼育「箱舟」プロジェクトでは、2006年12月と2007年1月の2度にわたって、総勢48匹のタスマニアデビルをオーストラリア本土の4つの自然動物公園へ送り込んだ。 同プロジェクトの舞台としてタスマニア州外の動物公園が選ばれたのは、DFTDの脅威と無縁だからだ。 タスマニア州でもDFTDの発症例がない地域から集められた48匹が、箱舟に乗せられた。

 2007年4月、カランビン自然動物公園で人工飼育下のタスマニアデビルの袋に子供が4匹入っていることが確認された。

 2007年6月には、ニューサウスウェールズ州ゴスフォールドのオーストラリア爬虫類公園で、タスマニアデビルの赤ちゃん10匹が生まれた。 母親となったのは、DFTDプログラム下で人工飼育した「健康保証つき」の3匹だ。 この他、同公園に送られた2006年12月時点で、すでに離乳前の新生児が袋の中にいた雌が1匹いる。

 同園では、遺伝子の多様性を保ち近親交配を予防するため、3匹の雌をそれぞれ2匹の雄と交配させた。

・民間の保護活動

旅行者の目撃情報
 タスマニアデビルの目撃情報は、生息地域や感染地域に関する重要な情報源となり得る。 旅行中にデビルを目撃した場合(生死問わず。路肩の野生動物の轢死体を漁りに来て二次被害にあった事故死体も含む)、DFTDプログラムは次の事柄に関する情報を求めている:

雌雄
大体の年齢、大きさ(体重を目測できなければ、ネコ・小型犬・小さい中型犬などの描写でも可)
子供:4kgくらいまで(猫程度の大きさ)で、古い傷跡がない。
若い:4?6kgで、傷があることもある。
成体:6kg以上で、顔や腰周りに古い傷跡がある。
健康状態(通常は尻尾が太ければ健康)
良い
そこそこ
悪い
病変の有無、位置、大きさ(腫瘍が見当たらない場合はそのように明記。写真があればベスト)
目撃場所(GPSがあれば座標情報)
発見日
明らかな死因があるかどうか(交通事故死など)
まだ生きていれば、反応・行動などのメモ

 このチェックリストは、国立公園や野生動物公園のビジターセンターで配布されている。

 電話報告は24時間受付。ただしDPIWの営業時間外は留守電に伝言を残す形式で、翌営業日に折り返し連絡になる。

※注意交通二次災害を蒙らないよう、身の安全を最優先に考えること!

路上にある動物の屍骸撤去
 タスマニアの田舎の幹線道路では、夜間に車に轢かれた野生動物の死体が散在している。 死肉に惹かれたデビルが餌に夢中になっているうちに轢かれてしまう事故も、頻繁に起こる。 そのような二次交通災害を防ぐために、路上の動物の死体を路肩に寄せてやることも、重要な保護活動となる。

マックスバリュ東海
 マックスバリュ東海は、DFTDプログラムへタスマニアデビル支援金を贈呈する活動を行っている。 青果物の仕入れが縁で始まったという支援活動で、2回目の寄付となる2006年6月には約 A$30,000 が寄付された。 内訳は、店内設置の募金箱に集められた寄付金、およびそれと同額のマックスバリュ東海拠出の寄付金である。

カンタス航空
カンタス航空はオーストラリア国内の空港にタスマニアデビルの彫像を冠した募金箱を設置している。

以上、Wikipediaより

 以下は、タスマニア動物園で資料や縫いぐるみを売っている部屋にあったデビルの模型。なかなかよく出来ている!


撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2012.2.22

 もちろん、ここにはコアラ舎もあったが、来園者の関心はやはりタスマニアにしか生息しない世界最大の肉食有袋類、タスマニア・デビルにあるようだった。


タスマニア動物園のコアラ舎
撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2012.2.22

 なお、私たちがタスマニアから帰国した直後の28日、タスマニアのマーキュリーという地元紙に Wild devils say hello という記事が掲載された。
 
 何でもタスマニア西部海岸で、野生のデビルの子供が観光客によって発見され、写真を撮影したというのである。

 以下がタスマニアの地元紙 ザ・マーキュリーの記事

 Wild devils say hello

 HELEN KEMPTON | February 28, 2012 12.01am

 A GROUP of inquisitive young devils delighted tourists on a coastal walk through the Tarkine last week.

 The devils romped on the beach in daylight and approached the human visitors.

 Tasmanian devils are usually very wary of humans and are mostly nocturnal but in February-March young devils, who have not yet learned to be afraid of people, leave their mothers and set out to establish their own territory.

 Part Trek Walking Tour guide Bjorn Svensson took a group of 10 walkers along the coast at Pieman Heads on February 22.

 After catching the MV Arcadia to the river mouth, they headed north. While resting on the beach, a young Tasmania devil ran along the waters edge not far from the group. Cameras were picked up and the walkers approached the young marsupial.

 "I thought the devil would take off once we got close," Mr Svensson said. "But instead it slowly ambled up to us and had a sniff around. It came close enough to one walker to be photographed with her.

 "Eventually it took off, we were all ecstatic as we realised how rare it is to see a healthy Tasmanian devil so close in the wild."

つづく