エントランスへはここをクリック   


地球「最後の楽園」
タスマニア
④二日目 タスマニア動物園-1
Tasmania Zoo
青山貞一 池田こみち
掲載月日:2012年2月28日
独立系メディア E-wave Tokyo
無断転載禁

◆地球「最後の楽園」タスマニア現地予備調査報告
①全体概要 ⑦中北部大自然 ⑬希有な自然海浜
②州都ホバート ⑧グレートレーク ⑭オッポッサムベイ
③北部ロンセストンへ ⑨376人の村ボスウェル ⑮シドニーウォータフロント
④タスマニア動物園-1 ⑩森林大伐採の元凶 ⑯シドニーハイドパーク
⑤タスマニア動物園-2 ⑪ポートアーサー刑務所
⑥タマール川と渓谷 ⑫タスマニアデビル保護公園

 2012年2月20日から25日、オーストラリア南端にあるタスマニア島(Tasmania State)に現地調査の予備調査で訪問した。

3. 第二日目(2012年2月22日) 北部中央地区

3-2 ロンセストンのタスマニア動物園

 ロンセストン到着後、タスマニア動物園を訪問する。


タスマニアと現地予備調査ルート

 場所は、A1から一端、A7に入り、さらにA7を左折し、12kmほど西に向かいロンセストンのリバーサイド地区にある。

 今回、日本から飛行機を3機乗り継ぎ、それぞれトランジットし、一泊後、200km以上車で来たことを考えると、タスマニア動物園まで到着までに2日間かかったことになる。遠かった!


タスマニア第二の都市、ロンセストン
出典;グーグルマップ

 この動物園は、他の動物園や野生生物保護公園と異なり、完全民営の動物園である。

 見たところ、非常に質素なつくりである。日本の動物園をイメージしていると、「何だこりゃ」ということになる。

 入園料は25豪ドルで、タスマニアに数ある動物園では最も高額だ。しかし、聞けば野生生物保護への寄付が入園料に含まれているとのことだ。


タスマニア動物園の入り口
撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2012.2.22


タスマニア動物園の出口
撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2012.2.22

 私たちにとって、タスマニア動物園における関心は、ここで飼育されているタスマニア・デビルの3頭のこどもを直にみることである。何でも、この3頭は、母親に見放されていたデビル(abandaned devils)とのことだ。  

 下の写真は、タスマニア博物館のほぼ全景である。デビルは一日、午前10:30、午後1:00そして午後3:30と3回の餌付けタイムがある。 デビル以外に、ペンギンの餌付けが午前10時と午後4時にある。


タスマニア動物園全景
撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2012.2.22

 順路に沿って見る。


撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2012.2.22

 最初の15ケージはいずれも鳥類である。


撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2012.2.22

 下は、オーストラリアの国鳥にもなっている大型の鳥類、エミューである。


撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2012.2.22

◆エミュー(学名:Dromaius novaehollandiae)

 エミューは、平胸類(ダチョウ目)の鳥の一種。

 オーストラリア全域の草原や砂地などの拓けた土地に分布している。周辺海域の島嶼部にも同種ないし近縁種が生息していたが、現生種の1種のみを除いて絶滅したとみられている。

 オーストラリアの国鳥にもなっている。

 体高は約1.6m~2.0m程度、体重は40kg~60kg程度。鳥類の中ではダチョウに次いで高いが、体重はヒクイドリに及ばない。

 見た目はダチョウに似るが、ややがっしりした体躯で、首から頭部に掛けても比較的長い羽毛が生えている。また、足の指は3本あり、先に丈夫な爪を備えている。

 幼鳥の羽毛には縞模様があるが、成長すると縞が消える。成鳥はオス、メスいずれも同様に全身の羽毛が灰褐色になるが、所々に色が剥げたり濃くなったりしている箇所があり、泥で汚れているかのように見える。エミューの羽は、鳥類では唯一2本が1対である特徴を持っている。

 性格は人間に対しては温厚であるが、雷・金属音・子供の甲高い声などに反応し走り回ることがある。犬などの動物に対しては警戒心が強く、場合によっては蹴りで相手を攻撃する。蹴りは、前方90度の範囲程度であれば容易に繰り出す。また、繁殖時期なると多少警戒心が強くなる。性別でみると、オスの方が比較的おとなしい。

出典:Wikipedia

 そのうち、オーストラリアならではの有袋類が見える。

 日本で有袋類というと、カンガルー、ワラビー、コアラ程度だが、実はオーストラリア、タスマニアには20種類以上の有袋類がいる。

◆有袋類が南米とオーストラリア大陸にしか存在しない理由

 生態学的地位における有袋類と有胎盤類の対応によれば、今日、有袋類は南米とオーストラリア大陸にしか存在しないが、化石としては北米とヨーロッパの中生代と古第三紀の地層から発見されている。また古第三紀の有袋類の化石が南極、アフリカ、アジアからも発見されている。

 これらの化石の産出状況と大陸移動の時期を考えると、有袋類の祖先はたぶん、中性代の終わりに北米で進化したのだろう。そして新生代に入ってすぐに南米に進出した。そのころの化石が北米と南米の両方から見つかっている。

 当時の気候は温暖な状況で、南極にも北極にも氷河は存在しなかっただろう(石炭紀・二畳紀は寒冷化した時期で南極は巨大な氷河で覆われていたが)。

 そのため南米に入った有袋類は古第三紀の早い時期に、当時陸続きだった南極、オーストラリア大陸に分布を広げた。旧大陸では、その後現れた有胎盤類により有袋類は滅びてしまうが、孤立した大陸のオーストラリアと南米の一部に有袋類は生き残った。

 そのため旧大陸では有胎盤類が占めた生態学的地位を、オーストラリア大陸では有袋類が占めた。

出典:生態学的地位における有袋類と有胎盤類の対応 

 さらに、タスマニア・デビルは、古くはオーストラリア大陸にも生息していたことが化石により判明しており、同大陸ではヨーロッパ人到達以前の14世紀終わり頃に絶滅した。

 オーストラリア大陸での絶滅はフクロオオカミと同様に、人類がもたらしたイヌが野生化したディンゴの影響があると思われる。

 本題に戻ろう。

 タスマニア動物園で最初に見た有袋類はフクロネコ(Tiger Quoll)である。

 デビルも当初フクロネコの仲間と間違えられたくらいなので、よく似ているが、背中に白いランダムな斑点があるのが特徴である。


有袋類のフクロネコ
撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2012.2.22


フクロネコ 撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2012.2.22

◆フクロネコ Tiger Quoll (Dasyurus maculatus)

・分布

 オーストラリアとニューギニア島に分布している。オーストラリアはかつては大陸にも分布していたが、1963年以降、大陸での確認はなく、タスマニア島にだけ生息している。


フクロネコの分布地図

・形態

 成体の頭胴長は120mmから750mmで毛を含めた尾長は200mmから550mm、体重は300gから7,000gで、種によって差が大きい。最大種はTiger Quollで、最小種はNorthern Quollである。体が茶褐色から黒褐色の毛で覆われ、体には白色の斑点がある。

・生態

 夜行性の小型肉食獣で、餌は主に昆虫、爬虫類、鳥類、ネズミ類、他の小型有袋類を補食するほか、果実も食べる。

 フクロネコ類は多産であり、特にEastern Quollのメスは30頭もの子を産むが乳首が6個しかなく(種によっては8個)、したがって育てられる子の数は乳首の数に限られてしまう。生まれた子供の大きさは米粒ほどでしかないが、10週間もたてば20gほどの大きさに育つ。

 寿命は1年から7年。Northern Quollのオスは1年程度の寿命である。

 オーストラリア国内ではかつては広く分布していたが、西洋人の入植後に持ち込まれたキツネや飼い犬、飼い猫、オオヒキガエル、ウイルスなどにより数を減らした。

出典:Wikipedia他

 今回は残念ながら草むらの奧に入っていて見れなかったが、有袋類にはウォンバットもいる。まるでぬいぐるみのような愛嬌があるひょうきんな格好をしている。


ウォンバット  出典:Wikipedia


ウォンバット  出典:Wikipedia

◆ウォンバット(Wombat)

 ウォンバットは、カンガルー目ウォンバット科の哺乳類の総称。名前はアボリジニの言葉で「平たい鼻」を意味する。生態は異なるがコアラに近い種族である。

 オーストラリアクイーンズランド州の一部、及び、ニューサウスウェールズ州、ビクトリア州、南オーストラリア州、西オーストラリア州、タスマニア州の低木林や草原に分布する。

 頭胴長は70-110cm、尾長は25-60mm、体重は19-33kg。

 雌のほうが雄よりも大きい。ずんぐりとした体付きで、内股で歩く。特徴的な鼻を持ち、脚と尾は短い。体色は黒、褐色、灰色。頑丈な前脚を持ち、トンネル状の大きな巣穴を作る。

 草食性で植物の葉や根を食べる。夜行性で昼間は主に巣穴の中で過ごすが、曇りの日などはエサを求め動き回ることもある。1腹1子。短い距離であれば、時速40kmほどで走ることができる。

出典:Wikipedia

 次はポッサムである。実は今回タスマニアを1000km近く車で走行したが、道路には30頭以上の野生生物が自動車にひかれた死骸があった。その大部分がワラビーとポッサムであった。

 有袋類にはオポッサムとポッサムがいて、非常に紛らわしいが、ポッサムの方がタヌキのように大きいのに対し、オポッサムはネズミに近い大きさである。


ポッサム  出典:Wikipedia

ポッサム (Possum)

 ポッサムはオーストラリア区のオーストラリア、ニューギニア島、スラウェシ島に生息する小~中型の樹上動物。また、ニュージーランドへポッサムの一種であるフクロギツネが移入された。分類学的には有袋類カンガルー目(双門歯目)クスクス亜目の複数の科にまたがっており、厳密な定義はない。

 名称はアメリカ大陸に住むオポッサム(アルゴンキン語に由来)から来ている。

 これらはしばしば混同され、オーストラリアではポッサムのことをオポッサムということがあり、北米ではキタオポッサムのことをポッサムということがある。しかし、オポッサムは分類学的にはオポッサム目オポッサム科で、同じ有袋類であるという以上には近縁ではない。

出典:Wikipedia

 有袋類と言えば、何と言ってもカンガルー、ワラビーだ! 

 ここのワラビーはなかなか愛興がある。


撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2012.2.22

 何と言ってもこの近さがいい! 


撮影:池田こみち Nikon CoolPix S10 2012.2.22


撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2012.2.22

◆ワラビー

 ワラビーは カンガルー科(Macropodidae科)に属し、約30種ある。特に明確な定義付けはなされていないものの、フクロネズミ目(有袋類)カンガルー科に属する動物のうち、カンガルーやワラルーよりも小さなカンガルー科に対し一般的に使われる名称である。

 カンガルーに比べ、後ろ足が小さく尾が短い。しかし、後ろ足で跳躍し移動すること、育児嚢で子供を育てることなど、基本的な習性はカンガルーと同じである。

 小型の森林に生息するワラビーはヤブワラビー(ヤブワラビー属)、ドルコプシス(ドルコプシス属およびコドルコプシス属(en))として知られる。ワラビーの名はシドニー周辺で生活していたアボリジニのEora族の言葉に由来している。若いワラビーは他のカンガルー類と同様に"ジョーイ(joey)"として知られる。

・分布

 ワラビーはオーストラリアの森林地帯や岩の多い地域、半乾燥地の広大な草地、都市近郊の森林地帯など様々な環境に適応し、幅広く分布する。

 しかしアウトバックのような広大で、痩せた土地には少なく、そのような土地はより移動性の優れたカンガルーの生息に適している。

 ワラビー類はニュージーランドに 移入され、現在は、害獣として扱われ、狩猟されている。さらに、ブリテン諸島にも移入され、マン島における生息数は最も多く、約100の繁殖コロニーが確認されている。オアフ島においても、ワラビー類が分布していることが確認されている。



撮影:池田こみち Nikon CoolPix S10 2012.2.22

つづく