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辺野古アセスを徹底検証!

③差し止め請求を問題提起

青山貞一 7 June 2009

独立系メディア「今日のコラム」

辺野古アセスを徹底検証
 ①代替施設移設予定地の概要

 ②沖縄県浦添市でシンポ開催
 ③差し止め請求を問題提起

差し止め請求の行政訴訟を提起

 その後、パネル討議を行い、会場につめかけた皆さんと質疑応答を行った。

 パネル討議における最大の論点は、方法書に戻ってのアセスのやり直しである。それと関連して青山から改正行政事件訴訟法の新たな類型として加わった、差し止め請求を本件で提起したらどうかと提案した。

 以下は、差し止め請求に関連する行政事件訴訟法改正の趣旨の説明。

取消訴訟の原告適格の拡大:原告適格の判断において、法律の趣旨・目的や処分において考慮されるべき利益の内容・性質などを考慮すべき旨を規定する。

義務付け訴訟の法定:一定の要件の下で行政庁が処分をすべきことを義務付ける訴訟類型として義務付け訴訟を法定する。

差止訴訟の法定:一定の要件の下で行政庁が処分をすることを事前に差し止める訴訟類型として差止訴訟を法定する。

確認訴訟を当事者訴訟の一類型として明示:確認訴訟を当事者訴訟のうち公法上の法律関係に関する訴訟の一類型として明示する。
 

 さらに以下は、改正行訴法において「差し止め請求」を規定した第37条の4である。

1.差し止めの訴えは、一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合に限り、提起することができる。ただし、その損害を避けるため他の適当な方法があるときは、この限りではない。

2.裁判所は、前項に規定する重大な損害が生ずるか否かを判断するに当たっては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし損害の性質及び程度並びに処分又は裁決の内容及び性質をも勘案するものとする。

3.差し止めの訴えは、行政庁が一定の処分又は採決をしてはならいない旨を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り、提起することができる。

4.前項に規定する法律上の利益の有無の判断については、第9条第2項の規定を準用する。

5.差し止めの訴えが第1項及び第3項に規定する要件に該当する場合において、その差し止めの訴えに係わる処分又は採決につき、行政庁がその処分若しくは採決をすべきでないことがその処分若しくは採決の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ又は行政庁がその処分若しくは採決をすることがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるときは裁判所は、行政庁がその処分又は採決をしてはならない旨を命ずる判決をする。


 このように改正行訴法により「差し止め請求」類型が我が国の行政訴訟類型に新たに加わったわけだが、問題は「差し止め請求」が現実、実体の裁判でどう機能するかである。私はこの普天間代替施設の辺野古移転問題は、差し止め請求の格好の事案であると考えている。

 下の新聞記事は、2009年5月31日の琉球新報。



 さらに下は2009年3月31日付けの沖縄タイムスの関連記事である。


 なお、2004年12月段階に以下の記事にあるように、一度差し止め訴訟を弁護団が検討した経緯があるが、当時はまだ行政事件訴訟法改正以前であり、ハードルは高かった。 

反対派が辺野古沖調査の差し止め訴訟を検討

琉球新報 2004年12月2日

 
  名護市辺野古海域での米軍普天間飛行場代替施設建設に向けたボーリング地質調査で、同調査に反対する住民、市民団体と反対運動を支援する弁護団が調査の差し止めを求める訴訟の検討を始めたことが1日、分かった。弁護団によると、提訴の意向が固まれば、今月中にも提訴する方針だ。提訴すれば環境権や漁業権などの保障を訴え、調査の差し止めを求める。

  11月30日の弁護団会議で「提訴」の方向性を確認した。近く住民、市民団体と協議し、最終判断する。

  辺野古海上基地建設反対弁護団の池宮城紀夫弁護団長は「命を守る会など地元住民の意向を受け、弁護団が検討した。今後、地元と協議し、提訴に踏み切るかを決めたい」と述べた。仮処分申請の手段もあるが、弁護団では「仮処分申請では十分な主張ができないまま認められない場合がある。訴訟を起こし、公開の審理の場で訴えたい」としている。

  ヘリ基地反対協議会の安次富浩代表委員は1日、「ボーリング調査が目前に迫り打開策を考えねばならない。このままではけが人を出す事態ともなりかねない。弁護団と協議し、法的処置を取った場合の見通しを含め、仮処分、提訴すべきかベターな選択肢を考えたい」と述べた。別の市民団体幹部は「法廷での審理を通し、調査の不当性を明らかにすることができる」と話した。


  この宜野湾市にある普天間飛行場の名護市辺野古地区への代替施設移転問題は、沖縄県民だけでなく、日本人全員が考えなければならない重要な問題である。会場にお年寄りの方が質疑で挙手され憲法との関連で基地をこれ以上造らせてはならないと怒っていた。

 周知のように沖縄が日本に返還されてこの方、沖縄には新たな米軍基地がつくられていません。今回の辺野古への軍事ヘリ基地の移設が実行されると、新たな基地となります。ジュゴンの海へ軍事基地を移設させることに加え、沖縄にこれ以上基地をつくらせないことが極めて重要である。

 なお、私は基調講演のなかで、民主党の小沢一郎前代表そして現在の鳩山由紀夫代表が、政権取得後、普天間飛行場を県外に移設することを公言している点にも触れた。これについては本独立系メディアの以下のブログに述べているので参照して欲しい。

◆青山貞一:普天間の県外移設めざす、民主党新旧両代表が言明!
 
 以下は日本ウミガメ協議会関連記事

 http://www.umigame.org/J/katsudousyoukai/iken/hutenma/hutenmakichi.html