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1.重金属汚染の毒性産業廃棄物、一般廃棄物を問わず廃棄物を焼却することにより、さまざまな重金属類が土壌、大気、底質、水質中に排出されます。それらは、農作物、魚介類等を経由し最終的に人間の生体を汚染します。重金属には、表1に示すように、発ガン性、催奇形性、アレルギー性をもつものや環境ホルモン毒性(免疫毒性、生殖毒性、胎児毒性)をもつもの、さらに化学物質過敏症など、健康リスクをもたらす可能性があります。
2.重金属汚染の測定分析方法重金属の測定分析方法には大別して溶出分析と含有分析があります。日本の重金属分析では、従来、いわゆる溶出分析に対応した基準しかありません。しかも日本の溶出分析を定める環境庁告示では「試料液をpH5.6から6.3に調整し」とあります。これは、アメリカ(pH4)、オランダ(pH4及びpH7)、ドイツ(pH4)、スイス(pH4.0〜4.5)のように、酸性液による調整でないため、溶出率がきわめて低いことが専門家*から指摘されています。すなわち、アメリカ、オランダ、ドイツ、スイスの重金属の溶出分析に比べ、日本の環境庁告示の溶出分析では重金属類が検出されにくくなっています。 * たとえばゴミ弁護士連合会の梶山正三氏(弁護士、理学博士)は以下のように述べています。 「日本の溶出分析は非常に問題があるということを私はどこでも言っている。日本の溶出分析は、要するに、土壌なり底質から重金属がどのように溶け出してくるのか、試料を乾かし、細かくし、それをpH(ペーハー)5.8〜6.3溶液のなかにいれ、それを6時間ふるわけです。通常は酸性でやらなくてはいけません。というのは、重金属はアルカリ性では溶け出ないからです。だから酸性で溶け出してくるかどうかが重要なのですがが、環境庁告示第13号、第46号ではpHが酸性でないため原理的に溶出しないのです。環境庁告示第46号は土壌環境基準で、第13号が廃棄物をそのままうめていいかどうか、有害性があるかどうかというのをみるときに使います。どちらも液pH(ペーハー)は5.8〜6.3です。それに対してTCLPはアメリカの方法、Total Availabilityはオランダの方法です。オランダではpH7と4で行い両方合わせ何もでなくなるまで分析するという、しつこい方法となっています。またスイスは、だいたい4で行っています。日本はだいたい6です。pHが2違うとだいたい100倍違います。それで、この上のグラフですが、だいたいpHペーハーが2違うと溶け出してくる濃度が100倍違います。そういうデータなんです。」
一方、先進各国における重金属の分析は含有分析が主流となっています。 その理由は、溶出の方法以外に、土壌、底質などサンプルの種類、性質により溶出濃度が著しく異なることがあるからです。 市街地土壌汚染分野の先進国では、土壌に含まれる重金属の分析結果をもとに、環境リスクや健康リスクを評価するガイドラインや基準が作成され利用されています。たとえばドイツでは連邦土壌保護法において含有濃度を対象とした重金属類の評価ガイドライン、予防ガイドラインが設定されています。表3は、ドイツの連邦土壌保護法の保護令に定める含有濃度の試験値、また表4は予防値です。また表5は、国際再開発土壌汚染検討委員会の土地利用毎の重金属の推奨値です。いずれも含有濃度を対象としたガイドラインです。
Contaminated Land, UK body, which set guideline values for contaminated land in 1987 |
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