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八重山環境視察速報
B西表島の多様な自然生態系

池田こみち 環境総合研究所
 2010年3月28日
初出;独立系メディア
 
無断転載禁


西表野生生物保護センター

 午後3時半過ぎ、西表島の大原近くにある野生生物保護センターで学芸員、研究員と「イリオモテヤマネコ」の生態などについて懇談しました。

 センターに到着寸前に、路上をシロハラクイナが歩いていました!! 沖縄本島ではやんばるクイナをみることは希ですが、西表島ではそこいら中にクイナがあるいているのにはびっくりです。


野生生物保護センター 2010.3.23
撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 23 March  2010

 何でも、イリオモテヤマネコは現在、島全体で約100匹しか生息していないとのこと。また平均寿命は短く5年ほどとのことでした。イリオモテヤマネコは他の猫科の生物同様、夜行性ですが、島の外郭鱗片部にある道路で車に轢かれることが多いのも、平均寿命を短くしている理由のようです。


イリオモテヤマネコのあかちゃん(あいらしいです)
西表野生生物保護センターにて


イリオモテヤマネコの剥製 4体もありました
西表野生生物保護センターにて


イリオモテヤマネコの剥製 4体ありました
西表野生生物保護センターにて


 下の写真は、浦内川自然観察クルーズの資料館にあった写真。


イリオモテヤマネコ(浦内川自然生態クルーズ資料室)


イリオモテヤマネコ(浦内川自然生態クルーズ資料室)

 島内には随所にイリオモテヤマネコ保護のための看板がありました。


 2010.3.23

 下のイリオモテヤマネコ目撃情報地点マップにあるように、ヤマネコの目撃のかなりの部分は道路上で車に轢かれたことによっています。

 イリオモテヤマネコが道路に飛び出して交通事故死するのを防ごうと、道路標識もたくさん設置されていました。


イリオモテヤマネコ目撃情報地点マップ
出典:西表野生生物保護センター


イリオモテヤマネコ関連の道路標識 
撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 23 March  2010


イリオモテヤマネコ関連の道路標識 
撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 23 March  2010

 今回の視察中にシロハラクイナを3回見かけました。ヤンバルクイナは
有名ですが、地味なシロハラクイナも可愛い鳥でした。すばやく草むらや
林の中に入ってしまうので残念ながら撮影は出来ませんでした。

【シロハラクイナ】について(Wikipediaより)

保全状態評価:LC(Least Concern)
(ヤンバルクイナはEN:ENDANGERED)



分布:
インドから東南アジア、中国南部にかけて留鳥として分布する。日本では沖縄県で留鳥として分布する他、日本の各地で時々記録され、繁殖の記録も複数ある。近年分布を北に広げつつあると言われている。

形態:
全長約32cm。成鳥は額から顔、腹にかけてが白色でよく目立つ。頭頂部から体の上面は、やや光沢のある褐色がかった黒色。下尾筒は茶色。嘴は黄色で、基部は赤い。幼鳥は体の上面の褐色味が強く、光沢がない。

生態:
河川、湿地、水田、マングローブ林に生息するが、山間部の草地でも見られることがある。繁殖期はつがいで生活する。縄張りを持ち、他の個体が侵入すると「クォクォ」と鳴きながら威嚇し、頭を前に伸ばしながら追い払う。低木や丈の高い草の上に、枯れ草を積んで皿状の巣を作り4-8卵を産む。繁殖期は沖縄では2-10月と長く、個体によっては1年に3回繁殖を行うものもある。


【セマルハコガメ】について(Wikipediaより)



セマルハコガメ(背丸箱亀、Cuora flavomarginata)は、動物界脊索動物門爬虫綱カメ目イシガメ科ハコガメ属に分類されるカメ。
日本国指定の天然記念物
絶滅危惧II類(VU)(環境省レッドリスト)

分布
C. f. evelynae ヤエヤマセマルハコガメ
 模式標本の産地(模式産地)は石垣島(日本)。
 日本(石垣島、西表島)固有亜種。
C. f. flavomarginata チュウゴクセマルハコガメ
 模式産地は淡水(台湾)。中華人民共和国(安徽省、河南省、江西省、江蘇省、 湖南省、湖北省、浙江省、福建省、広西チワン族自治区、台湾)

形態(一部抜粋)
最大甲長19cm。背甲はドーム状に盛り上がり、中央部からやや後部で最も高くなる。背甲は上から見ると楕円形や卵型。孵化直後からある甲板(初生甲板)や成長輪は明瞭だが、老齢個体では磨耗し不鮮明になる。項甲板はやや大型で、後方が幅広い楔形や等脚台形。椎甲板には筋状の盛り上がり(キール)が入る。椎甲板のキールの周囲には黄色やオレンジ色の縦縞が入る。縁甲板下部の色彩は黄色や淡黄色。腹甲は大型。腹甲には切れこみが入らない。蝶番は属内でも発達し、腹甲を折り曲げる事で背甲との隙間を完全に閉じることができる。腹甲の色彩は黒や黒褐色。頭部はやや大型。吻端はあまり突出せず、上顎の先端は弱く鉤状に尖る。頭部の色彩は褐色や暗緑色などと変異が大きい。四肢背面の色彩は暗褐色で、腹面の色彩は褐色。尾は太くて短い。

生態
広葉樹林やその周辺に生息し、森林内を流れる河川や沼沢地、湿原の周辺を好む。陸棲で夏季に水場の周辺に集まったり浅い水場に漬かることもあるが、水中に潜ることはまれ。食性は雑食で、昆虫類、節足動物、ミミズ、陸棲の貝類、動物の死骸、果物などを食べる。繁殖形態は卵生。6-9月に1回に1-6個の卵を数回に分けて産む。卵は通常3か月以内に孵化する。性染色体を持たず、発生時の温度が一定の温度より高いとメス、低いとオスになる確率が高くなる(温度性決定)。

人間との関係
中華人民共和国では食料や薬用とされる。開発による生息地の破壊や、道路脇の側溝による生息地の分断および落下による死亡(側溝から出られないため)や車による轢死、食用やペット目的での乱獲(日本国内でも違法に捕獲されているとされる)などにより個体数が激減している。そのため生息地では保護されている。亜種ヤエヤマセマルハコガメは1972年(当時はセマルハコガメの日本個体群)に国の天然記念物に指定され、採集や飼育は禁止されている。一方で沖縄島では本来は分布していない本種の発見例が多く、定着している可能性が高いとされる。また既に沖縄島において本種とリュウキュウヤマガメの属間雑種が発見され、遺伝的汚染が心配されている。

 なお、西表島にのみ分布する固有種(亜種、変種を含む)には以下の通りです。
  • 植物:エクボサイシン・モノドラカンアオイ・ヤエヤマカンアオイ(ウマノスズクサ科)、ヤエヤマヒメウツギ(ユキノシタ科)、ヤエヤマヒイラギ(イリオモテヒイラギ)(モクセイ科)、イリオモテガヤ(イネ科)、ナンゴクヤツシロラン・ヤエヤマスケロクラン、イリオモテトンボソウ(ラン科)
  • 動物:イリオモテヤマネコ、ショキタテナガエビ、ヤエヤマハナダカトンボ

つづく