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若狭湾岸原発銀座視察

美浜原子力PRセンター
青山貞一
Teiichi Aoyama
池田こみち Komichi Ikeda

掲載月日:2018年8月
独立系メディア E−wave Tokyo
無断転載禁

 
 施設・訴訟概要  敦賀原子力館  ふげん  三方五湖
 美浜原子力PRセンター  もんじゅ1  もんじゅ2  もんじゅ3

 下図は福井県の若狭湾岸地域を示したものである。
 

「若狭湾岸原発銀座」における原子力関連施設立地図
出典:グーグルマップをベースに青山が作成

 翌9月8日(2018年9月8日)午前、私たちは三方五湖にある宿泊先から「もんじゅ」に行くが、時間があるので、昨日同様、今回は関西電力の美浜、大飯、高浜の各原発の総合広報センター的存在である美浜原子力PRセンターに向かう。

 下の地図にあるように、宿泊先から美浜原子力PRセンターまでは34kmあり、レンタカーで約45分の道のりである。


出典:グーグルマップ

 この日は朝から雨というよりは、防風。強い風と殴りつけるような雨が降っていた。

 下の写真は、関西電力 美浜原子力PRセンターである。生憎の雨で周辺ももやっている。センターにはアポイントメントはとっていなかったが、案の定、ここでも来館者は私たちだけであった。


出典:グーグルマップ・ストリートビュー

 下の写真は訪問当日のもの。車の窓ガラスに雨が付着している。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900

 下はもんじゅ視察後、雨があった時にPRセンター側から撮影した美浜原発である。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900

 下はPRセンターの受付をしていた女性に撮ってもらった写真である。


撮影:PRセンターの女性スタッフ Nikon Coolpix S9900


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900

 この関西電力の美浜原子力PRセンターの展示で最も気になったのは、以下の美浜原発3号機事故である。以下は本稿のはじめにで紹介した美浜原発における2004年の上記噴出事故の概要である。

2004年蒸気噴出事故

 2004年8月9日午後3時半頃、通常運転中の3号機二次冷却系の復水系配管が第4低圧給水加熱器と脱気器との途中で突然破裂し、高温高圧の二次系冷却水が大量に漏れ出して高温の蒸気となって周囲に広がった。事故当時、現場のタービン建屋内では、定期点検の準備のため、211人が作業をしており、問題の配管室内には11名の作業員がいた。事故直後に死亡した4名の死因は全身やけど(熱傷)および、ショックによる心肺停止で、ほぼ即死に近い状態だったとされる。また、事故から17日目の8月25日には、全身やけどを負っていた作業員1名が死亡したため、最終的には死亡5名・重軽傷6名となった。美浜発電所の加圧水型原子炉は、放射性物質を一次冷却系内に留めるよう設計されているため、この事故での汚染や被曝者はいない


破裂箇所 オリフィス下流側に生じた渦によるキャビテーションが徐々に配管内面を削った。28年間、削られ続けたことで管の厚みは10mmから最薄部は0.4mmにまで減肉し、遂に耐えられなくなったと考えられている。

 原因として炭素鋼製の直径55cm、肉厚10mmの配管の内面が腐食などによって減肉し、事故当時は肉厚0.4mmにまで減肉していた。150℃10気圧という運転圧力と流体振動に耐えられずにこの部分の上側を起点に大きく破裂したと考えられる。

 破裂箇所の上流側には圧力差から流量を計測するためのオリフィスと呼ばれる狭窄部が設けられており、ここで生じた過流によるキャビテーションが徐々に配管内面を削り、運転開始から28年の後に遂に強度的に耐えられなくなったと考えられている。

出典:Wikipedia


 以下は青山貞一のコメント

 以下は、PRセンターに掲示されていた蒸気噴出事故に関連する部分である。上述のように、全身やけどを負っていた作業員1名が死亡したため、最終的には死亡5名・重軽傷6名となっている。原発の機器に関連して起きた死亡事故としては、おそらく過去最大の事故といえる。

 炭素鋼製の直径55cm、肉厚10mmの配管の内面が腐食などによって減肉し、事故当時は肉厚0.4mmにまで減肉していたことが原因とされていたが、0.4mmにまで減肉されていたのに、爆発するまで保守点検などでわからなかったことそのものが大きな問題だと思う。

 流体力学的にみても、パイプの接続部における内径の著しい変化により、その後、流量、流速が変化し、すなわちダウンドラフト、ダウンウォッシュ現象により特定部分に強く当たることとなるのは常識である。


 以下はPRセンターにおける関連掲示情報である。
 

撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900

 上記の質疑の最中、青山のデジカメ(Nikon Coolpix S9900)の電池がなくなりかけていることが分かった。そこで、駐車場まで電池をとりに行くこととして、雨中の表に出た。

 展示室に帰ってくると、池田、案内の女性が2階の展示室に移動していることが分かり、青山も2階に行った。

 2階には以下のようなエネルギー政策的な掲示が続いた。


撮影:青山貞一  Nikon Coolpix S9900


撮影:青山貞一  Nikon Coolpix S9900


撮影:青山貞一  Nikon Coolpix S9900
 
 その後、以下のような原子力は「プルトニウム利用」が究極の目標という掲示板が出てきたので、そばにいた女性スタッフに掲示内容について批判的な自分の考えを述べた。


撮影:青山貞一  Nikon Coolpix S9900

 そして、各発電方法ごとの特徴、という解説版に原発による電気料金は全発電方式で一番コストが低いとあり、原発によってつくられる電気のキロワット当たりの経済性についての説明板の前で、女性の係員が「原発が一番安いのです」と説明板にあるグラフを指して説明された。

  現地でのグラフは議論が伯仲し撮影していなかったが、PRセンタ^ーのWEbに以下があったので掲載した。ほぼ同じ内容なはずだ。

出典:関西電力美浜原子力PRセンター公式Web 

 青山はちょっと待ってください、と言って、「これについては、多くの議論があり、使用済み燃料の処理や最終処分、それに国、自治体の財政支出、膨大な地域振興費・保障費などが含まれていないのではないか?  まして万一の場合、すなわちF1事故後の膨大な費用が含まれていなのではないか?」と質問したところ、知らぬ間に青山、池田の後ろにいた(来た)所長がしゃしゃり出て、福島第一原発の各種事故対策費は確かに含まれていないが、原発は間違いなく他の発電方式より安いと言い張った。

 そこで、大島賢一さん(立命館大学教授)が公表しているさまざまな論文やデータを青山が説明し、「これらそれなりの根拠、証拠を公表され試算されている原価では、原発による電気は決して安くないはずです。PRセンターとはいえ、詳細データを示さずこのようなパネル表示を一方的に来館者に示し、しかも係員がやはり一方的に説明するのはおかしいんでは?」と指摘した。

 すると、関西電力の部長で美浜原子力PRセンターの所長は、血相をかえ、「こちら側の説明に疑問を呈されるような方にはいくら説明してもしかたがないので、どうぞお帰りください。!」と慇懃な口調で、センターから出て行けと言われた。

 まったく議論もせず、自分たちが表示している「電気料金の比較表の値」をセンター来場者に押し付けること、まして、問題提起や議論を受け付けず、「施設側の主張を受け入れないなら帰ってくれ」というのは、言語道断だろう。

 そもそもこれは常日頃から見ていて、関西電力の傲慢で高圧的な基本姿勢こそ問題ではないのかと、主張したが、所長は態度を変えなかった。

 「もんじゅ」の日本原子力研究開発機構に行く時間が迫ってきたので、広報センターを出た。せっかく雨の中訪問したのに大変後味の悪い施設見学となってしまった。

 すると、所長が雨中追いかけてきて、名刺をくださいといわれたが、車の中にあるのでもっらおらず、渡せなかった。上述のようにセンターに入ったとき名前と住所は確か、書いたと思うが、自分の名刺を渡したので気になったのかも知れない。

 いずれにせよ、自分たちの言い分に対し、疑問を抱き質問する来場者に 自分たちの意見と異なる主張をする来場者には「お帰り下さい」、というのでは議論のしようもないのでお引き取りください」という基本姿勢に、いまさらながら驚いた次第だ。

 所長は来訪者に指摘されたことを否定するのではなく、何でもしっかり受け止め自らの事業に生かすという真摯な態度が必要です。彼は、所長としては失格であることは間違いない。来訪者がみんな原発推進や事業者の主張に理解のある人ばかりとは限らないのは当たり前のことだ。

 もとより、昨日の原子力館同様、私たち以外の来場者はゼロ。たまたま入場した私たちにこのような態度では、いったい何のための関西電力の原発PRセンターなのか、根底から疑問を感じた。

 民間企業なら、本来このような対応するPRセンターの所長は即刻“首”である。広報とかPRの意味をまったくはき違えて自社の主張を押しつけようとする態度は看過できない。関西電力が会社としてこのような人物を広報センターの所長として配属していることに疑問を感じざるを得なかった。


つづく