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メアリー・ステュアートの足跡を追って
スコットランド
2200km走破


トーネス原発3

青山貞一 Teiichi Aoyama  池田こみち Komichi Ikeda
2018年10月30日公開予定
独立系メディア E-Wave Tokyo 無断転載禁
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スコットランドという国
トーネス原発1   トーネス原発2   トーネス原発3


◆トーネス原発の写真ギャラリー


スコットランド トーネス原発にて 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8  2012



スコットランド トーネス原発にて  駐車場の地上1mの空間放射線量測定値
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8  2012



スコットランド トーネス原発にて 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8  2012


 以下はスコットランドの原発事情です。

 今回のスコットランド及び北イングランド現地調査のひとつ目的は、同地域におけるエネルギー事情を調査することにあった。

 現地調査の実質最終日、スコットランドのエジンバラ東部で現在稼働中のトーネス原発を現地視察することができた。


<英国全体の原発事情>

 1989年、英国サッチャー政権による国営企業の民営化に伴い、英国の電気事業も、電力法施行により分割・民営化が行われ、1996年には原子力発電の分野でも民営化がほぼ完了した。

 英国原子燃料会社(BNFL)は100%政府保有の国営企業であり、発電から燃料サイクル全般に至る広範な業務を行ってきた。また、ブリティッシュ・エナジー(BE)社は2000/2001年度の電力市場価格の急激な下落から原子力事業の大幅な赤字を記録していた。

 英国政府は2003年5月電気事業法改正法を改正し、ブリティッシュ・エナジー社(BE社)が発表した再建計画に公的資金を用いて支援してきた。

 英国にある旧式マグノックス炉(GCR)のうち20基をBNFL社、残りの原子力発電所をBE社が所有していたが、BNFL社は2000年5月、経済的な理由から所有するマグノックス炉20基全てを2010年までに閉鎖する計画を発表していた。

 2006年末現在、英国全体で運転中の原子力発電所は19基・合計出力は1195.2万kWであり、2006年末の原子力発電電力量は692.37万kWh、総発電電力量に占める割合は18.4%であった。
 
 図1に2010年1月1日現在の英国の原子力発電所分布地図を示す。英国では、国内初のPWRであるサイズウェルB(125万8,000kW)が1995年に営業運転を開始したのを最後に、建設中および計画中の原子力発電所はない。


図 英国における原発立地位置図
出典:原子力産業会議

<英国の原発事情への福島第一原発の影響>
  
 2011年3月の福島第一原発事故後、英国政府の原子力規制庁(Office for Nuclear Regulation=ONR)は、福島原発事故が英国原発産業に及ぼす影響についての調査報告書を公表している。

 原子力規制庁の報告書は、以下の理由から大きな影響はないと結論づけていた。@福島原発は軽水炉型原子炉を使用しているが英国の場合ガス冷却型であるため、同様の理由、原因による事故は起きにくい、A英国では約10年毎に英国各地の原発が安全性の点検をONRなどの規制・監督団体から受けていること、B英国ではONRが原子力業界から独立しているだけでなく、過去、原発を推進する政策をとってきた英国政府から独立していること、C英国では日本のような巨大な津波や地震が発生する確率が低いこと、などである。

 上記は主として原子力規制庁の見解である。

 しかし、サッチャー政権以来、徹底的にあらゆる事業が民営化されてきた英国にあって、原発事業もその例外ではない。実務、事業、ビジネスとして原発建設に関与してきたのは主にドイツの企業だが、そのドイツの企業は、以下に示すように、実質的に英国の原発建設事業からの撤退を考えていることが分かった。

 2011年3月に起きた福島第一原発事故が英国の原発事情にどんな影響を与えてきたかだが、英国では閉鎖してきた原子炉の代わりにドイツの電力大手であるエーオンとRWEが英国で12基もの新規の原発建設を進めてきた。

 しかし、2012年3月、おそらく福島原発事故の影響などにより、従来、原発推進の英国は電力不足解消と地球温暖化対策のため最大12基の原発新設を進めているが、今後の英国のエネルギー政策の見直しが不可避の情勢となってきまこと、またギリシア、スペイン、イタリアなどEU諸国の債務危機が顕在化したこと、さらにドイツのメルケル政権が脱原発政策を表明したことなどから、英国の電力事業を傘下に収めるドイツの電力大手であるエーオンとRWEの両社の業績が悪化してきたことも原因と推定される。

 まず英国では2015年に国内の石炭火力発電容量の13%に相当する12ギガワットの電力と、2020年までに既存原発の老朽化でなくなる7ギガワットの電力を補完するため、英国内で8カ所、最大12基の原発新設を計画してきた。

 この原発新設事業に、ドイツのエーオン、RWEの両社、またフランスのEDF、さらにスペインのイベルドローラ社などが参加してきた。

 とくにドイツのエーオンとRWEの両社は2009年に共同出資会社を設立し、英国西部の2カ所の原発建設用地を購入しました。さらに150億ポンド(約2兆円)の巨費を投じ原発6基(6ギガワット超)を2025年までに建設する計画でした。


スコットランドの原発事情

 図は2000年から2010年における燃料別のスコットランドの発電量です。この間の原発による発電割合は、おおよそ25%〜30%となっていることが分かります。


出典:Department of Energy and Climate Change, The National Archives, United Kingdom

 スコットランドの原発事情ですが、過去から現在におけるスコットランドにある原発施設は、以下の通りです。

@北部DounreayのDFRとPFRの合計2基が閉鎖、Aエジンバラ東部の北海沿岸にある2基のAGR型のTorness原発、Bグラスゴー南にあるHunterstonの2基のGCRは閉鎖、2基のAGRが稼働中です。

 さらにすでに完全に閉鎖されていますがCスコットランドとイングランドの西側境界線近くの Annan in Dumfries and Gallowayに4基の原発がありました。
 
 スコットランドで現存している原発は、エジンバラ東部のダンバー近くの北海沿岸のトーネス(Torness)のAGR型原発2基とグラスゴー南のHunterstonにあるAGR型原子炉2基の4基のみとなっています。


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