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NHKドキュメント 「731部隊の真実」-1

~エリート医学者と人体実験~


全体概要

   
青山貞一 Teiichi Aoyama 池田こみち Komichi Ikeda 共編
August 30, 2017
独立系メディア E-wave Tokyo
無断転載禁

1)・全体概要・731部隊概要・ハバロフスク裁判記録軍医兵士の証言・人体実験概要
2)・731部隊の概要 ・石井部隊概要・ハバロフスク裁判と証言 ・匪賊とはなど
3)・731部隊 元少年隊員 三角 武の証言・元少年隊員 須永 鬼久太氏証言・隊員医師名簿

4)・京大戸田正三 ・戸田研究報告・東大総長 長與又郎・日本の大学医学部エリート呼集め
5)・凍傷実験 ・吉村論文・第一課(チフス)課長田部井和・憲兵班 倉員証人証言・野外演習
6)・野外実験・日中戦争勃発・染色体人体実験・三角武証言・細菌研究部長川島清証言
7)・ソ連満州侵攻・部隊撤退証拠隠滅 ・ 三角証言(死体処理)・米へのデータ提供と訴追逃れ 
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はじめに

 2017年8月に2度放映されたNHKドキュメント「731部隊の真実」は、第二次世界大戦終結後、ロシアのハバロフスクで開廷された「ハバロフスク裁判」の記録(ロシア国立音声記録アーカイブ)をもとに、主として731部隊に加わった京都大学、東京大学などの医学部教授らエリート医学者が行ったさまざまな人体実験、生物兵器開発と実験について実態を明らかにしている。


ハバロフスク裁判(旧ソ連)
出典:NHKドキュメント「731部隊の真実」、2017年8月13日、放映


ハルビン市がある中国黒竜江省の位置
出典:Wikimedia Commons

 これらは過去の各種記述、写真などでも、その概要がある程度明らかになっていたが、裁判に出廷した医学者らの詳細にわたる証言(ロシア国立音声記録アーカイブ)をもとにしている点で、きわめて貴重なものと思われる。

 そこでは、京都大学、東京大学などの医学部教授らエリート医学者が軍から当時としては法外な研究費をもらって事実人体実験などを行い、また終戦後、それらの研究成果、データ、資料を全面的に米国に渡すことを条件に、いち早く日本に帰国が許されている事実が明らかになっている。さらに、帰国後、エリート医学者は日本の国立大学の学長、学部長に就任し、また伝染病研究所など国公立研究所の所長などに就任していることが判明している。

 上記のようにNHKドキュメント「731部隊の真実」は、731石井部隊における学者、研究者らが違法な実態実験、生物化学兵器の研究開発に関わった実態を、部隊の中枢メンバー、逃げ遅れた医学者、兵士らの裁判証人としての証言、また今日までの生き残った731部隊兵士ら関係者へのインタビューを通じて明らかにしている。これらの点でNHKドキュメント「731部隊の真実」は非常に重要かつ貴重なものと思われる。

 なお、本概要では、NHKのHD映像の一部を静止画として切り出し、独自のデジタル技術により写真の詳細化(ピントの鮮明化)などを付することで、より現実に近いものとしてご覧いただくことができます。

 以上のコメント:青山貞一


◆全体概要(出典NHK)

 戦時中、旧満州で密かに細菌兵器を開発し実戦で使用した、731部隊。部隊が証拠を徹底的に隠滅、元隊員が固く口を閉ざしたため、その実像を知る手がかりは限られてきた。

 今回NHKは、終戦直後、旧ソ連で行われたハバロフスク裁判の音声記録を発掘。20時間を越える記録では、部隊中枢メンバーが、国防や国益のためとして細菌兵器を開発した実態、そして旧満州で日本に反発していた中国や旧ソ連の人々を「死刑囚」とし、細菌兵器開発の「実験材料」として扱っていた実態を、克明に語っていた。

 さらに、元隊員の資料や当時の学術界の膨大な記録からは、軍だけでなく学術界からも多くの研究者が部隊に参加していた実態が浮かび上がってきた。満州事変以降、学術界が軍と関係を深めていった過程、そして日本軍が旧満州で反発する人々を死刑にすることについて世論の支持が高まる中で「死刑囚」を研究に活用する動きが相次いでいた実態も明らかになってきた。

 731部隊はどのようにして生まれ、そして医学者たちは、どう関与していったのか。数百点にのぼる資料をもとに、731部隊設立の謎に迫る。


 関東軍防疫給水部 いわゆる731部隊。戦時中、細菌兵器の開発を行った日本軍の秘密部隊です。


出典:NHKドキュメント「731部隊の真実」、2017年8月13日、放映

 これはロシア国立音声記録アーカイブ(図書資料室の写真)です。

 これまで厚いヴェールに覆われてきたこの組織、その全貌を知る手がかりがロシア、モスクワで見つかりました。


出典:NHKドキュメント「731部隊の真実」、2017年8月13日、放映
 
 ロシア担当者「これは1949年、ハバロフスク裁判のオリジナルの磁気テープです。」


出典:NHKドキュメント「731部隊の真実」、2017年8月13日、放映

 当事者たちの肉声を記録した22時間におよぶ音声テープ。終戦から四年後、731部隊の幹部らを裁くために、旧ソ連で開かれた軍事裁判の記録です。

 これはハバロフスク法定の写真です。細菌兵器開発のために生きた人間を実験の材料として使ったと証言されていました。


出典:NHKドキュメント「731部隊の真実」、2017年8月13日、放映

<関東軍軍医部長の証言>

 証言「細菌戦をもって攻撃をやるという研究をやったことと、それから、人体実験を行ったという二つの点であります。びらんガスを人体実験に使用して、手とか足、顔がびらんガスによってただれて留置所の中に入っているのを見ました。」


出典:NHKドキュメント「731部隊の真実」、2017年8月13日、放映

<二人の中国囚人の写真>

 731部隊が実験を行っていたのは旧満州の東北部にある秘密研究所。生きたまま実験材料とされ亡くなった人は3千人に上るとも言われています。


出典:NHKドキュメント「731部隊の真実」、2017年8月13日、放映

<資料を広げた写真>

 なぜ人体実験はこれほどの規模で推し進められたのか。NHKは、国内外の数100点におよぶ資料を収集しました。


出典:NHKドキュメント「731部隊の真実」、2017年8月13日、放映

<大勢のエリート医学者の写真>

 浮かび上がってきたのは軍人だけでなく、東大や京大などから集められたエリート医学者たちが人体実験を主導していた実態でした。


出典:NHKドキュメント「731部隊の真実」、2017年8月13日、放映

<田部井講師の写真>


出典:NHKドキュメント「731部隊の真実」、2017年8月13日、放映

<細菌の顕微鏡写真>

 京大出身のこの細菌学者は致死率の高いチフス菌を研究。


出典:NHKドキュメント「731部隊の真実」、2017年8月13日、放映

<弾頭>

 細菌を詰めた爆弾で大量感染をお引き起こす実験をしていました。


出典:NHKドキュメント「731部隊の真実」、2017年8月13日、放映

<白衣の医学者>

 この医学者は人の手や足を人為的に凍傷にかからせる実験をしていたと言います。


出典:NHKドキュメント「731部隊の真実」、2017年8月13日、放映

<凍傷の写真>

  証言「その中国人の手を見ますと、3人は手の指が全部黒くなって落ちております。残りの二人はただ、骨だけ残っておりました。」


出典:NHKドキュメント「731部隊の真実」、2017年8月13日、放映

<凍傷の実験の様子(ベンチ)>

 専門知識をもった医学者が集められ組織されたことで実験が大規模に進められていったのです。


出典:NHKドキュメント「731部隊の真実」、2017年8月13日、放映

<生き残った731部隊 元部隊員の証言>

 証言「薬学博士とか理学博士。731部隊と言えば、そういった各界の権威が集まっていましたよ。」


出典:NHKドキュメント「731部隊の真実」、2017年8月13日、放映


出典:NHKドキュメント「731部隊の真実」、2017年8月13日、放映

<解剖器具>

 いのちを守るべき医学者がなぜ人体実験に手を染めたのか。


出典:NHKドキュメント「731部隊の真実」、2017年8月13日、放映

<タイトル 731部隊の真実 〜エリート医学者と人体実験〜>

  70年の時を経て明らかになる、731部隊の真実です。


出典:NHKドキュメント「731部隊の真実」、2017年8月13日、放映


つづく