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私たちは、世界に先がけて「廃棄物資源管理法」という州法を制定し、市民参加で成果をあげているカナダ最東端の州、ノバスコシア州(Nova Scotia Province)とその州都であるハリファックス(Halifax)に魅せられ何度も、ノバスコシア州を訪問している。 このカナダのノバスコシア州では、先進国でありながら、何とゴミを一切燃やさない、安易に埋め立てない、すなわち「脱焼却」そして「脱埋立」を実際に社会実験し、10年以上にわたり実行しており、世界各国から大きな関心が寄せられている。 下の地図はノバスコシア州の位置を示している(赤い部分)。何と、州都ハリファックスは、カナダの東端の大きな都市というだけでなく、北米の最東端にある都市でもある。日本から直行便はなく、ニューヨークやトロントなどで乗り継ぎ、まる一日かけないと到着できない。 ノバスコシア州の位置(カナダの東端) 出典:Wikipedia このカナダ・ノバスコシア州の脱焼却・脱埋立を目指した廃棄物資源化の法律や政策については、私たちが書いた以下の新聞の論点や論文を参照して欲しい。 青山貞一:ゴミ半減、カナダ・ノバスコシア州 5 年で実現 読売新聞 青山貞一・池田こみち:カナダ・ノバスコシア州の廃棄物資源管理 月刊廃棄物 青山貞一:脱焼却、脱埋立への挑戦〜ノバスコシア州の循環型社会実験〜前編 月刊廃棄物 青山貞一:脱焼却、脱埋立への挑戦〜ノバスコシア州の循環型社会実験〜後編 月刊廃棄物 周知のように、日本は先進国で世界一、ゴミを出し、安易に焼却し、埋め立てている国であるが、カナダのノバスコシア州は、いわばゴミを出さず、しかもゴミを燃やさない、すなわち「脱焼却」 政策の元祖である。このような政策は、ゼロウエイスト政策と呼ばれるが、100万人規模の都市で実際に「脱焼却」を実現しているのは、このノバスコシア州くらいである。米国のサンフランシスコ市やオーストラリアのキャンベラ市などもゼロウエイスト政策に取り組んでいるが、全面的な「脱焼却」にまでは行っていない。 ところで、青山や池田がカナダのノバスコシア州のこの「脱焼却」政策や「廃棄物資源化」政策を講演する際、必ず冒頭で以下のフレーズを話している。 すなわち、スコットランドの詩人、アラン・ポールドが言うように、「スコットランド、それは全能なる「否」が支配する場所なり」である。 スコットランドは今は、英国の一部でありながら、あくまでも独自性を主張してやまない場所である。スコットランドを一言で称せば、それは簡単に長い物に巻かれない。寄らば大樹とならない、元祖、理不尽なことに「ノーと言える国」、それがスコットランドである。 スコットランド国旗 スコットランド紋章
昔からスコットランドの国花は、アザミである。アザミは棘(トゲ)をたくさん持っていて、人を寄せ付けない。事実、その昔、スコットランドがバイキングの襲撃を受けたとき、アザミがバイキングの行く手を阻んだと言われている。 スコットランドの国花、アザミ 出典:NHK BSプレミアム アザミの花 撮影:青山貞一 スコットランドの首都、エジンバラにあるエジンバラ城は、遠くから見るとアザミに似ている。それは、刺々(とげとげ)しい姿で来る者を拒む、しかしアザミは美しい花も咲かせる。そう、それはスコットランドの精神文化を象徴する女性の国王、メアリー・スチュアートのようにだ。 スコットランドの首都、エジンバラ 出典:Wikipedia
それにつけても、今の日本社会には、まともな見識も批判精神もなく、すべてが利権で動いているように見える。私たちがこの一年徹底的に関わってきた3.11以降の「被災地復旧・復興問題」、「除染問題」それに現在全力を上げている「がれき広域処理」問題も、すべてが火事場泥棒や焼け太り的な利権が渦巻いている。 こんなことをしていれば、必ずしっぺ返しが来るだろう。 ........ ところで、私と池田こみちが、今まで何度も出かけているカナダのノバスコシア(州)は、何と英国のスコットランドから大西洋を越え渡ったスコットランド人がつくった地域(州)である。英国から渡って北米の新天地でニューイングランドやニューヨークをつくったように、英国から北米ににわたりつくったのがノバスコシア(Nova Scotia)である。 そのノバスコシア(Nova Scotia)は、ニュー・スコットランド(New Scotland)のラテン語訳である。 上述のように、ノバスコシア州は世界の先進諸国の都市に先駆けて、ゴミを一切燃やさない脱焼却のまちづくりを実現している。それは何でもかんでもゴミにして燃やしてしまう日本と対極の位置にある。私たちが、がれき広域処理に反対しているのは、放射性物質問題以前に、安易に何でもかんでも燃やして埋める日本のゴミ政策を30年以上批判し、その代替政策を小さな自治体を中心に支援してきた背景があるからである。 出典:青山貞一のパワーポイント 出典:青山貞一のパワーポイント 出典:青山貞一のパワーポイント 下は、カナダ・ノバスコシア州の旗である。×はスコットランド国旗と同じである。また中央にある立ったライオンこそ、本ブログの中心的テーマ、スコットランドのメアリー・スチュワート女王の祖先、スチュワート家の紋章である!! ノバスコシア州旗 下の紋章は、スコットランドのメアリースチュアート時代の王室の紋章である。 Royal Arms of the Kingdom of Scotland (1559-1560) Source: English Wikipedia ハリファックス (トリップアドバイザー提供) ハリファックス (トリップアドバイザー提供) ハリファックス (トリップアドバイザー提供) ハリファックス (トリップアドバイザー提供) ハリファックス (トリップアドバイザー提供) 私たちが最初、何でカナダでも最も辺境にあるノバスコシア州で世界的に見て希有な「脱焼却」と「脱埋立」の政策が誕生したのか、それも市民参加によって生まれたのか理解できなかった。しかし、冒頭に掲げたアラン・ポールドの詩を読み、現地に行って見て、それは氷解した。 スコットランドの血を引く、ノバスコシア州にあっては、たとえ世界中で前例、先例がない立法、政策であっても、それに必要性、合理性そして正当性があれば、どんなに難しいことであっても実現するために最大限の努力を払う精神を先祖から学んでいたからである! 2003年2月、はじめてノバスコシア州に現地調査ででかけたときの一枚 海が凍っていた。ペンギンになった池田こみちさん 2003年2月、はじめてノバスコシア州に現地調査ででかけたときの一枚 左から池田こみち、青山貞一、広田次男(いわき市在住環境弁護士) 2月は厳寒でマイナス10−20度であった! 場所はノバスコシア州の世界遺産、ルーネンバーグの漁港 ルーネンバーグ (トリップアドバイザー提供) ルーネンバーグ (トリップアドバイザー提供) そんなこともあり、私たちはノバスコシア州の古里であり、先祖があるスコットランドに関心を持ち、いろいろ調べていた。 今回、はからずもNHK BSプレミアムで希有で秀逸な女性国王、メアリー・スチュアートの生涯についてドキュメント番組を放映したこともあり、独立系メディアでスコットランドの精神文化の背景になっているメアリース・チュワートの特集を試みた。 出典:NHK BSプレミアム つづく |