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原発事故時
シミュレーション実施
状況と
UPZ/EPZとの関係
青山貞一 鷹取敦
環境総合研究所(東京都目黒区)
掲載月日:2012年5月21日

 独立系メディア E−wave Tokyo

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 環境総合研究所(ERI)による現時点での原発事故時の影響シミュレーション(1時間平均値)の実施公開状況は以下の通りです。

 使用しているモデルは風洞実験設備で検証した3次元流体数値計算モデル、計算手法は有限差分法です。

 地形データは国土地理院の数値地形データ(50mメッシュ)を使用、コンピュータのCPUはIntel社の第一世代〜第三世代のCPU(Core i3 550, i5 750, i5 2500k, i5 3550)です。

表1 環境総合研究所(東京都品川区、ERI)の自主研究による
   原発事故時シミュレーションの実施状況と将来予定
都道府県名 電力
会社名
原発名 広域 公開 UPZ・EPZ
対応詳細
公開
北海道 北海道電力 実施 部分公開中
青森県 東京電力 東通 予定あり
宮城県 東北電力 女川 予定あり
福島県 東京電力 福島第一 実施 部分公開中
東京電力 福島第二
茨城県 日本原子力
発電
東海第二 実施 近日公開
静岡県 中部電力 浜岡 実施 部分公開中
新潟県 東京電力 新潟刈羽 予定あり
石川県 北陸電力 志賀 実施 近日公開
福井県 関西電力 大飯 実施 部分公開中
関西電力 高浜 実施 部分公開中
関西電力 美浜 実施 部分公開中
日本原子力
発電
敦賀 実施 部分公開中
島根県 中国電力 島根 計算中
香川県 四国電力 伊方 実施 近日公開
佐賀県 九州電力 玄海 実施 近日公開
鹿児島県 九州電力 川内 実施 部分公開中
対象核種:全核種、予測時間:風向、風速別の1時間平均値

◆原子力防災計画、UPZ/EPZとの関連について

 上記のシミュレーションでは、いずれも150−250kmの範囲を対象にメッシュ規模1−2kmで広域を対象としています。

 しかし、原災法や新たな防災指針によりUPZとして、原子力防災計画を策定義務が課せられる地域に役立つ、原発近傍でのシミュレーションが必要となります。それらについては、関連する市町村から具体的要望がある場合に限り、秋頃までにシミュレーションを行う予定です。

 すでに原子力防災計画の策定義務が課せられる地域の自治体から相談が来ていますが、その場合には当該自治体の要望との関連で詳細シミュレーションを行った上で対応する予定です。

 当然のこととして、本来、これは国がすべきものですが、現実には国が機能不全となっています。具体的な防災計画や防災指針、避難経路などUPZ/EPZの要件を具体的に満たすことがないまま、政府は各地の原発を再稼働させようとしていることになります。

◆IAEA 文書において示された緊急防護措置計画範囲(UPZ)について

1.現状
 IAEAの安全要件GS-R-2及び安全指針GS-G-2.1(DS-105)において、緊急防護措置を迅速に実施するための整備がなされていなければならない区域として、緊急防護措置計画範囲(UPZ:Urgent Protective action planning Zone)を定めることが提案されているところ。これに対し、我が国においては、既に原子力施設等の防災対策について(防災指針)において防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲(EPZ:Emergency PlanningZone)が示され、原子力防災対策が進められているところである。

2.UPZ とEPZ の比較
 UPZは現行の防災指針において示されているEPZとほぼ同様の目的のために設定を提案されたものと考えられる。又、現行のEPZの対象施設やその半径については、IAEA文書において示されたものを満たしているとされている。
(以下を参照のこと)

主点: http://www.nsc.go.jp/senmon/shidai/bousin/bousin003/siryo3.pdf