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日独・脱原発自治体
首長交流会 参加記(1)

(在日ドイツ大使館)
脱原発自治体交流会の概要
Networking Event of De-NPP Municipalities
in Japan and Germany


青山貞一
Teiichi Aoyama
環境総合研究所顧問、東京都市大学名誉教授
Advisor, Environmental Research Institute, Tokyo
Prof. Tokyo City University

掲載月日:2013年7月12日
独立系メディア E-wave Tokyo 無断転載禁


(1)はじめに (2)ラインラント=プファルツ州とは (3)再生可能エネルギー戦略
(4)
大臣の同行者紹介 (5)エヴェリーン・レムケさん  速報  補遺

 2014年の6月中旬、東京都港区南麻布にある在日ドイツ大使館から一通の書状が届いた。カナダ大使館やオーストリア大使館さらにオランダ大使館とはいろいろな付き合いがあり、過去、レセプションの案内が来て参加している。 だが、以下のインビテーションについては、心当たりがまったくなかった(笑)。




在日ドイツ大使館の位置図

 それでも自宅が在日ドイツ大使館に近いのと、レセプションならいろいろなひとと議論が出来ると考え出席の通知を出した。

 そして7月11日(金)、巨大台風、8号が去った翌日、大使館に出かけた。おりしも夕方からかなりの雨が降り出したが、目黒、恵比寿を経由し地下鉄日比谷線の広尾駅に到着した。自宅に近いので、広尾や南麻布には何度も来ているが、ドイツ大使館ははじめてである。

 在日ドイツ大使館から送られてきた案内地図を見ると、有栖川公園のすぐ近くの坂の途中にドイツ大使館がある。 午後7時の10分ほど前に、大使館の入り口に向かった。


東京都港区南麻布にあるドイツ大使館
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-7-11


東京都港区南麻布にあるドイツ大使館  グーグルストリートビューより

 ドイツ大使館は有栖川公園側から見ると、まるで要塞のような格好をしていて、ほとんど中は見えない。入り口でセキュリティ・チェックを受け、案内状とパスポートで本人確認され、大使館の中に入る。

 実は、この時点でも、このレセプションは何なのか、ホトンド分からなかった(笑)。こんなことは初めてである。 午後7時を5分ほど過ぎたとき、ドイツ人が多数会場に入ってきた。 その中に緑色のスーツを着たひときわ目立つ女性がいた。

 実はこの女性が、本日のレセプションの主役、エヴェリーン・レムケ(Eveline Lemke)さんであった。彼女はドイツの南西部にあるラインラント=プファルツ州(ドイツ語:Rheinland=Pfalz)の経済・気候保護・エネルギー・国土計画大臣である。何とも所掌分野が広い大臣である。日本でもかなりさまざまな分野、領域にまたがり兼務している大臣がいるが、ここまで幅広い分野にまたがる大臣にはお目にかかったことがない。

 ※ エヴェリーン・レムケ(Eveline Lemke)さんのWikipedia ただしドイツ語

 しかし、よく考えれば脱原発が日本のように石油、石炭火力発電所の増加に向かえば、間違いなく気候変動問題そしてく地球温暖化問題を深刻化させることになります。実際日本はそうなっています。これにより温室効果ガスが急激に増えるとともに、円高と原油価格の上昇により電気料金も上昇しっぱなしであり、国民生活もかなり疲弊している。
 
 その意味では脱原発が温暖化問題を加速化させないためには、再生可能エネルギーを重視する政策、施策をとることにより、気候変動問題を悪化させないことが極めて重要である。

 その観点から、ラインラント=プファルツ大臣の経済・気候保護・エネルギー・国土計画という所掌範囲は極めて大切なものといえよう。まして経済まで含まれていることから、まさに経済と環境を調和させることで持続可能経済社会を構築する上で重要な大臣の担当範囲となる。このような広範囲を担当する大臣はドイツだけで無く、世界広しといえ他国、他州にはないのではないかと思う。

 周知のように地球温暖化、気候変動問題に先進国、途上国を問わず世界で一番熱心であり、理念、戦略、計画だけで無く、具体的にCOなどの削減に取り組んできたのはドイツである。その観点からすればラインラント=プファルツ州の試みは十分頷けるものである。
 
 緑色の派手目のスーツを着ている若い女性は、総勢約20名のスタッフを引き連れ、ドイツのラインラント=プファルツ州からはるばる日本に来られたミッション(使節団)の団長だったのである。ちょっとやそっとでは驚かない私だが、これには少々驚いた。

 レセプションがはじまり、最初に挨拶に立ったのは、在日ドイツ大使館の首席公使のシュテファン・ヘルツベルグさんだ。後に大使館員の女性に伺ったら、本来この種の会合での挨拶は、必ず在日ドイツ大使が行うのが習わしだそうだが、大使がどうしても外せない所用で不在となったので、首席公使が挨拶をすることになったという。

 下の写真は首席公使のシュテファン・ヘルツベルグさんである。写真は左から使節団長でもある大臣のエヴェリーン・レムケさん、在日ドイツ大使館首席公使のシュテファン・ヘルツベルグさん、そして通訳の女性である。
 

撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-7-11

 公使のご挨拶で、やっとこのレセプションが何たるかが分かった。

 以前、日本の脱原発首長会議所属のメンバー(市区町村長ら)がドイツのラインラント・プファルツ州に再生可能エネルギーをベースにした新たな持続可能なまちづくりを現地視察し議論しており、今回は、逆にドイツのラインラント=プファルツ州の方々が日本を訪れ、日本の自治体を視察した上で、翌7月12日に東京で脱原発のまちづくりについてシンポジウムを行う、そのための交流レセプションであることが分かった。


この写真は日本の使節団にドイツで対応した大臣と
その政策、技術スタッフチームの写真である

 すなわち、7月11日は、日独自治体の首長らが在日ドイツ大使館に一堂に会し、懇親をかね情報交流するためのレセプションであったのである。

 もっぱらそれでも私がなぜ招待を受けたかは分からなかったが、上記のような趣旨でのレセプションであれば、おそらくこの5月、京都市で開催された脱原発首長会議主催の勉強会に青山と鷹取が呼ばれ、原発事故時の放射性物質の拡散シミュレーションなどを講演そして実演し、首長らと議論している。その関係で招待されたのだと分かった。ここまで分かるのが大変だった(笑)。

 下はレセプションで挨拶するエヴェリーン・レムケ大臣(左端の女性)である。背が高く姿勢も良く、はつらつとした女性である。話しの内容も実に起承転結、明瞭だった!


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-7-11

 レムケ大臣は20人にのぼるスタッフや専門家、企業関係者をドイツから引き連れてきたのだが、下はそのうち直属の大臣をサポートするスタッフである。

 レムケ大臣以下、バーバラさん、ヴィクトリアさん、クリスチャンさん、そしてダニエラさんの紹介
である。

 これもレムケ大臣側があらかじめ日独両国の言語で作成していた。これもびっくりである。4人はともに大臣の事務局長とある。経済・気候保護・エネルギー・国土計画と、いずれも先進諸国いや世界各国で重要な政策分野を多くの女性が担当しているではないか!何とすばらしい。私はこれだけでも感動してしまう。




 残念ながら今回はビデオカメラもICレコーダーも持参しなかったので、エヴェリーン・レムケ大臣の挨拶を録音することができない。しかし、帰り際に大臣からいただいた資料の中に、彼女が行った挨拶とほぼ同じ内容の文書があったので、以下に紹介したい。



 レムケ大臣の挨拶は簡潔かつ要点をついたものであり、今回のミッションの目的が明確に述べられている。

 在日ドイツ大使館のレセプションには、ドイツ側からは大臣を含め20名のミッション(使節団)が参加、日本側からはざっと60名ほどの脱原発首長会議メンバーである全国各地の市町村長やそのスタッフが参加され、10名ほどの大使館関係者と日本側事務局、それに青山が参加したことになり、全員で立食形式でフランクな意見交流が行われた。


日独脱原発自治体レセプション ドイツ大使館にて
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-7-11

 挨拶文からも分かるように、ラインランド=プファルツ州から来られた20人は、州政府の大臣、大臣の政策スタッフ、公益事業者、企業関係者らである。

 重要なことは、このミッションがとかくありがちな単なる理念としての脱原発の共有ではないことだ。もちろん理念の共有は大切だが、3.11から3年以上経っており、いかに具体的に、どうすれば再生可能エネルギーにより脱原発の地域経済づくり、環境と共生する持続可能なまちづくりが可能となるかについて、ドイツの地方都市における具体的、先進的な実践例を日本の市町村長に伝えるという明確な目的を持っていたのである。これは実にすばらしいことである。

 とかく日本では総論賛成でも、具体的な政策、計画、施策の段階になるといろいろな制約や困難により挫折したり、遅々として進まないことが多いから、具体的に実務ベースでまちづくり、それも再生可能エネルギーを基盤としたまちづくりをどう進めるかについての経験交流は、今の日本にとってきわめて大切であると言えよう。しかも、自治体相互で意見、経験交流することの意味と価値は大きいと思う。

つづく