日本国民は不幸 遠因は男女格差(2) 青山貞一 掲載月日:2013年6月2日 独立系メディア E−wave Tokyo 無断転載禁 |
次に、ミシガン大学とOECDの調査で用いられた個別の社会経済指標を見てくると、 ・ミシガン大学は、@家族関係、A家計の状況、B雇用状況、Cコミュニティと友人、D健康、E個人の自由、F個人の価値観 ・OECDでは、@「住宅」、 A「収入」、 B「雇用」、 C「コミュニティ」、D「教育」、 E「環境」、 F「ガバナンス」、G「健康」、 H「生活満足度」、 I「安全」、J「ワークライフバランス」の11 分野の指標となっている。 これをみてなるほどなと思う日本人がどれだけいるかは分からないが、言えることは、幸福度は決して経済的要因だけではない、とりわけGDP世界第二位ばかりを強調してきた日本政府の言い分とは異なることである。 <参考> ◆青山貞一:目指すべき私たちの幸福とは何か? 日本人が不幸な原因(1) ◆青山貞一:目指すべき私たちの幸福とは何か? 日本人が不幸な原因(2) ◆青山貞一:目指すべき私たちの幸福とは何か? 日本人が不幸な原因(3) ◆青山貞一:目指すべき私たちの幸福とは何か? 日本人が不幸な原因(4) ◆青山貞一:目指すべき私たちの幸福とは何か? 日本人が不幸な原因(5) |
出典:OECD
OECDの指標で興味深いのは、日本の「ワークライフバランス」が極端に悪いことである。2つの指標がともに35位と最下位に近い。これは何かというと、自由時間が少なく、長時間労働が多いと言うことを意味する。 女性の社会経済的参加が先進国で最下位の日本では、結果的に男性の労働時間が長くなるという側面もあるが、実は上司が残っているからとか、ただ机にしがみついているだけで、長時間労働の割には労働生産性が低いという指摘もある。 ところで、ランキングでダントツのデンマークについて調査してみると、次のようなことがわかってくる。以下はデンマークに長期滞在あるいは永住した日本人の意見も含まれる。 ●「幸福度調査」で世界で5調査中4調査で1位のデンマークの特徴 @ 女性の地位向上 A女性の労働力確保と子育て支援 B高齢者福祉 C本格的社会制度 D教育の拡充 E男女共同参画社会の実現 F教育・医療・福祉の拡充 もう少し他の角度からデンマークを見てみると、 @医療、生活水準、及び基礎教育を受ける機会に関連した経済的要因 A世界最高水準の国民1人当たり 国内総生産(GDP) B高い教育レベル C生き方の選択の自由 D男女平等の推進 E少数派に対する寛容さ ということになる。 デンマークという国の社会経済的な特徴をよく見てみると、女性の地位、女性の社会経済参加、男女平等など女性に係わるものが多いことに気づく。 デンマーク・コペンハーゲンの中心部にあるクリスチャンボー宮殿の前で 撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 15 Feb. 2010 春から秋の季節のコペンハーゲンの景観 出典:Wikipedia これは、何もデンマークに固有なものではなく、いわゆる北欧、スカンジナビア諸国に共通していることである。また、カナダ、オーストラリア、さらにアイルランドや現在は英国(UK)となっているが、スコットランドや北アイルランドなどにも共通に見られることである。 すなわち、直接的に幸福度調査の社会経済指標にはジェンダーあるいは男女平等に係わる指標は入っていないが、デンマークや幸福度調査で上位諸国である北欧、スカンジナビア諸国、イングランド以外の英国連邦ないしそれに属する国々(アイルランド、北アイルランド、スコットランド、カナダ、オーストラリア)、それにオランダなどが幸福度が高いことが分かる。これらの国の多くは、議席の半分を女性に割り当てるクォーター制を採用している国が多い。 下の写真は、スコットランド議会の議員である。スコットランドは現在、英国の一員となっているが、もともとは独立した国家であり、スカンジナビア諸国に近い歴史を持っている。スコットランド議会の半数弱は女性議員である。 来年2014年、英国(UK)からの独立を審議するスコットランド議会議員 よく見ると女性議員がたくさんいる 撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 復権なったスコットランド議会にて 池田こみち 撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 つづく |