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ここが変だよ菅政権
@普天間基地問題と菅氏の「変節」

青山貞一
12 June 2010
独立系メディア「今日のコラム」
無断転載禁


 下の「論考」は、2001年8月19日に菅直人氏自身が書いた「沖縄の海兵隊」という題名のブログ(論考)である。

★菅直人:沖縄の海兵隊 2001年8月19日 の本人のブログ

 ブログの中で、菅氏は「民主党の基本的考えは「沖縄の米軍基地の整理縮小のため、国内外への移転を含め積極的に推進していく」べきと、基本政策に述べ、その理由として「沖縄の米軍基地の人員でも面積でも半分以上を占める海兵隊基地が「国内外の移転を含め」整理縮小の検討対象にになることは当然のこと」と述べている。

 また、菅氏は次のように述べている。


 すなわち、「民主党の沖縄政策の中では「アメリカの東アジア戦略構想を再考し、米海兵隊の他地域への移駐を積極的に議論する」と明記されている。 実際に民主党の中で海兵隊の米国内への移転は有力な意見として何度も議論されてきた。私の参院選挙中の沖縄での発言はそうした背景のもと行われたもので、その場の思いつきでもリップサービスでもなく、民主党の基本政策と矛盾してはいない。 基本政策より多少踏み込んだ表現があるとしても、それは政治家としての私の責任で述べたものである」と。

 そして最後に、私自身3年程前民主党の代表として訪米した折にも、アメリカの当時の国防次官にこの主張をぶつけたことがある。国防次官は厳しい顔でメモを見ながら「北朝鮮に対する誤ったシグナルになるから沖縄から海兵隊は撤退はするべきでない」と反論してきた。その理屈も一部理解はできるが絶対ではない。実際には海兵隊基地を米国に戻すより日本に置いていたほうが米側の財政負担が小さくてすむという背景もある。北朝鮮の状況や日米の財政状況が変わってきている中で、沖縄にとって重い負担になっている沖縄海兵隊の日本国外移転について真剣な検討が必要」と結んでいる。

 菅氏が2001年8月19日に書いた沖縄の海兵隊」というブログでは、まさに小沢一郎氏や鳩山由紀夫氏と同等、いやそれ以上に踏み込んで沖縄の米軍基地問題、なかんづく普天間基地問題に踏み込み、海兵隊の国外移設を持論としていたことが明確に読み取れるのである。

 しかし、鳩山政権が「普天間」問題で最終的に沖縄県民そして連立を組んでいた社民党との約束を裏切り、5月末に沖縄県名護市辺野古に普天間基地を移設するという「日米共同声明」を出して辞職した後、すぐさま誕生した菅政権は、上記の持論をかなぐり捨て、普天間基地移設問題について「日米同盟」、「日米合意」を強調したのである。そこでは菅氏自身の持論を曲げ、「日米同盟」、「日米合意」を引き継いだことになる。

 自ら手を挙げ総理になったとたん、いとも簡単に持論を曲げ、日米同盟、日米合意を引き継いだ裏には、当然のことながら菅直人氏自身に何らかの大きな「変節」があるに違いない。

 もとより、少なくとも県外へを持論とし、できれば海外への移設を「腹案」としてきた鳩山氏が前政権(自民党)案である名護市辺野古立地に回帰したのは、平野官房長官(前)、岡田外務大臣、北沢外務大臣らが鳩山氏が政権交代前からの意向である海移設を無視し、前政権(自民党)や米国の意向を重視し、徹底して海外移設のあらゆる芽を摘んだことにあることは随所にころがっている状況証拠から明らかである。

 この問題に関しては、外務・防衛両省の官僚やそのOBそして平野、岡田、北沢の3大臣だけでなく、大メディアも徹底して米国と前政権が交わした日米合意に追随することが唯一の解決策と喧しく報道をすることで、国民、世論を誘導を辺野古回帰に誘導してきた経緯がある。

 情報操作により世論誘導したのは何も国民だけでない、なによりも上の面々は、鳩山総理を取り囲み、情報を遮断するとともに、いまや時代錯誤の抑止論や防衛論を徹底的に吹き込み、洗脳してきたのである。ひとのよいノー天気で八方美人の鳩山由紀夫氏は、まんまとそれにひっかかり、さらに5月末をデッドラインと設定したことで墓穴を掘った。

 しかし、鳩山氏はどうも変節して辺野古に回帰したのではなく、関係の絶対性の中で5月末、あのように言わざるを得なくなったと思える。事実、側近には共同声明を発した後も、自分の腹案はグアムなど海外にあると述べたとされている。

 一方、どうだろう。冒頭に記したように、菅直人氏は、ロジカル・シンキングとして沖縄の海兵隊」のなかで、沖縄海兵隊の海外移設を明確に持論としていたにもかかわらず、降ってわいた総理の座に飛びついた直後に、辺野古回帰の日米共同声明をはっきりと追認したのである。これはまさに「変節」以外のなにものでもないだろう。

 以下に政権交代後の普天間基地移設、とくに海外移設に関する経緯と事実を要約するが、副総理、財務大臣など鳩山政権の中枢にいた菅直人氏は、これらの経過と事実についてどう考えていたのだろうか? 当然、知らないや他人事で済むはずはない。

つづく