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ユダヤ人(2)
民族性・ユダヤ民族の区分や宗教的集団

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E-wave Tokyo 2023年11月7日

M. Gottlieb画、シナゴーグで祈るユダヤ人(1878年) Source: WikimediaCommons  パブリック・ドメイン, リンクによる

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民族性


11世紀の翻訳書  Source: WikimediaCommons パブリック・ドメイン, リンク


オスマン帝国の 1453 年から 1793 年までのユダヤ商人の旗 Source: WikimediaCommons Source: WikimediaCommons

 歴史上、ヨーロッパのキリスト教社会で多くの中傷や迫害を受けたが、現在でもユダヤ人は民族(コミュニティ・ユダヤ教徒)として存続している。

 ユダヤ教徒は教義上イエス・キリストをメシアと認めなかった(メシアニック・ジューは異端視された)。また、イエスに従った使徒もユダヤ人であったにもかかわらず、キリストはユダヤ人によって十字架にかけられたという俗説が古代から中世にかけて流布し、それまで「神に選ばれた選民」だったユダヤ人は一転して「神(イエス)を殺した賎民」と差別されるようになった。

 こうした宗教的な理由や、ユダヤ人はキリスト教社会で疎まれていた金貸しが多かったという経済的理由が歴史的な反ユダヤ感情の要因としてしばしば挙げられる[20]。

 18世紀ごろから宗教的迫害が薄れていったことで、ユダヤ人は自由な信仰、活動が可能になり、さまざまな商工業分野でユダヤ人が活躍するようになった。近現代には企業の創業者や科学者を多数輩出している[21]。

 ユダヤ人はタルムードに従って行動すると思われているが、それはラビ的ユダヤ教徒の場合に限られる。ただし、一般的なユダヤ人の宗教はラビ的ユダヤ教である。ユダヤ人は何よりも学問を重視すると言われる。紀元70年にローマ軍によりイスラエルが一度滅びたときもラビ・ヨハナンが10人が入れる学校を残すことを交渉し、ローマ皇帝ティトゥスがこれを許したため、ユダヤ人は絶滅を免れた。

 今ではもっとも知的な民族集団のひとつと考えられており、民族別知能指数では世界でもっとも高く[22]、一例としてノーベル賞の22%、フィールズ賞の30%、チェスの世界チャンピオンの54%がユダヤ人であるとも言われる。カール・マルクス、ジークムント・フロイト、クロード・レヴィ=ストロースなど、近現代の哲学・思想方面のキーパーソンを輩出しているほか、音楽業界にもユダヤ人が多いことが知られている[23]。

 ただしこういった民族主義的差別(贔屓)とも捉えられやすい統計論は、大衆に誤った認識を与えることもある。すなわち、前述したようにユダヤ人とは他の「〜人」と呼ばれるような血縁集団とは異なり、あくまでも文化的集団として大枠で定義されているため、上記の統計結果から「ユダヤ人の血が流れている者は優秀な者が多い」といった結論に至るのは誤りであり、正確には「長きにわたって迫害されながらもあらゆる地域で継承されてきた歴史を持つユダヤ教の教育方法は、他言語・他文化への適応術やリスク管理能力養成などの面で優れているのではないか」といった程度の帰結にとどまる。

 ドイツを中心とした地域に住みつき、中欧・東欧へ拡散したユダヤ人は、アシュケナージ(アシュケナジム)と呼ばれ、ドイツ語の方言であるイディッシュ語を話していた。近代のドイツ語圏では彼らはある程度ドイツ文化に同化してドイツ語を使用するようになった。

 中世前期のヨーロッパでは、ユダヤ人は農業、商業、職人などさまざまな職業に従事することができた。カロリング朝ではユダヤ人は聖書の民として保護され、11世紀頃までは国際的な交易の担い手でもあった。イタリア商人に東方貿易のお株を奪われると、ユダヤ人は消費貸借専門の貸金業に活路を見出した。

 中世後半期には、土地所有の禁止、ギルドからの締め出し、公職追放等により次第にユダヤ人の活動は制限されるようになり、農業や手工業に従事することが困難になったユダヤ人は、質屋、両替商、黄金の管理人、古物商、行商や市場での無店舗販売、芸能などで生計を立てていた。

 また、世界的に散らばり独自の情報ネットワークを持っていた。アルトゥル・ショーペンハウアーは「フランクフルトでユダヤ人の足を踏んだらモスクワからサンフランシスコまで情報が行き渡る」と指摘していた。こうしたことから、現在でもユダヤ人にはメディア関係が多いとされる。

 またロスチャイルド家は銀行業で成功したユダヤ系財閥として知られる。19世紀末のアメリカ合衆国のユダヤ系移民もまた、金融やメディア、流通業などの間隙的な業種以外の業界への参入が難しかった。ハリウッドの映画産業にはユダヤ人が創業したものが多い[24]。

 スファラディ(セファルディム)系ユダヤ人は、オスマン帝国圏やスペイン・フランス・オランダ・イギリスなどに多く、かつてはラディーノ語を話していた。キリスト教に改宗した人々はマラーノと呼ばれた。

 アシュケナージや、スファラディといったヨーロッパに移り住んだユダヤ人に対して、中東地域、アジア地域に移り住んだユダヤ人はミズラヒム(ミズラヒ)と呼ばれていた。

 ほかにもイラン、インド(おもに3集団)・中央アジア・グルジア・イエメン・モロッコなどを含んだ大きな観念であるミズラヒム、カライ派・カライム人、中国、ジンバブエなどのユダヤ人のほか、インド(ミゾ族(英語版))・ウガンダ(アバユダヤ(英語版))・アメリカ黒人(ブラック・ジュー)などの新たな改宗者、イスラエル建国はメシア到来まで待つべきだとするサトマール派・ネトゥレイ・カルタ、キリスト教関連のメシアニック・ジュダイズム、ネオ・ジュダイズムなど多くの分派もある。エチオピア・ベルベルのユダヤ人は孤立して発展し、タルムードを持たない。

 現在世界に散らばるユダヤ人は、すべてがユダヤ教徒というわけではないが、ユダヤ人にとってユダヤ教は切り離せない宗教である。写真はユダヤ人の言語(ヘブライ語)から各国語に翻訳された聖書の一部である。


ユダヤ民族の区分と宗教的集団

 世界に散らばったため、世界のユダヤ教徒のコミュニティーや宗教的集団には以下のように複数がある。

 スラエルに住むユダヤ人は、アシュケナジムと呼ばれる欧米系のユダヤ人と、それ以外のアジア・アフリカ系のユダヤ人を意味するセファルディムに大別される[13]。

イシューブ
 イシューブとは、1948年5月14日イスラエル建国以前からパレスチナ地域に住んでいたユダヤ教徒

アシュケナジム
 アシュケナジム-ユダヤ系のディアスポラのうちドイツ語圏や東欧諸国などに定住した人々。中欧・東欧出身のユダヤ人であり、シオニズム運動の推進役を務めた。一般に教育・文化水準が高く、イスラエルでも指導的役割をになっているエリート層が多い[25]。

アイルランドのユダヤ人(英語版)(ツァルファーティー・セファルディムとアシュケナジム)

ロマニオット(「ローマ人」、ユダヤ系ギリシャ人)
 イタリアのユダヤ教徒(英語版)。
 北部にはアシュケナジムが多い

ツァルファーティー
 フランス系ユダヤ教徒(英語版)で、消滅した世代と残留者、新しい世代(諸地域・諸国からの移民)

セファルディム セファルディム
-イスラエルにおける「アシュケナジム以外のユダヤ人」を広く指す言葉。このうち中東・アフリカ系だけは「ミズラヒム」と 別にする場合もある。本来は、中世にイベリア半島(スペイン、ポルトガル)に住んでおり、イベリア半島からの追放後にアジア・アフリカ地域に移住したユダヤ人の子孫を指す言葉[13]。

インドと周辺のユダヤ人(英語版)

 コーチン・ユダヤ人
 クナナヤ(英語版)(キリスト教徒)

 ベネ・イスラエル

 ボンベイ・ユダヤ人(英語版)

 バグダーディ・ユダヤ人(英語版)(イラク系)

 マニプール・ユダヤ人(集団改宗者)

中国のユダヤ人(英語版)
 開封市のユダヤ教徒

ハザールのユダヤ人
 クリミア・カライム人(カライ派)

クリムチャク人

ミズラヒム (英語版の記事「Jews by country List of Jews from the Arab World」も参照) ミズラヒムとは、セファルディムの中でもアラブ世界などイスラム教が多数派の社会に住んでいたユダヤ人の総称。 (エジプト、メソポタミア、モロッコ、トルコ、ペルシアなどのコミュニティーに関しては英語版の記事「Islam and Judaism」も参照)

北アフリカのユダヤ人(マグレビーム(英語版))

 モロッコのユダヤ人

 アルジェリアのユダヤ人

 フランス植民地統治下のアルジェリアでは、原住民のイスラム教徒が参政権を持たない下級市民とされたのに対し、ユダヤ教徒(セファルディム、ミズラヒム)に対してはフランスの完全市民権が付与された。このため、ユダヤ教徒はフランス本国からの入植者(コロン) と同化し、フランス語を母語とするようになり、自らをヨーロッパ人と考えるようになった。
このため、アルジェリアの独立時には多くのユダヤ教徒がフランス人としてコロンとともにフランス本国に引き揚げコロンとひとまとめに「ピエ・ノワール」と呼ばれるようになった。ただし、独立以前にもフランス内地へ移住するユダヤ教徒がいなかったわけではない。これらの人々の中からはフランスで著名な歌手・俳優なども多く輩出されている(クロード・ルルー
シュ、エンリコ・マシアス(セファルディム)など)。

チュニジア・ユダヤ人(英語版)

ペルシア・ユダヤ人(Persian Jews)

イエメン・ユダヤ人

ベタ・イスラエル(ファラシャ)(エチオピアのユダヤ人)
山岳ユダヤ人(タート・ユダヤ人。ダゲスタン、アゼルバイジャン、アルメニアのタート人社会の内部)

グルジーム

ブハラ・ユダヤ人(タジキスタンから中央アジア全土)

ブラック・ジュー

アバユダヤ(英語版)

レンバ族(英語版)(ジンバブエ)

その他

サマリア人-旧イスラエル王国領の残留イスラエル人と、移民との間に生まれた人々
ユダヤ=キリスト教徒(英語版)

メシアニックのユダヤ教徒-ユダヤ教の一派を自認するが、旧約聖書(ヘブライ語聖書、タナハ)の預言の成就であるとして新約聖書を受け入れることから、大方のユダヤ教の立場からは異端視されている,

その3

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