ブッシュ大統領一般教書演説
 
2003年1月28日(現地時間)
全体内容目次

●国内・経済

 今議会の会期中、国家にとって重大な国内の問題を改革しなければならない。我々は広く分かち合われる繁栄のために働き、米国民を脅かすあらゆる危険と敵に立ち向かう。我々のゴールは明確だ。仕事を求めるすべての人を雇用するに十分なほど経済を成長させなければならない。

 経済は回復しているが、まだ十分ではない。経済が成長してこそ雇用は生まれる、消費や投資に使う金があるとき経済は成長する。私は2004年と2006年に予定されている所得税減税を今年から実施するよう求めている。この減税は所得税を払うすべての人びとのためであり、経済のためにもなる9,200万人の米国人に平均して1,100ドルの減税となり、収入4万ドルの4人家族の連邦所属税が年間1,100ドル以上の滅税となる。企業の利益に課税するのは良いが、同じ利益から生ずる株式の配当にまで課税するのは公正ではない。財政赤字の間題を解決する最善の方法は経済を成長させ、歳出を抑制することだ。来年度の予算教書で、裁量的支出は一般家庭の収入増と同じ4%増にとどめたい。全国民に質が高く手ごろな医療保障を提供したい。米国の医療システムは先進技術開発のモデルとなっているが、医療費の負担は高過ぎる。

 医療保障がまったく行き届いていない人も多い。環境にも配慮しながら、エネルギーの自給率を高めたい。私は、クリーンエネルギーの技術を開発し、さらに国内のエネルギーを増産する包括的計画を示した。今後15年間で、発電所から排出される太気汚染の70%削減を義務づける法案も提示した。森林保護への配慮も不可欠だ。環境も経済もどちらも重要である。大気汚染を削減するために、燃料電池による低公害軍の研究開発に12億ドルの予算案を出したい。

●対テロ戦・北朝鮮

 米国市民が対テロ戦のニュースを聞かない日もある。しかし、新たな脅威や進行中の作戦についての報告を聞かない日はない、戦い続いている。我々は多くのアルカイダ幹部を逮捕した。多くの国々で、すでに3千人を超える(アルカイダに関運した)テロリストの容疑者が逮捕されている。我々はさらなる攻撃を避けるため、多くの他の国々と緊密に運携している。米国と同盟国はともにイエメンやシンガポールの米国大使館を標的にしたテロ行為などを事前に食い止めた。

 我々はこの戦いがどこで始ったかを忘れない。政府は国土を守り、国民を守るために空前の措置をとっている。我々は国境と港での警傭を強め、生物兵器による攻撃への傭えも進めた。さらに今年、弾道ミサイルに対する防衛システムの配傭も始めている。

 議会に対し、ごれらの措置への支持を感謝する。我々の将来の安全を守るため生物兵器によるテロから国民を守るための大規模な研究・開発を加えたい。炭疽(たんそ)菌やエボラ熱、ペストなどに対する処置やワクチンを早急に用意するための約60億ドルの拠出を議会に求めたい。今夜、私は各情報・捜査機関の長に、テロに関する情報の収集・分析センターを創るよう指示した。今日、テロとの戦いにおいて、米国や世界が直面している最も深刻な危険は核、化学、生物兵器を求め、所有する無法者政権だ。同盟関係にあるテロ国家・集団に武器を売り渡し、それがためらいなく使われる可能性がある。

 米国の責務は変わらない。ヒトラーや軍事独裁、共産主義は自由な人々の意志や偉大な連合、米国の努力の前に敗れ去った。我々は国民の安全とすべての人類の希望を守らなければならない。

 我々は国連に対し、その憲章を守り、イラクの武装解除という要求を貫くよう求める。国際原子力機関(IAEA)の活動を強く支持する。国民を抑圧し、大量破壊兵器の入手をはかりテロを支援しているイランには対話を求め続ける。北朝鮮では、国民が恐怖と飢餓に苦しんでいる。米国は韓国、日本、中国、ロシアと協調し、平和的解決を探っている。北朝鮮に、核兵器は孤立と経済破綻(はたん)と困難の継続をもたらすだけだきわからせる。核の野望を断念さえすれば、世界で尊敬を獲得し、国民にとっての復興を達成できる。

イラク

 12年前、フセインはすべての大量破壊兵器の廃棄に合意した。しかし、彼は過去12年間体系的に合意に違反してきた。査察が続いている間も兵器の開発を続けた。安保理は3ヵ月前に最後のチヤンスを与えた。しかし、彼は国連と国際世論に徹底的な侮辱を示した。イラクは炭疸菌やボツリヌス菌を保有していたが、廃棄の証拠を示していない。我々の情報当局は、フセインが500トンのサリン、マスタードガス、VXガスを作るだけの材料を持っていると試算している。

 我々の情報でほ、フセインが化学兵器用の3万発以上の弾頭を保有していたことが分かつている。イラクはその存在を否定していたにもかかわらず、査察官は、そのうち16発を発見した。フセインはあと29,984発の禁止された弾頭を持っていることについて答えていない。それを廃棄したという証拠も示していない。

 IAEAは90年代後半に、フセインが核兵器開発計画を持っていたことを確認している。英国政府もフセインが最近アフリカから相当量のウランを入手したことを突き止めた。我々の得た情報では、フセインは核兵器製造に使える強化アルミニウム管も入手しようとした。フセインはこの活動について信頼できる説明をしていないし、明らかに多くを隠している。イラクの独裁者は武装解除していない。それどころか我々を歎いている。査察官から書類と材料を隠し、査察場所をきれいに片づけて、査察官を監視している。またイラク政府の役人が巨撃者を脅すために査察官に付き添っている。科学者はイラク政府にどう話すかを指導され、もし査察団に協力すれば家族も合めて殺すと冒われている。

 毎年、フセインは大量破壌兵器を製造し維持するために、膨大な費用をかけている。どうしてか。唯一可能な説明は、支配し、脅し、攻撃するためだ。核兵器や化学・生物兵器を手にすれば、フセインは中東を支配しようという野望を再び抱き、この地域を大混乱に陥れるかもしれない。

 議会と米国国民は、もうひとつの脅威も認織しなけれぼならない。秘密の交信や拘束したテロリストの証言からフセインはアルカイダも合めたテロリストを援助し保護していることがわかった。9月11日の19人のハイジヤツク犯が別の武器も持っていたと想像してほしい。そんな日が来ないように、我々は出来うる限りのことをしなければならない。脅威が差し迫るまで行動を起こしてはいけないという人もいる。しかし、もし脅威が表れるのを許してしまえば、どんな行動も言葉も逆襲も手遅れになる。世界で最も危険な武器を持っているこの独裁者はすでにこれを使い、何千人もの自国民を殺し、傷つけた。もしこれを悪と言わないのなら、悪は意味を持たなくなる。今夜、私は抑圧されたイラクの人々にメツセージを送りたい。イラクを囲んでいる外国ではなく、イラクを治めている者が、あなたたちの敵なのだ。彼(フセイン)が権力から除かれる時があなたたちの解放の日なのだ。

 米国は2月5日にイラク間題を協議するために安保理を開くことを要講する。パウエル国務長官が、イラクの違法な兵器開発計画と査察からの隠蔽(いんぺい)、テログループとの関係について情報を示す意見を聞く用意はあるが、誤解しないでほしい。フセインが十分に武装解除しないなら、米国は(国家の)運合を率いて武装解除に乗り出す。米軍の兵士諸君。重大な時が近づき、戦いの成否は諸君にかかっている。諸君が米国を信じれば、米国は諸君を信じる。

 兵士を戦場へ送ることは、大統領にとって重大な決断だ。戦争の技術は変化しても、戦争のリスクと苦しみは変わらない。米国は進んで戦うわけではない。後に続く葬送の日々の悲しみを知っているからだ。戦争を強いられれば米軍は正義の名の下に全力で戦い、勝利するだろう。アフガニスタンで進めているように、イラクの人々に食糧と薬品と物資と自由をもたらそう。

 過去2年、多くの試練を経た米国は、小異を捨てて大義のために静かに団結した。米国民は意志の堅固な国民であり、時の試練に耐えてきた。逆境の時にこそ米国の気骨があらわになる。

 米国は強い国家だ。力の行使においては名誉を重んずる。他国民を征服し、その自由を犠牲にすることは決してない。米国民は自由の民だ。

 自由はすべての人の権利であり、すべての国の未来だ。自由は米国がもたらすものではない。神のたまものだ。