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安倍辞任と首相の資質


佐藤清文

Seibun Satow

2007年9月13日


無断転載禁
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すべて執筆者である佐藤清文氏にあります。


  「上直なれば下安し」。


 その一報をTBSが伝えて以降、メディアには「無責任」や「未熟」。「ひ弱」、「気紛れ」、「気まま」、「最悪のタイミング」、「非常識」といった言葉が踊り、噂や憶測、陰謀、操作情報が飛び交っています。

 なぜ今なのかは依然としてわかりませんが、はっきりしているのは、2007年9月12日、安倍晋三内閣総理大臣が辞任を発表し、翌日、慶応大学病院に向かったということです。

 国会や有権者を愚弄したこの唐突な辞任は、ある意味で、安倍首相を象徴していると言えます。彼には、総理に選出される前より、著しく論理的なコミュニケーション能力に欠けているのは明らかだったからです。最後の記者会見でも、いつもと同様、脈絡がなく、支離滅裂で、思いつきや思い込みだけで話をしているという印象だけが残りました。

 所信表明演説をして、代表質問の前に辞任を表明するというのは前代未聞ですが、これまでも政権を投げ出した首相はいました。田中義一、平沼騏一郎、近衛文麿、細川護煕などいずれも経験不足で、首相が務まる人材ではありませんでした。

 政治のリーダーには、柔軟性(Flexible)があり、したたか(Tough)で、信頼できる(Reliable)人物がふさわしいものです。この三つの資質を彼は兼ね備えていませんでした。安倍首相は人事で失敗したと思われていますが、マザコンで、汚い野次を飛ばすしか能がなく、厚生労働省が難病と指定する潰瘍性大腸炎を患っている議員を首相に期待した政治家やメディア、言論人、世論も、同じくらい見る眼がないと言わざるをえません。歴史から学ぶべきだったのです。

 安倍晋三は戦後最低の総理大臣として歴史に記憶されていくでしょう。

〈了〉