エントランスへはここをクリック   
1兆円“福田ダム”壮大な無駄
   臨時国会で火ダルマ必至
     民主党は追及に手ぐすね

《『日刊ゲンダイ』8月21日号》

掲載:2008年8月20日


 
1兆円“福田ダム”壮大な無駄
   臨時国会で火ダルマ必至
     民主党は追及に手ぐすね

 
通常国会が道路国会ならば、臨時国会はダム国会──こんな展開が見えてきた。

 道路ではインチキデータによる無駄な建設や国交省役人のデタラメが「これでもか」とあぶり出されたが、ダムにも同じ構図がある。

 そして、「日本一無駄なダム」といわれているのが福田首相のお膝元、八ッ場ダム(群馬県長野原町)なのである。

 「八ッ場ダム建設にかかる国民負担額はなんと、8800億円。福田首相の父親、赳夫氏が旗振り役になったことから、地元では“福田ダム”といわれている。建設を巡って、50年以上もスッタモンダが繰り返されてきた問題ダムです。まず、目的が曖昧(あいまい)。

 利水や治水が目標に挙げられていますが、下流域の水需要は減少傾向にあり、治水効果も乏しい。そのうえ、巨大ダムのため、国道145号やJR吾妻線、川原湯温泉などが水没する。代替地の整備は遅れているし、代わりの付け替え道路は空中を通る計画で莫大な盛り土を必要とする。

 地盤も脆弱(ぜいじゃく)で、建設費用が1兆円を突破するのは確実なのです。地元の豊田武夫・川原湯池区区長も『ダムを造るなら水没地域の住民に安全な代替地を』と反対していて、何のためのダム建設なのかが問われています」(現地を取材したジャーナリスト・横田一氏)

 民主党も追及に本腰だ。今月18日、鳩山幹事長ら約30人の国会議員や立候補予定者が現地を視案に訪れ、「次期衆院選のマニフェストに八ッ場ダムの建設凍結を盛り込むように働きかける」(鳩山幹事長)と宣言。

 ガソリン値下げ隊で話題になった川内博史衆院議員も「ダムの費用対効果の水増し疑惑について道路と同じように追及する」と息巻いた。

 福田首相も“福田ダム”には異常にナーバスになっている。先の通常国会で大河原雅子参院議員(民主党)が「福田ダムの計画見直しを迫った際には、「“福田ダム”とは初めて聞いた。造語はなさらないようにしていただきたい」と逆切れしていた。

 「実は福田首相は03年の総選挙期間中、八ッ場ダムなどの工事を受注していた地元の建設業者から献金を受けていたのです。20万円でしたが、公職選挙法に抵触します。ダム建設では莫大な税金が業者に流れる。ダム建設で水没する国道145号付け替え工事は10.8キロで786億円という事業です。福田首相は国会答弁でも『ダムは必要』との立場を明確にしているが、民主党は『このダムを凍結せずに、何が“行政の無駄ゼロプロジェクト”だ』と批判を強めています」(横田一氏=前出)

 臨時国会は冒頭から荒れそうだ。