自民党に「信念」や「筋」 があるとはとても思えない 日刊ゲンダイ 掲載:2006年11月29日 |
------------------------------------------- 大騒ぎして大マスコミが利用された茶番の田舎芝居も終幕を迎えているがすべては欲と金だけの議員集団・自民党の内幕を選挙民は忘れては駄目だ ------------------------------------------ 3カ月間もバカ騒ぎした造反議員の「復党問題」が決着した。復党させろ、いやさせるな、と大騒ぎしていたが、なんのことはない、フタを開けてみれば、壮大な茶番劇、田舎芝居だった。 平沼赳夫を除く11人が自民党に復党することは、とっくの昔から決まっていたことだ。 「平沼ひとりが、『郵政民営化の実現に邁進する』という誓約書を提出せず、誓約書を出した11人の復党を認めるというのは、事前のシナリオ通りです。この1週間、中川秀直幹事長と平沼が復党の条件をめぐって激突したのも、すべては11人全員をスンナリ復党させる仕掛けのようなもの。 中川vs.平沼の対決にマスコミの注目が集まったため、ほかの11人は批判を免れた。もし、2人に注目が集中しなかったら、野田聖子や堀内光雄にもスポットライトが当たり、復党問題はもっとモメた。佐藤ゆかりあたりが騒ぎ、12人全員が世論の袋叩きにあったはず。 平沼が弁慶役になって、11人を無傷で党に戻した格好です」(政治アナリスト・伊藤惇夫氏) 11人さえ復党させてしまえば、目的は達せられたも同然だ。資金力の弱い11人は、どうしても年内に復党する必要があった。 だが、4億539万円と政界トップの政治資金を集める平沼はビクともしない。平沼本人は、来夏の参院選で、岡山選出の片山虎之助を全力で支援して当選させたら、功労者として堂々と復党する予定だという。晴れて12人全員が復党である。こんな茶番劇はないだろう。 ◆ 自民党も平沼もメンツを保った最高の決着 ◆ 大新聞・テレビは、もっともらしく「対立する中川vs.平沼」「平沼氏 高い壁」などと解説していたが、一体、何を見ていたのか。 中川幹事長と平沼が妥協せず、一歩も引かないように見えたのも、お得意のヤラセのようなものだ。 「今回の復党劇は、自民党、平沼、双方にとって最高の結末です。『私は筋を通し、信念を重んじて行動してきた政治家だ』と、ぶれない政治家を売り物にしてきた平沼は、誓約書を提出しないことで面目を保った。 自民党も、中川幹事長が『自民党は筋道を通すべきだ』『国民と約束したことを断固、実行していく』と復党のハードルを下げなかったことで、国民からの批判を最小限に食い止められる。自民党も平沼も、してやったり、とニンマリしているはずです」(政治評論家・山口朝雄氏) 大マスコミは、自民党の茶番劇にまんまと利用されたのだから、いい面の皮だ。 ◆ カネと票だけが目的の薄汚れた復党劇 ◆ しかし自民党のどこに「信念」や「筋」があるというのか。今回の復党問題だって、造反組を戻す最大の理由は「カネ」と「選挙」のためだ。 復党の条件に郵政民営化への賛成とか安倍の所信表明演説への支持といった「踏み絵」を踏ませたのは、世論の反発を避けるための目くらましでしかない。政治評論家の有馬晴海氏が言う。 ....... ─────────────────────── ■ 復党問題決着 どうなる刺客議員哀れな末路 ─────────────────────── ◆ 小選挙区奪われ、やがて比例からも追放の運命 ◆ 自民党の復党問題の決着で、刺客議員たちの悲鳴が聞こえてくる。 きょう(28日)、「抗議集会」が開かれるが、党の決定が覆ることはない。小泉前首相にも突き放された「使い捨て議員たち」の運命は哀れだ。 「復党することが決まった造反議員11人が次に要求するのは、支部長の奪回です。今のところ、自民党公認で戦った刺客候補たちが、小選挙区では負けたものの支部長になっていますが、当然、復党した議員は“小選挙区で勝った者が支部長だ”と言い出す。 でないと、政党助成金は支部長へ行き、復党議員たちは比例議員と同じ扱いになる。それが次の総選挙で固定化すると困るからです」(政界事情通) 復党組のひとり、山梨2区の堀内光雄元総務会長(76)は次の総選挙で息子にバトンタッチだというが、地盤を譲るには支部長の座がどうしても必要。財務官僚出身の刺客、長崎幸太郎議員が小選挙区を死守するのは苦しい。 それだけじゃない。 「ベテラン議員たちが自民党に戻ったことで、地元でも刺客追放が始まる。たとえば注目の岐阜1区は自民党組織の大半が、復党の野田聖子派。佐藤ゆかり議員を推している県議たちも、これをきっかけに野田陣営に走り、佐藤ゆかりは孤立化ということが十分ある。他の10選挙区も状況は同じです」(関係者) ..... |