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貧困層の教育を奪う
安倍教育改革


日刊ゲンダイ

掲載:2006年10月31日


─ Dailymail Businessより ─────────
■ いま大変な事態が進行している
■ 問題の教育基本法改正で国民の格差はますます拡大し貧乏人は
■ マトモな教育を受けられない現状がもっと酷くなるのをご承知か
■ こんな安倍政権を支持するのは危険だ
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学校を荒廃させ教育をメチャクチャにしてきた自民党政権がいまさら教育再生とか教育基本法改正とかいってもチャンチャラおかしいだけ
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 教育基本法が昭和22年の制定以来、初めて「改正」されるかどうか注目されている。安倍首相はきのう(30日)から再審議がスタートした衆院教育基本法特別委員会で、「公教育の再生は内閣の最も重要な課題」「教育の再生のためにも、速やかに(同法案の)成立を図っていただきたい」と、やたら「再生」をアピールしていた。

 だが、この改正法案が成立すれば、どんな恐ろしい事態が待ち受けているか国民はご存じか。

 松山大学の大内裕和助教授(教育社会学)が月刊誌「世界」(12月号)で、「教育基本法改正が格差社会の拡大と固定化をもたらす」と衝撃的な提言をしている。マスコミの議論は「愛国心」だけに集中しているが、その陰に隠された「格差社会の助長」こそ一番の問題だというのだ。なぜ教育基本法改正が格差社会を助長するのか。

(1)改正案では現行法の「能力に応ずる教育」が「能力に応じた教育」へ変えられる。これは能力の上下によって教育機会が差別化されることを容認する表現であり、教育の機会不平等が促進されてしまう。

(2)「各個人の有する能力を伸ばしつつ」との改正文言も、義務教育の重要な役割である平等化を放棄させ、出身家庭や出身地域による教育格差を拡大し、階層の固定化をもたらす。

(3)また「水準を確保」という文言も、全国学力テストなどによって義務教育における競争や能力主義を一層推し進める――。

◆ 貧困層の教育を奪う安倍教育改革 ◆

 大内助教授はこう警鐘を鳴らしているのだが、確かにこの改正案が成立してしまえば、文科省や教育の現場が勝手に条文を解釈し、勉強についていけない生徒を切り捨てるのは目に見えている。

 「教育格差絶望社会」の著者、福地誠氏も教育現場の現状を踏まえてこう言う。

 「今は校内暴力がどんどん低年齢化していて、小学校は過去最悪レベルです。これは明らかに小学生の段階で『勝ち組』『負け組』が生まれたことの弊害。3、4年生でも私立中学を目指すか、地元の公立中学に進むかで今後の人生が決まったかのように扱われるのだから無理もありません。家が貧しくて塾にも通えず、『負け組』の烙印を押された子供は、やり場のないストレスを暴力という形で爆発させているのです」 こうした教育格差にお墨付きを与えてしまうのが教育基本法改正案なのである。

 小泉構造改革によって、日本では生活保護世帯が100万を突破、貯金ゼロ家庭は23.8%まで上昇し、修学旅行費や学用品代を払えない児童・生徒が12.8%に急増している。この貧困層の子供は教育を受ける機会と権利をどんどん奪われているが、安倍教育改革がさらに加速させようとしているのだ。

 教育基本法の理念に反する格差助長改正案は、自公政権の圧倒的多数によって11月上旬の衆院通過が予想されているが、こんな改悪法案が通るようではお先真っ暗だ。

◆ いじめ自殺や履修漏れの学校を生んだのは誰か ◆

 いま世間で話題になっているイジメ事件や必修科目の履修漏れ騒動にしたって、根っこは同じだ。連日ニュースになる学校の荒廃を安倍首相は「教育改革」の追い風に利用しているが、とんでもない話である。受験競争のエスカレートを国が黙認・放置してきた結果、目配り余裕のない教師や子供間の差別を生み、受験に関係ない科目の履修漏れだって起きてきた。