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情報を総合すると
ほとんど無意味な北朝鮮制裁



日刊ゲンダイ

掲載:2006年10月17日


─ Dailymail Businessより ───────
■ 情報を総合するとほとんど無意味な北朝鮮制裁
■ 彼らのいう物理的対応とは一体何なのか
■ 結局、北朝鮮の恐喝外交は体制が崩壊しない限りいつまでも
■ 続き世界の不安は無くならないということにならないか
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武力攻撃で潰すことはできないし、中国韓国は援助をやめないし、国民がどんなに飢えてもかまわないし、むしろ北朝鮮が世界の中心になったと喜んでいる金正日に国連決議や日本の制裁など全く無力じゃないのか
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 結局のところ、国連が一致して北朝鮮制裁を決議しても、事態は何も変わらないのではないか。

 連日、新聞各紙には「北朝鮮危機」に関する解説記事があふれているが、情報を総合すると、北朝鮮制裁はほとんど無意味に見えてくる。

 そればかりか、悲願の核を手にした金正日は、「世界が北朝鮮中心に回っている」と意気揚々だろうと産経新聞はウラ読みしている。

 91年の北朝鮮の国連加盟以来初となる北朝鮮への制裁決議採択。

 議長国としてリーダーシップをとった日本政府は大喜びのようだが、この北朝鮮包囲網には抜け道が多すぎる。

 大量破壊兵器の開発につながる「モノ、金、人」を封じ込めるというが、中国は早々と「船舶検査は行わない」と表明。

 韓国も、工業団地建設など経済支援を続行する方針だ。陸続きであり、北朝鮮貿易の6割以上を占める中韓がこの姿勢では、「制裁には最初から大きな穴が開いた形だ」(朝日新聞)という通りである。

 「北朝鮮が暴発し、大量難民が発生した場合、最も被害を受けるのが中国と韓国。地球の反対側のアメリカがいくらせっついても、北朝鮮を決定的に追い詰めるわけにはいかない事情があるのです」(東京国際大教授・前田哲男氏)

◆ すでに100万人餓死も覚悟 ◆

 だから新聞の論調も、「北朝鮮はすでに国際経済から孤立しているため、経済制裁の効果には疑問の声も多い」(毎日新聞)のである。

 それでも日本の貿易中止でダメージになるとの見方も多いが、金正日は大衆がいくら餓死しようが気にしない独裁者。

 水害で100万人の餓死者が出た1996年の危機も乗り切ったし、今回だって内閣機関紙「民主朝鮮」は「苦難の行軍が迫っても恐れることはない」と、96年危機を引き合いに出して気合をかけている。打つ手なしだ。

 「戦前の日本がやはり、ABCD経済包囲網を敷かれながらも、国民は耐えに耐え、圧力をかける外国に反発して一致団結したものです。あれだけ苦しくても、東条内閣倒せの動きは出なかった。北朝鮮の大衆も同じでしょう。それに社会主義国で軍事クーデターが成功した例もない。制裁で北朝鮮の内部崩壊を狙ってもちょっと無理です」(前田哲男氏=前出)

 経済制裁されたキューバは健在だし、フセイン・イラクも武力行使でしか潰せなかった。韓国の李統一相が「北朝鮮は、圧力と制裁を加えて(対話に)出てくる国ではない」と語っているが、身びいき抜きにしても、これが真相だろう。

◆ 「国連脱退」「休戦協定破棄」に進む物理的対抗 ◆

 北朝鮮への経済制裁は、金正日を軟化させて6カ国協議にでも引っ張り出せれば意味もあるが、むしろ強硬にさせるだけだ。

 北朝鮮の朴吉淵国連大使は決議採択後、「米国がさらに圧力をかけるなら宣戦布告とみなし、物理的な対抗措置を取り続ける」と宣言している。米国や日本が制裁を強めれば強めるほど、行動をエスカレートさせるのは間違いない。