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日米強硬路線が
事態の元凶という声


日刊ゲンダイ

掲載:2006年10月14日


─ Dailymail Businessより ───────
■ 何でもありの北朝鮮・金正日と武力行使は絶対にできないアメリカ側と事態はどちらが有利なのか。日米強硬路線が事態の元凶という声
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独自制裁などと威張っている安倍政権の米国屈従外交の幼稚な危険度放っておけばいずれ崩壊する金正日政権に拉致でゆさぶられ余計なことをしている小泉安倍と、2カ国協議を拒否して核実験までエスカレートさせたブッシュの責任の重大性
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 北朝鮮に対する国連決議の足並みがそろわない。どのレベルの制裁をするのかで、各国の思惑が錯綜しているからだ。

 米国が武力行使につながる国連憲章7章42条をにらんで、「北朝鮮に対する武器、関連物資や金ファミリーが使うぜいたく品の供給、移転防止。資産の移動、金融資産凍結」を提案。日本はこれに「北朝鮮船籍の入港、航空機の発着禁止、北朝鮮産品の輸入禁止」を加えている。

 しかし、中国、ロシアは「懲罰は必要だが、武力行使につながる決議は慎重に」と米国主導での決議を警戒している。

 いずれにしても「世界から包囲され孤立する北朝鮮」という状況だが、冷静に見ると、現実は「開き直る金正日と攻めあぐむ各国」という構図である。

 マスコミは例によって“北朝鮮の瀬戸際外交”という視点で見ているが、実際に攻勢に出ているのは北朝鮮のほうだ。金正日はこう考えているはずだ。「核が持てるなら孤立してもかまわない。どうせ建国以来、嫌われ者できたのだから今さら媚を売る必要もなし。経済封鎖で国民が飢えても、“戦争中だから”と教育してある。

 核兵器を持てば、米国もおいそれと手は出せないし、パキスタンは制裁に耐えて核保有が認知された。核保有クラブの一員になれば新たな枠組みで外交ができる」

 米国の経済制裁にぜいたく品を入れているのは、金ファミリーへの兵糧攻めだが、金正日邸の地下室には、未使用のベンツやフランスワイン1万本が寝かせてあるから、屁でもない。

 安倍首相が「他国より格段に厳しい制裁」と自賛する日本独自の追加制裁(北朝鮮船籍の入港と輸入の全面禁止)についても、打撃力は弱い。

 北朝鮮の日本への輸出総額は145億円(05年)で、北朝鮮の総貿易額のわずか5%。中国の39%、韓国の26%などから考えると微々たるもの。禁止したはずの北朝鮮産のマツタケ、アサリは、すでに中国経由で市場に出回っている。

◆ 「打つ手ナシ」は米国・ブッシュの方だ ◆

 とすれば国連で経済制裁が決議されても、“損害”は織り込み済みなのである。「本当に困っているのは米国だ」と外交評論家の天木直人氏がこう言う。

 「北朝鮮の核を巡って世界は“勝者なきチキンレース”に入っていますが、打つ手なしなのは米国・ブッシュでしょう。北朝鮮との対話を一切拒否して放置している間に、ついに核保有に突き進んでしまった。イラク戦争の泥沼化で国内の支持率が下がっているから、軍事行動も取れない。その結果、核拡散防止条約が空洞化して、北朝鮮から核がテロリストに渡りかねない事態になっている。これでは11月の中間選挙で共和党が惨敗して政権維持すら難しいのです」

 安倍政権はイケイケで北朝鮮叩きをやっているが、米国と共同歩調を取っている限り、ブッシュと同じ運命だ。

◆ 金正日を暴走させた日米強硬路線 ◆

 そもそも、北朝鮮が核実験を強行するような事態になったのも、元はと言えば日米の強硬路線が元凶だ。適当にあしらっておけば、金正日政権は自然に崩壊したのに、日本と米国が追い込み、暴走させてしまった。

 「ブッシュ大統領の北朝鮮政策は、大失敗です。まず、2002年の一般教書で北朝鮮を「」悪の枢軸」と名指しして挑発。その後も北朝鮮が米朝の「2国間協議」を供給しているのに、話し合いを徹底的に拒否。かたくなに「6カ国協議」に固執した。その6カ国協議も、北朝鮮に金融政策を発動して怒らせて開けなくなる始末。これでは金正日が身構えるのも当然です。しかも吉兆線は、米軍が問答無用でイラク攻撃するのを目のあたりにした。金正日は開き直るしかなかったのでしょう」(国際問題評論家・山崎精二氏)

 朝鮮中央日報が「核実験をしなければらなくなったのは、米国による政策圧力策動のためだ」と報じたのは、ホンネだったろう。

 今頃になってブッシュ大統領は大慌てで「北朝鮮を攻撃する意思はない」なんて言い出しているが、核実験に踏み切らせた後では遅すぎる。

◆ブッシュと二人三脚の小泉・安倍の愚

 つづく