来年、 日本は世界の中で孤立する 日刊ゲンダイ 再掲載日:2006.12.15 |
─ Dailymail Businessより ────────── ■ いま世界の動静は急変している ■ その動きから取り残され、未だに小泉政治の呪縛から抜けられない ■ 安倍政権をこのままやらせていたら、この国は大変なことになる ■ 来年、日本は世界の中で孤立する ───────────────────── ---------------------------------------- ブッシュが始めたイラク戦争でアメリカが敗北し、悪の枢軸と敵対していたイランとアメリカが接近し、核保有の北朝鮮とアメリカが2国間妥協となりそうな雲行き濃厚の中で、この国の安倍政権の無能な政治能力に危機感と深刻な懸念 ---------------------------------------- ブッシュ政権の政策転換で世界情勢が大きく変わろうとしている。 ほんの1カ月前まで、ブッシュ米大統領は強気一辺倒で、どんなに批判を浴びようとも「イラクでの成功を確信している」と聞く耳を持たなかった。 そのため、あちらこちらの国々と衝突してきたが、中間選挙の大敗で態度を一変。単独行動路線から国際協調路線に軸足を移し始めたのだ。 そのタイミングで発表されたのが、超党派の「イラク研究グループ(ISG)」による提言だ。 そこには (1)08年までにイラク駐留米軍の撤退は可能 (2)イラン、シリアの周辺国との対話再開 ――などと書かれている。立ち往生しているブッシュが、これに飛びつく可能性は高い。国際政治学者の浜田和幸氏が言う。 「苦境に立たされているブッシュ大統領にとって、ISGの提言は政策転換の大義名分になります。 民主党も中間選挙でイラク政策の見直しを訴えていただけに、単なる路線変更では民主党に屈した格好になるが、ISGなら超党派だから提言を採用しやすい。 ISGの共同議長を務める共和党のベーカー氏は、パパ・ブッシュ時代の国務長官で、ブッシュ家にとっては執事のような存在。大統領がのめないような提言は出しませんよ」 ◆ 「悪の枢軸」にスリ寄り北朝鮮にもなすがまま ◆ 03年のイラク開戦以来、米軍兵士の死者数は2900人を突破した。「ブッシュの戦争」は負けたも同然。提言がなくても、悪の枢軸とかテロ支援国家とか、名指しで批判してきたイランやシリアの助けを借りないことには、ニッチもサッチもいかない状況だ。 「イラクには、イランやシリアからゲリラや武器、カネが入っているといわれています。このルートを断ち切りイラク情勢を沈静化させるには、そうした国々を表に引っ張り出すしかありません」(浜田和幸氏=前出) 北朝鮮情勢もガラリと変わる。6カ国協議は18日の再開が決まったが、米国の強気は鳴りを潜め、完全に北朝鮮ペース。今やブッシュは孫を前にした祖父母のようで、言われるがままに財布を取り出し散財しそうだ。 「6カ国協議までパーになれば、ブッシュ外交はいよいよ終わりです。今回の協議では、何としても『北朝鮮の核放棄』という目に見える成果が必要。 そのためには、経済支援、食糧支援はもちろん、金正日政権の体制維持にまで言及するかもしれません。6カ国協議とはいえ、実際は米朝2国間で妥協する雲行きが濃厚なのです」(在米ジャーナリスト) ブイブイ言わせてきたブッシュがシュンとして、世界は大きく変わりそうなのだ。 ◆ 駄々っ子のように足並み乱す日本は厄介者 ◆ こうした世界情勢の急変に対応できず、取り残されているのが安倍政権だ。国際政治の流れを読めず、年明けには確実に孤立しそうだ。 実際、18日からの6カ国協議は、あからさまな「日本外し」で進む。参加国が北の核放棄を目指し連携する中、日本だけは「各国が国連安保理の制裁決議を履行することが重要だ」(安倍)と駄々っ子のように繰り返し、足並みを乱しているmpだぁら、外されて当然かもしれない。 焦った政府は先月末、米中朝協議が行われている北京に外務省の佐々木アジア大洋州局長を派遣したが、強弁路線一辺倒では厄介者にされてしまう。 国際問題評論家の山岡精二氏は「拉致ありきの政策を変えない限り、米国からも見放されて、6カ国協議からはずされる可能性が高い」と言っているが、その通りだ。 北は、米国との直接対話が実現すれば、日本など眼中にナシ。となれば拉致問題は解決どころか迷宮入りである。 もっとヤバイのは対イラク外交だ。安倍は自衛隊派遣のイラク特措法を延長させる原田が、米国がいなくなったらどうするのか。 英国のフレア首相も米のイラク政策見直しを歓迎している。内戦状態のイラクに来夏まで残る航空自衛隊が孤立無援で立ちすくむなんて冗談ではない。 久間防衛庁長官は「小泉前首相がイラク戦争を支持したのは政府の公式見解ではない」と発言し慌てて撤回したが、日本イラク戦争をイの一番に支持したいのは紛れもない事実。その責任を重く受け止めて、後始末をやるというのだろうか。 ◆1ドル=125円の危険水域突入で国民生活はボロボロ◆ 為替相場でも日本はひとりぼっちだ。年内利上げをもくろんだ日銀を安倍が牽制するもんだから、日米で5%の金利差はなかなか縮まらない。 そこへヘッジファンドにつけ込まれ、円の売買でもうける「円キャリートレード」でいいようにやられているのだ。おかげで円安は拍車がかかるばかりである。 「もはや1ドル=125円」の危険水域に達する恐れもあります。これは家計を直撃する。 すでにブランド品を中心の値上げがはじまっていますが、つられて生活必需品まで高くなって行くでしょう」(東海東京証券チーフエコノミスト斎藤満氏) 世界から見放され、国民生活もボロボロ。今の日本は奈落の底に向かってまっさかさまだ。政治評論家の本澤二郎氏が言う。「政府はイラク政策の転換を早急に打ち出し、世界にアピールしなければ本当に孤児になる。日銀への”口先介入”も即刻やめるべきです」 安倍首相には、日本を立て直そうというヤル気も、世界から置き去りにされていることへの焦りもない。 外交も経済政策も、いまだに小泉政治の呪文から抜けられないのだからどうしようもありません。無能を通り越して日本に有害な首相です」 いつまでも安倍幼稚政権に任せていたら、来年の世界地図から日本が消されてしまう。 |