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イラク戦費で96兆円

日刊ゲンダイ

再掲載日:2007.2.9


 とてつもない金額だ。ブッシュ大統領が始めた「テロとの戦い」の戦費が、総額8000億ドル(約96兆円)まで膨らんだ。日本の国家予算すら軽く超える額だが、ベラボーな戦費をつぎ込みながら、アフガンもイラクも泥沼のまま。ズバリ、対テロ戦費で何が買えたか。

世界中の地雷を撤去

 現在、世界中に埋まっている対人地雷の数は計6000万〜7000万個。地雷の除去は、人の手による困難な作業で、1個あたり最低300ドル(約3万6000円)のコストがかかるという。すべてを除去する費用は2兆5200億円。戦費の2.6%を回せば、不幸にも地雷を踏んでしまう人はいなくなる。

バーミヤン遺跡復元

 旧タリバン政権が破壊した世界遺産・バーミヤンの古代仏教遺跡。完全復元に必要な費用は4000万〜5000万ドル(約48億円〜60億円)とされる。復興支援と称して軍人にウロウロされるより、よほどアフガン国民は喜ぶのでは。

スマトラ復興

 12カ国で計22万人以上の死者・行方不明者を出したスマトラ沖地震。被災がひどい地域は、大津波から2年以上が過ぎた今も復興のメドは立っていない。

 これまで45の国や地域から総額42億ドル(約5040億円)の支援金が集まったが、米国の拠出は3億5000万ドル(約420億円)のみ。しかも、当初予算は3500万ドル(約42億円)で、内外から少なすぎると批判され、10倍に引き上げたのだ。被災地支援はケチり、戦費は大盤振る舞いなんて……。

核兵器撲滅


 世界には、いまなお3万発の核兵器が保有されている。1発あたりの解体費用は輸送費も含め、約12万ドル(約1440万円)。さらに有毒な液体燃料の安全な処理に8万ドル(約960万円)かかるといわれている。核兵器根絶のコストは、7200億円也。ブッシュは核兵器のない平和より、戦禍を選んだ。

飢えた8億人に12万円分の食糧


 世界中で飢餓と栄養失調に苦しんでいる人々は8億人。対テロ戦費があれば、これらの人々に12万円分の食糧が渡せる。飢えが無くなれば、テロも減るだろうに……。