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財団法人 地球環境センターも
環境省随意契約依存体質

鷹取 敦

掲載日:2006年4月12日


 4月8日掲載のコラムで(財)日本環境協会が環境省からの随意契約に大きく依存している実態を明らかにした。(財)日本環境協会を取り上げた理由は、平成17年度の環境省の随意契約のうち(株)博報堂に次いで2番目に大きな事業を請けていたからである。

 今回はこれらに次いで大きな事業に注目してみたい。3番目に大きな富士通(株)「平成17年度環境省LANシステム等に係る機器等賃貸借及び運用保守作業等業務(後期) 一式)は、既存システムの保守の継続なのである程度やむを得ないだろう。4番目の(株)りゅうせき「平成17年度地球温暖化対策技術開発事業(沖縄産糖蜜からの燃料用エタノール生産プロセス開発及びE3実証試験)」は公募採択案件なので、採択過程に問題がなければ随意契約はその結果に過ぎない。

 5番目に再び公益法人が登場する。(財)地球環境センターの「平成17年度CDM/JI事業調査」4億3400万円である。主務官庁は外務省、環境省だ。

 (財)地球環境センターは、年間の契約総額4億6070万円で11位、依託件数は6件、30位と少なくない。契約総額でこれより多い公益法人は、以下のとおりである。

(財)日本環境協会 7億9741万円
(財)自然環境研究センター 7億6596万円
(財)国民公園協会 7億3237万円
(財)日本環境衛生センター 5億3492万円
(財)地球環境戦略研究機関 4億9466万円
(社)環境情報科学センター 4億8392万円
(財)地球環境センター 4億6070万円


 ここで(財)地球環境センターの概要をみてみよう。
 同財団法人のウェブサイトによると職員数28名、理事10名(うち1名が常勤)、監事2名(いずれも非常勤)18名であることが分かる。ちなみに常勤の理事は、「専務理事・増田喬史・元大阪市都市環境局理事兼環境部長」である。

 なお、理事・監事の肩書きだけを並べてみると、以下のようになる。大阪市に拠点を置くためか、関西の組織の人材が多い。
 兵庫県立大学学長兼大阪大学名誉教授、元大阪市都市環境局理事兼環境部長、(社)関西経済連合会会長、大阪府知事(元通商産業大臣官房審議官)、(社)海外環境協力センター専務理事(元国立環境研究所環境研修センター所長)、大阪市長、大阪商工会議所会頭、イケア・ジャパン特別顧問(元駐スウェーデン大使)、(社)関西経済同友会代表幹事、(財)地球環境戦略研究機関理事長、大阪府環境農林水産部長、大阪市収入役

 次に(財)地球環境センターの平成16年度収支計算書(決算額)をみてみよう。
 当期収入9.8億円のうち補助金収入が2.3億円、受託事業収入が7.2億円と大半を占める。内訳を確認するため「国からの補助金等報告書」をみると、このうち平成16年度は6.2億円が前述した「CDM/JI事業調査」、7300万円が「UNEP国際環境技術センター共同調査等」(これも環境省からの委託事業)で年間収入の64.1%を占め、(財)日本環境協会と同様に、環境省からの随意契約事業である「CDM/JI事業調査」に大きく依存していることが分かる。この事業がなければこの財団法人はやっていけないのではないだろうか。

 ちなみに「CDM/JI事業調査」の概要は、同財団法人のウェブサイトに掲載されているが、これを見て他に実施可能な組織が日本中どこにも存在しないなどという趣旨の随意契約の理由に納得できるだろうか。

 なお、同財団法人は「採用情報『CDM/JI事業調査』に係る人材の募集」(平成18年5月1日(予定)〜平成20年3月31日)を行っている。期間限定で採用する人材でも実施可能だということだろう。

 最後に平成17年度(平成18年1月まで)に(財)地球環境センターが環境省から随意契約で請けた委託事業の一覧を契約額順に掲載する。

CDM/JI事業調査 4億3400万円
国連環境計画親善大使活動推進事業等業務 641万円
国連環境計画親善大使活動推進事業等業務 641万円
温暖化対策クリーン開発メカニズム事業調査 525万円
国連環境計画国際環境技術センター共同調査等業務 339万円



 先に紹介した(財)日本環境協会の環境省随意契約依存体質は、決して例外的なものではなく、環境省が随意契約で事業を委託し続けることにより、一部の公益法人の存続を助けている実態が明らかとなってきた。