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大マスコミは
世論操作をしてきた

日刊ゲンダイ

2006年 5月16日号

掲載:2006年6月1日


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アメリカと同程度の報道姿勢があったら小泉政権の支持率は恐らく20%台と現在の米ブッシュ政権同様の体たらくで潰れていただろう

今になって5年前に山拓から聞いた小泉評を暴露した大新聞政治部記者も現れたが、これほどの悪政暴政に加担してきた大新聞TVは第2次大戦の戦前戦中と全く同じ権力のチョーチン持ち
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 毎日新聞のコラム「記者の目」で、小泉首相が誕生した5年前に山崎拓が語ったオフレコ話が出ている。山拓はこう言ったという。

 「いいか、君たちビックリするぞ。30年も国会議員をやっているのに、小泉は政策のことをほとんど知らん。驚くべき無知ですよ」 長年の盟友が知る小泉のパープリンぶり。「9月で退任するのに、今さら書かれてもなぁ……」という気がしないでもないが、記者はこう続ける。

 〈すぐにそれは証明された。国会審議で小泉首相は集団的自衛権とは何かを理解していないことが露見した〉〈特殊法人予算1兆円削減は橋本龍太郎の公約をちゃっかり横取り……改革の司令塔の経済財政諮問会議さえ橋本政権が作り森政権で始動していた〉〈政策の大事な説明が、がっかりするほど薄っぺらい。

 でも、だから分かりやすい〉 記者は、小泉の政策オンチとペテン政治をとっくに知っていた、というわけだ。そして反省を込めてなのか、こう書く。

〈「権力と世論」が過度に寄りかかり合う関係は、政策のきめを粗くするような気がする〉

◆ 「小泉支持」の世論を作ってきたマスコミ ◆

 これは上品な書き方だ。そもそも世論は誰がつくってきたのか。この5年間、マスコミは“驚くべき無知”の首相に「寄りかかり合う」どころか、支持し、持ち上げ、宣伝してきた。もちろん徹底批判などない。その結果が政権末期にもかかわらず50%台の支持率をキープする世論ができたのである。

 政治アナリストの伊藤惇夫氏が言う。

 「国民が政治の動きを知る方法はマスコミ報道を通して以外にはない。仕事を持っていれば、国会審議を傍聴したり、じかに政治家に話を聞くわけにはいかないからです。

 ところがメディアにその自覚がない。昨年9月の総選挙では小泉首相の『民営化に賛成か反対か』の争点の一点に乗せられ、他の重要な論点を取り上げなかった。ニセメール問題の時でも永田議員のチョンボに集中して、“4点セット”への報道をパタリとやめてしまう。

 追及どころか、小泉自民を助けてしまったのです」 マスコミは小泉の術中にまんまとはまった。改革小泉vs.抵抗勢力をゲームのように扱って、勝った負けたと垂れ流した。権力を持つ小泉が勝つに決まっているのに小泉が正しいように報じてきたのである。

 その結果が支持率5割の小泉人気だ。大マスコミは結果的に世論操作をしてきたのである。

◆ 米マスコミの追及でブッシュの支持率は20%台 ◆

 マスコミに支えられて安泰の小泉とは正反対なのが、盟友・ブッシュ大統領だ。今月5〜8日に実施された支持率調査で2001年の政権発足以来ついに30%を割り込んで29%。

 不支持は1月の56%から71%にまで上昇し、政権維持の「危険水域」に入っている。泥沼化するイラク問題、ガソリンの高騰、不法移民流入問題など、不人気の要因はいろいろあるが、最大の失政はイラク戦争のインチキがバレたこと。

米国のマスコミが徹底追及して暴いたからだ。

 「まず、ニューヨーク・タイムズがイラク戦争の大義とされた大量破壊兵器のウソをスクープ。『大量破壊兵器はイラクの脅威をあおるためにブッシュ政権が情報をねじ曲げたもの』と、元大使の内部告発を掲載したのです。

 ブッシュ政権はCIAの秘密情報『国家情報評価』に“イラクがウラン確保に総力”との記述があると反論しましたが、米メディアはこの秘密情報の内容すら歪曲されたものであると暴露。元大使を陥れるために流した『夫人はCIA工作員』という情報もニセであると暴きました」(現地ジャーナリスト)

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