長野県議会議員 政務調査費に関する 監査請求への監査結果について 掲載日2005.11.2 |
長野県軽井沢町在住の松葉謙三弁護士が平成17年9月2日から10月13日の間に長野県監査委員に出した長野県議会議員の政務調査費の支出に関する措置請求について、長野県監査委員会事務局は地方自治法第242条第4項の規定により、 平成17年10月31日付けで監査結果を松葉請求人に通知した。 以下は、松葉弁護士が行った住民監査請求の内容である。 監査請求書全文 告発状全文(1) 告発状全文(2) 告発状全文(3) 全文は以下のPDFを参照のこと。 「平成16年度政務調査費に関する件」の監査結果(PDF形式:520KB/45ページ) 以下は監査結果の概要である。 ○監査結果の概要 @事務所賃借料について ・古田議員は、後援会翔芙会から賃借しているが、所有者は古田議員であり、翔芙会が賃貸者となる権利は確認できなかった。権利を有しないと思われる者を賃貸人として、その賃借料に政務調査費を充当することは適当でない。 ・萩原議員は、親族から賃借しているが、所有者は萩原議員であり、親族が賃貸者となる権利は確認できなかった。権利を有しないと思われる者を賃貸人として、その賃借料に政務調査費を充当することは適当でない。 ・小林利一議員は、(有)コバヤシ設計から賃借しているが、所有者は小林利一議員であり、(有)コバヤシ設計が賃貸者となる権利は確認できなかった。権利を有しないと思われる者を賃貸人として、その賃借料に政務調査費を充当することは適当でな い。 ・当該議員と面接の結果、作為的に契約がなされたものでなく、政務調査費マニュアルの解釈及び運用が十分に理解されていなかったと考えられるが、今後はこれらに政務調査費を充当しないことを求める。 A議員の親族を政務調査活動補助員に雇用することについて ・政務調査費マニュアルでは、親族を雇用し政務調査費を充当することは誤解を招きやすいので適当でなく、専門的な知識を有するなど、特別な理由があり、社会通念上妥当と判断される場合に限定される。 ・親族を政務調査活動補助員として雇用することが、社会通念上不適切であるというまでは言えず、そのこともって直ちに条例7条に定める使途基準に違反するとまで言うことはできないものと考える。 *条例7条とは 政務調査費の交付に関する条例 (政務調査費の使途) 第7条 会派は、政務調査費を議長が定める使 途基準に従い使用しなければならない B飲酒を伴う飲食費 ・政務調査費マニュアルには「飲酒を伴う会合の飲食費には政務調査費を充当しないものとする」と定めており、3000円以上の会費を伴う懇親会は原則として飲酒を伴う飲食費とい推定され、返還する義務があると請求人は主張している。 ・請求人が指摘する議員の飲酒が伴う懇談会等への出席に要する会費については、監査対象機関の調査の結果、政務調査費マニュアルを逸脱し条例7条に定める使途基準に違反するものは確認できなかった。 ・1万円の会費に政務調査費を充当しているものが3件あるが、これらは政務調査費マニュアル策定前に行われた会合であり、また、社会通念上妥当と認められる金額の範囲内であると考えられる。したがって、請求人の主張には理由がない。 C調査研究活動に係る交通費、宿泊費等について ・議員の調査研究活動は、会派及び議員の自主的な意志に基づき行われるものであることから、調査研究活動に係る必要性の判断及び行先、日程等はその調査研究活動の目的、態様等が社会通念上妥当なものである限り、会派及び議員の責任や裁量の範囲内に属するものであると認められる。 ・政務調査費マニュアルにおいて、調査研究活動に係る交通費、宿泊費等は、県の旅費規程を準用するとされていることから、議員が調査研究活動を行うのであれば、それに要する交通費、宿泊費に政務調査費を充当することは当然に認められるべきものである。 ・官公署等の視察先に対する土産についても、社会通念上妥当と認められる金額の範囲内であると判断する。 ・下村議員の調査研究活動に係る交通費については、本人に対する面接結果、平成16年5月10日、同年10月26日、同年11月2日、平成17年1月13日、同年2月10日の5件については、調査研究活動が行われておらず、収支報告書と全く異なる目的、交通手段による行動が確認された。 ・緑新会から平成17年10月27日付けで、議長に収支報告書の訂正願が提出され、同日付けで政務調査費を行った調査研究活動に要した経費から前記5件の下村議員に係る交通費11万7200円を控除する訂正が行われた。 ・5件については、収支活動報告書の記載内容と実態が大きく異なるものであり、結果として実態が伴わない政務調査活動に政務調査活動に政務調査費を充当したことは、条例7条に定める使途基準に照らし違法又は不当な支出であると判断するが、平成17年10月27日付けで当該交通費が調査研究活動費に要した経費から控除されたため、条例に違反する違法又は不当な支出はもはや存在しないものとなっている。 D事務費及び人件費へ政務調査費を充当する際の按分割合について ・本件請求の対象となっている事務費に、政務調査費を70%から80%の割合で充当しているものがあるが、議員本人との面接調査及び現地確認の結果、それぞれ政務調査活動の実態があり、そうした按分割合は妥当なものであると判断する。 ・請求人が指摘する議員が新聞購読料全額に政務調査費を充当していることは、新聞購読料が調査研究のために必要な資料の購入費に当たることから、条例第7条に定める使途基準に違反するものではないと判断する。したがって、請求人の主張には理由がない。 |