エントランスへはここをクリック   

長野市長交際費に関する
住民監査請求について

 
松葉謙三(弁護士)

掲載日2006.2.23


長野市職員措置請求書

              平成1年2月23

長野市監査委員 殿 

  監査請求人の表示

住所
職業
氏名                  印


       (監査請求人は複数いるが、ここでは、略す)。

           監査請求の要旨

第1、市長交際費充当の違法、不当性

1、市長交際費充当の原則

市長交際費は、市民の貴重な税金からの支出であり、地方財政法4条により必要最小限でなければならず、しかも、長野市の地方財政は極めて苦しいのであるから

@支出の目的が、主として公共性を有するもので、市政に役立つことが明らかであることが必要であり、市長選挙での支持を集めるなど私的な政治的目的の可能性がある場合が多いので、これを厳格に審査される必要がある。

A飲酒を伴う懇親会は、「主として市政に関わる活動」とは言えない。飲酒を伴う宴会などへの出席は、飲食自身が個人を楽しませるもので、個人負担が原則であり、公費によるべきではない。

B特に業者団体などが主催する懇親会は、公共性が乏しく、業者団体と飲酒を伴う会合に市長らが参加することは、業界と癒着する危険性もあり、財政が苦しい長野市の財政から支払うことは、到底市民の理解は得られず、これらの懇親会に市長交際費を充当するのは、許されない。業界団体とは、酒席でないところで、金のかからない席で、ゆっくりと冷静に話し合うべきである。

Cその懇親会が特に公的性格が強く、市長として出席義務があると考えられる場合で、5000円を超えない場合は例外的に市長交際費からの支出が許される可能性はある。

2、飲酒を伴う懇親会への市長交際費の充当の実情と違法性

長野市長は、年間(平成171月から12月)実に約100回(週2回)も飲酒を伴う宴会、懇親会に、公費である市長交際費を使って出席している(平成17年3月から平成17年12月までの間に市長が出席した宴会の経費は52万1500円)。市長のみならず、助役や部長も、市長交際費を使って、多くの飲酒を伴う懇親会に出席している(平成17年3月から平成17年12月までの間に市長以外の者の宴会費用は40万9500円)。

長野市長の年間100回もの宴会への出席と市長交際費(50万円以上)の充当は、業界団体との懇親会への出席(大部分が業界団体との宴会)が、主として選挙への支持を求めるためと可能性があり、業界との癒着であり、常軌を逸していると評価せざるをえない。業界団体とは、酒席でないところで、金のかからない席で、ゆっくりと冷静に話し合うべきであり、飲酒しながら話し合う必要性はない。

なお、裁判所や検察庁など他の官庁では、飲酒を伴う懇親会などの支払いは、個人負担となっている場合が多く、長野県は知事を含め、県職員は、公費を飲食費には充当していない。

別紙1ないし12の支出の内、番号に○をつけてあるものは、飲酒を伴う懇親会などで、業者団体が主催するなど公共性の乏しい目的の会合や5000円を超える懇親会で、違法又は不当な支出である。

3、市長の私的な色彩が強い支出への市長交際費充当の違法性

 長野市政への貢献が大きい人に対し、葬儀で香料を支払うことは、よいとしても、お盆や暮れの訪問までして、公費から支払いをするのは、財政状況が厳しい自治体としては、裁量権を逸脱していると言わざるを得ない。また、市長の同窓会の祝賀会や、同窓生への香料の支払いは、市長の支持を拡大するための可能性が高く、市政に寄与することが明らかではない、私的なものであり、個人が負担すべきである。また、個人の受賞祝賀会への出席や個人後援会が主催する懇親会への出席は、公費から支出すべきものではない。また、宗教の儀式に公費を支出するのは、憲法違反となる可能性があり、公費を使うべきではない。

以下の市長交際費の支出(別紙1ないし12の支出の内、番号に×をつけてあるもの)は、市の行政とは、ほとんど直接関係がなく、主として市長の私的な活動(支持を広める目的)の目的が大きく、公金である市長交際費から支払うべきでなく、個人で支払うべきものである。

@別紙1番号336 偲ぶ会にまで、公費で出席し、飲食代を公費で支出する理由はない。経費6000円

A別紙1番号337 市会議員若林佐一郎の個人的な後援会主催の活動報告会に公費で出席する理由はない。経費2000円

B別紙1番号340 滝澤好明は司法書士であるが、個人の藍綬褒章の祝賀会は、長野市の市政と直接関係はなく、公費で出席する理由はない。経費10000円

C別紙1番号342と343 市会議員後援会の私的な懇親会は、長野市の市政と直接関係はなく、公費で出席する理由はない。経費2500円

D別紙1番号344 笠原武敏は、長野市の市政と直接関係はなく、公費で香料を支払う理由はない。経費10000円

E別紙1番号345 市川昇は、長野市の市政と直接関係はなく、偲ぶ会にまで公費で出席する理由はない。経費10000円

F別紙1番348 北澤太七は、長野市の市政と直接関係はなく、公費で香料を支払う理由はない。経費10000円

G別紙2番号14 北野隆雅は阿弥陀山護国院の僧侶であるが、長野市の市政と直接関係はなく、公費で香料を支払う理由はない。経費10000円

H別紙5番号101 塩島澄博個人の受賞の祝賀会は、長野市の市政と直接関係はなく、公費で出席する理由はない。経費10000円

I、別紙5番号104 宮司就任祝賀会は、宗教的活動であり、しかも長野市の市政と直接関係はなく、公費で出席する理由はない。経費15000円

J別紙5番号105 市会議員の個人的な後援会総会懇親会に公費で出席する理由はない。経費3000円

K別紙5番号108 八木道男は、市長と同じ高校の同窓生であり、長野市の市政と直接関係はなく、公費で香料を支払う理由はなく、市長個人が支払うべきである。経費10000円

L別紙5番号109 県会副議長就任祝賀会は、長野市政と直接関係なく、公費で出席する理由はない。経費10000円

M別紙6番号119 市会議員高野正晴の個人的な後援会主催の飲酒を伴う懇親会に公費で出席する理由はない。経費1000円

N別紙6番号130 近山与士郎は、市長と同じ高校の同窓生であり、長野市の市政と直接関係はなく、公費で香料を支払う理由はなく、市長個人が支払うべきである。経費10000円

O別紙6番号131 すそばな会は、市長が出た長野高校の同窓会であり、長野市の市政と直接関係はなく、しかも飲酒のともなう懇親会であり市長個人が支払うべきである。経費5000円

P別紙6番号133 宗教的活動であり、しかも長野市の市政と直接関係はなく、公費で出席する理由はない。経費10000円

Q別紙6番号136 市会議員後援会の私的な懇親会は、長野市の市政と直接関係はなく、公費で出席する理由はない。経費1000円

R別紙6番号141 個人の受賞の祝賀会は、長野市の市政と直接関係はなく、公費で出席する理由はない。経費10000円

S別紙6番号146 宗教的活動であり、しかも長野市の市政と直接関係はなく、公費で出席する理由はない。経費3000円

21別紙7番号160ないし166 これらの方々が仮に市政と関係があっても、お盆訪問にまで、財政が苦しい長野市の財政から支払う理由はない。経費35000円

22別紙9番号184 個人の受賞の祝賀会は、長野市の市政と直接関係はなく、公費で出席する理由はない。経費10000円

23別紙9番号185 個人の出版記念会は、長野市の市政と直接関係はなく、公費で出席する理由はない。経費10000円

24別紙9番号195と199 個人の受賞の祝賀会は、長野市の市政と直接関係はなく、公費で出席する理由はない。経費15000円

25別紙11番号222 IOC副会長就任祝賀会は、長野市政と直接関係なく、公費で出席する理由はない。経費10000円

26別紙11番号234 藤井基成は、市長と同じ長野東ロータリークラブの会員であった仲であり、長野市の市政と直接関係はなく、公費で香料を支払う理由はなく、市長個人が支払うべきである。経費10000円

27別紙12番号255ないし257 これらの方々が仮に市政と関係があっても、「暮れの訪問」にまで、財政が苦しい長野市の財政から支払う理由はない。経費15000円

第2、結論

よって、監査委員は、長野市長ほか関係機関に対し、次のとおり勧告することを求める。

「長野市長ほか関係機関は、長野市長らに平成17年3月から平成17年12月の市長交際費の返還として、88万9500円を返還させること。」

上記のとおり、地方自治法242条1項の規定により別紙事実証明書を添付の上必要な措置を請求する。

添付資料(事実証明書)

長野市長交際費一覧表(平成17年3月から平成1712月)