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バクダッドの医者からのメール
色平 哲郎

掲載日:2004.11.1

バグダッドのセントラル子供病院、モハメド医師から、今回の事件についてもメールをもらったので、取り急ぎ翻訳して送ります。彼は、今年2月から半年間、名古屋大学病院で研修医として、医療技術を学び、8月末にイラクに帰国しました。僕も彼の招聘を手伝っています。

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親愛なる友人へ

現在、かなり多忙なのですが、日本人男性の誘拐・殺害事件の背景を説明しなければいけないと思っています。

イスラム教の指導者たちの調整が機能していない状態にあり、事態は最悪です。

その原因は、ほとんどの指導者が刑務所に送られ、残りはイラク国外に逃げてしまったことです。だから、イラク国内には、アメリカ軍のための軍隊か、テロリストしかいないんです。私たちの現状を想像できますか? お金のための軍隊か、米軍をイラクから追い出すための軍隊しかいないのです。もうイラクに日本の人を送らないでください。バグダッドで私たちは、より困難な生活を送っています。

毎日、バグダッドの市民に対して、3〜4回の爆撃が行われています。昼でも夜でもです。とくに早朝に爆撃されます。アメリカ軍の戦車が一日に何度もハイウェイを通過し、よく彼らは攻撃されます。だから、ハイウェイを使うことができません。ハイウェイで攻撃に会う可能性がきわめて高いので、緊急事態でない限り、誰もハイウェイを使いません。また、イラク国軍はアメリカ軍に指揮され、彼らの命令下で働いています。だから、彼らも攻撃の対象にされるのです。

不思議に思ったかもしれませんが、先週、Dialaで49人ものイラク人兵士が殺されたのは、このためです。さらに、イラク国外に逃げようとした、医者や科学者も殺されています。イラク国内にいるイラク人も殺されるかもしれないという脅威にさらされています。とりわけ特別な立場にいる人、例えば政府機関で働いている人や特定分野で有名な人にとっては、その危険性がより高くなっています。

もちろんのこと、外国人が殺される確率は、それよりも高くなっています。だから、全ての日本の方に、自重してイラクから離れることをお願いしています。そして、日本軍の早期撤退をお願いします。イラクの状況はより悪化していくので、軍人だろうと安全ではなくなるでしょう。彼らの命も守ってください。

日本とイラクの良好な関係を維持したいので、日本人殺害事件のことを残念に思っています。イラクの人々を責めないでください。私たちは、あなた方の親愛なる兄弟でありたいのです。日本人の中には、私たちイラク人のことを憎む人がいるだろうと思っています。しかし、私たちは何をすればよいのでしょうか? 

最後にいっておきたいことは、今まで、イラクにとって、いい兆しはなにもありませんでした。イラクのリーダー、アラウィが選挙のことを話している一方で、ファルージャではアメリカからの大規模攻撃を待ち受けているんです。

じつに皮肉なことではないですか。